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11話 1900スポット ウイング小学校
門の前で、
足が止まる。
視界の端まで、
建物が続いている。
低い棟。
少し高い棟。
どれも形が揃っていない。
人の流れが、
途切れない。
リカは、
鞄の肩紐を握る。
長めの上着。
袖は手の甲まで。
少し大きめの靴。
腰元で、
電子マネーのキーホルダーが
歩くたびに触れ合う。
校舎に入ると、
音が増える。
声。
足音。
椅子が引かれる気配。
廊下は広いが、
真っ直ぐではない。
曲がるたびに、
別の景色が出てくる。
教室の前で、
立ち止まる。
扉は軽く、
すぐに開く。
中には、
すでに人が多い。
机の並び。
高さの違う椅子。
服装も、
髪型もばらばら。
リカは、
空いている席に座る。
背もたれに体を預けると、
少しだけ緊張が抜ける。
前の席の子は、
短く切った髪。
動きが早く、
すぐに後ろを振り返る。
横の席の子は、
髪を丁寧に結び、
ノートをきっちり揃えている。
「よろしく」
小さな声。
リカは、
一拍おいて頷く。
授業が始まる。
説明は簡単で、
進みは早い。
周りの反応も早い。
わからないところは、
すぐに質問が飛ぶ。
置いていかれる感じは、
しない。
休み時間。
席を立つと、
すぐに声をかけられる。
「どこから来たの?」
番号を言うと、
何人かが頷く。
似たような話。
違う場所。
違う経路。
それぞれ、
移ってきたばかりだった。
昼。
机を寄せる。
鞄の中身を広げる音。
包みを開く音。
リカは、
静かに食べる。
話題は、
授業と校舎と、
次の行事。
特別なことは、
まだない。
午後。
窓の外に、
広い空が見える。
校庭では、
別の学年が動いている。
人が多い。
でも、
一人になれないわけじゃない。
帰り道。
門を出ると、
朝よりも足取りが軽い。
キーホルダーを握る。
番号は、
もう迷わない。
ここで、
友達に出会い、
ここで、
勉強していく。
それが、
今日からの日常になる。
リカは、
その流れに
静かに乗った。