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📩 相談
中学二年・Rさん
最近、先生から係の仕事を任されました。
「お願いしていい?」と言われたときは、頼ってもらえたのが嬉しかったです。
ちゃんとやろうと思いました。
でも、一度任されてから、ずっとそのことが気になっています。
次もちゃんとやらなきゃとか、前より上手くやらなきゃとか考えてしまいます。
一回失敗したら、「もう頼まれなくなる」と思います。
この前、少し忘れてしまったことがあって、それだけで「もう信用されないかも」と思いました。
先生は何も言っていません。
むしろ「助かった」と言ってくれました。
それでも、最初に任されたときより、今の方が苦しいです。
頼られるのは嬉しいのに、頼られた瞬間から、ずっと応え続けなきゃいけない気がします。
遥「任せてもらえたときは嬉しかったんだ」
R「はい」
遥「じゃあ、苦しくなったのは、その後か」
R「そうです。最初は『頑張ろう』だったのに、だんだん『失敗できない』になりました」
遥「一回任されたことが、ずっと続く約束みたいになってるんだな」
R「……そうかもしれません」
蓮司「先生は『これから毎回完璧にやって』って言ったの?」
R「言ってません」
蓮司「じゃあ、おまえが勝手に条件を足してる」
R「条件?」
蓮司「『任された以上、次も、その次も、前よりちゃんとやる』って条件」
R「……」
蓮司「先生が頼んだのは一回の仕事だろ。それをおまえが『今後の信用を守る契約』に変えてる」
R「言われてみると、そうです」
日下部「一回ちゃんとできたからって、次も同じようにできるとは限らないしな」
R「……はい」
日下部「逆に、一回失敗したからって、もう任せてもらえなくなるとも限らない」
R「でも、失敗したら評価が下がる気がします」
日下部「下がることはあるかもしれない。でも、それと全部の信用がなくなることは別だろ」
R「……」
日下部「仕事で一回ミスした。それだけなら、そのミスについて考えればいい」
遥「『ミスした自分』まで広げなくていいんだよな」
R「でも、任せてもらったのに失敗したら、申し訳なくて」
遥「それは分かる」
R「だから次は絶対に失敗しないようにしようと思って……」
遥「それ自体は悪くないと思う」
R「はい」
遥「でも、『絶対に失敗しない』まで行くと、何か一つ忘れただけで全部駄目になった感じになる」
R「……まさにそうです」
蓮司「あと、おまえは『頼られた』と『期待に応え続ける義務ができた』を一緒にしてる」
R「……」
蓮司「頼られたことは、頼られたこと。その後どうするかは、その都度決まる」
R「でも、また頼まれたら断りにくくなります」
蓮司「なんで?」
R「一回やったのに、次は嫌だって言ったら、最初からやる気なかったみたいに思われそうで」
日下部「一回引き受けたことと、これから全部引き受けることは違う」
R「……」
日下部「次に頼まれたとき、できないなら断ってもいい」
R「それでも、がっかりされませんか?」
日下部「がっかりする可能性はある」
R「……」
日下部「でも、相手が少しがっかりすることまで、自分が防がなきゃいけないわけじゃない」
R「……そうですよね」
遥「頼られると、嬉しいから余計に断りにくいんだと思う」
R「はい。必要としてもらえた感じがするので」
遥「だから、その嬉しかった気持ちまで失いたくなくて、ずっと応えようとする」
R「……」
蓮司「でも、一回頼られたことを維持するために無理し続けたら、結局その仕事自体が嫌になるぞ」
R「それは嫌です」
蓮司「だったら、『任されたから頑張る』と『任されたから完璧でい続ける』は分けろ」
R「……難しいです」
日下部「最初は嬉しかった。それはそのままでいい」
R「はい」
日下部「忘れたことがあった。それは直せばいい」
R「はい」
日下部「次も頼まれるかどうかは、まだ決まってない」
R「……」
日下部「そこまで先回りして、自分を追い込まなくていい」
R「先のことまで勝手に決めてたんですね」
蓮司「しかも一番厳しい条件でな」
R「……」
遥「先生が『助かった』って言ってくれたことも、本当なんだよな」
R「はい」
遥「じゃあ、それもちゃんと受け取っていいと思う」
R「でも、次に失敗したら……」
遥「そのときは、そのときの失敗を直せばいい」
R「……」
遥「今の『助かった』まで、未来の失敗で取り消さなくていいよ」
R「それ、考えたことなかったです」
日下部「今日ちゃんとできたことは、今日のことだから」
R「はい」
日下部「明日失敗するかもしれないからって、今日まで無かったことにはならない」
R「……なんか、それなら少し楽です」
蓮司「任されたことを大事にするのはいい。でも、任された瞬間から『期待され続ける人間』になろうとする必要はない」
R「はい」
遥「頼ってもらえたことは嬉しいままでいいし、疲れたら疲れたって思っていい」
日下部「できないときは断ってもいい」
R「……分かりました」
🗝 三人からのことば
遥「任されたことが嬉しかったなら、その嬉しさはそのままでいい。でも、その一回をずっと証明し続けなくていい」
蓮司「『一回任された』を『これからも期待に応え続ける契約』に変えるな。頼られたことと、完璧でいることは別だ」
日下部「失敗したら、その失敗を直せばいい。一回のミスで、それまで任せてもらったこと全部まで否定しなくていい」
コメント
1件
うわあ……このエピソード、すごく沁みました。 「任されたことを『ずっと期待され続ける契約』に変えてしまう」って蓮司さんの言葉、本当にその通りだなって思いました。私もつい無意識にやっちゃうタイプなので、Rさんの苦しさがひしひしと伝わってきました。 でも、日下部さんの「一回のミスで全部を否定しなくていい」という言葉に、すごく救われる感じがしました。遥さんの「今の『助かった』まで未来の失敗で取り消さなくていいよ」も優しいなあ。三人の視点がそれぞれ違って、でも全部Rさんに寄り添ってて、読んでいてほっとしました🌷
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