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なもなき茶@小説で忙し
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クラゲ
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#一次創作
ruruha
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ruruha
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放課後。
相談室。
日下部が机の上のプリントを整理している。
ドアが開く。
「失礼します」
「どうぞ」
相談者が入ってくる。
「……相談したいことがあるんですけど」
「うん」
「でも、話すか迷ってます」
「話せるところからでいい」
相談者はしばらく黙っている。
「俺、いじめられてます」
日下部の手が止まる。
「うん」
「でも、それを誰にも相談したくないんです」
「恥ずかしい?」
「それもあります」
少し間。
「心配かけたくないのもあるし。親に知られたくないし、先生に知られるのも嫌です」
日下部は急かさない。
「何が一番嫌?」
相談者は俯いたまま答える。
「……相談した後です」
「後?」
「もし先生が動いたら。相手を呼んだり、親に連絡したりするじゃないですか。それで相手に、俺が言ったって知られたら」
少し間。
「今よりひどくなるかもしれない」
「うん」
「友達にも知られたくないです。今まで普通に話してた人まで、俺のこと腫れ物みたいに扱うかもしれない。そうなったら、もっと教室にいられなくなる」
日下部は少し考える。
「今のままも嫌なんだよな」
相談者は頷く。
「嫌です」
「でも、変わるのも怖い」
「……はい」
少し沈黙が流れる。
「だから」
相談者は小さく言う。
「俺、助けてほしくないわけじゃないんです。ただ、助けてもらった結果、全部めちゃくちゃになるのが怖い」
日下部は頷く。
「それは、相談したくなくなるな」
相談者が少し顔を上げる。
「相談って」
日下部は言う。
「全部話して、全部任せることだけじゃない」
「え?」
「『これをされた』まで話して、でも、こうなるのが怖いっていうところも一緒に話す」
相談者は黙る。
「例えば、親にはまだ言わないでほしい。相手には俺が相談したって言わないでほしい。いきなり呼び出すのはやめてほしい」
少し間。
「そういう希望も、相談の一部だ」
相談者は考え込む。
「相談したら、全部勝手に決められると思ってました」
「そう思ってたら」
日下部は言う。
「そりゃ言いたくなくなる」
相談者が小さく笑う。
「俺、『いじめられてます』って言うだけで、その先まで全部決まると思ってました」
「決める前に」
日下部は続ける。
「怖いことを伝えていい」
相談者は黙っている。
「それに」
少し間。
「今すぐ全部話せなくてもいい」
「……いいんですか」
「ただ」
日下部は真っ直ぐ相談者を見る。
「一人で耐え続けることだけを選択肢にしなくていい」
相談者はしばらく俯いていた。
やがて、小さく頷く。
「……じゃあ。まず、何をされてるかだけ話してもいいですか」
「もちろん」
「そのあとで。どうするか、一緒に考えてほしいです」
日下部は頷く。
「分かった」
相談者が少しだけ息を吐く。
「それなら……話せそうです」
いじめられていることを相談できないのは、「助けてほしくない」からとは限らない。
相談した後に何が起こるのか分からない。
相手に知られるかもしれない。
周囲の見方が変わるかもしれない。
自分の知らないところで話が進むかもしれない。
だから怖い。
それでも、「相談すること」と「全部を誰かに任せること」は同じではない。
怖いことも、してほしくないことも含めて話していい。
コメント
1件
読んだよ……このエピソード、すごく刺さった。 「相談した後が怖い」って気持ち、わかる気がする。助けてほしいけど、助けられた結果がもっと苦しくなるのを想像すると、確かに言い出せなくなるよね。でも日下部の「怖いことも含めて話していい」って言葉、すごく優しくて……。 相談することが全部を任せることじゃないって、ちゃんと教えてくれる大人がいるってだけで、安心できるんだなって思った。静かに寄り添う感じが、この作品らしくて好き🥀