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#ハッピーエンド
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レンブラントは、ベルの心を折ったことに気付かないままコツンと額を合わせた。
「さっきより顔が赤くなっている。また熱が上ったのか?」
的外れなことを尋ねるレンブラントに、ベルは毒を吐くよりもワタワタしてしまう。
「な……なな、何を」
「かなり熱いな。辛いだろう。こんな目に合わせて、すまなかったな」
銀色の前髪が頬に触れた途端、ベルの喉がこくりと鳴った。
レンブラントの冬の夕暮れのような黄色とオレンジ色の間のような瞳は、彼自身がその身に傷を追った時より痛々しく揺れている。
そんな彼の表情を見たベルは両手を突っぱねて、レンブラントの肩をグイっと押した。
一瞬でも、また口づけをされるのかと身構えた自分が酷く滑稽だったから。
「あのなぁ、しんどい時に何を遊んでいるんだ。ほら、腕を出せ」
ベルの心情にまったく気付かないレンブラントは、呆れた顔になりつつも毛布を剥いで、ベルの寝間着のボタンを外そうとする。
着替えさせると言ったのは、どうやら本気のようだ。
「触らないでくださいよ。このド変態」
「……確認するが、それは俺のことか?」
「あなた以外に誰がいるんですか?変態は総じて馬鹿なんですか?馬鹿なんですよ、きっと。……と、とにかくあなたが馬鹿なのは仕方が無いことですが、私に触れるのは止めてください」
力比べでは絶対に負けると判断したベルは、今度は身を丸めて己の貞操を守ろうとする。
そんなベルを見つめていたレンブラントは、ふっと肩の力を抜いて笑みを浮べた。
「あ、そうか。あんた恥ずかしがっているんだな」
「……なっ」
しれっとそんなことを言うレンブラントの神経がわからない。
もしや怪我の後遺症で、脳に何かしらの障害を負ってしまったのかと本気で心配してしまう。
しかしレンブラントは、至って正常だ。
「そう恥ずかしがるな。あんたの服を脱がせたのはこれが初めてじゃないだろう?今着ている服だって俺が……」
「嘘!?」
「どうだろうな」
意味深に笑うレンブラントは、どんなふうにも受け止めることができる。
「……私、死にたい」
この世の終わりのような表情を浮かべ、芋虫みたいに毛布を巻きつけたベルに、レンブラントは溜息を吐く。
「嘘だ。あんたを着替えさせたのは、この屋敷のメイドだ」
「なっ」
笑えない嘘に憤慨したベルは、フローチェと同じように、彼の脇腹をぶん殴ろうと毛布から腕を出した。
けれどその手は、殴る前に大きな手に包まれてしまう。
「ちょっとやり過ぎたようだな、悪かった。だがな、あんたが俺に酷いことを言うもんだから、俺だって大人げないことをするんだ。でもやっぱり、俺が悪かった。……すまない」
弱り切った声を出すレンブラントは、反対の手を伸ばしてベルの乱れた髪を整える。
まるで壊れ物を扱うような優しい手つきで。
(……そんなふうに触られたら、憎まれ口すら叩くことができないじゃん)
己を守る唯一の武器を取り上げられてしまったベルは、ぶすっと不貞腐れる。
「……確かにド変態っていう言葉は、一般的には酷いものでしたね。私も……ごめんなさい。もう少し湾曲した言い方をすれば良かったです。危険人物とか、異常者とか……」
「ベル、ちっとも湾曲な表現になっていないぞ。それと、俺が酷いと言ったのは、そっちじゃない」
「じゃあ、どっちですか?」
更にぶすっとしたベルの顎を、レンブラントは無言でむんずと掴むと、親指の腹でそっと唇を撫でる。
「キスをしたことを気にするなって言ったことだ」
「うっ」
「あんたにとってアレは、忘れられる出来事だったのか?相手に気にするなって言えるくらい軽いモノだったのか?」
「うっうう」
甘く掠れる声で囁いているくせに、レンブラントの額にはがっつり青筋が浮かんでいた。
コメント
1件
あーもう、この二人の距離感が絶妙すぎてにやにやが止まらないわ!「私、死にたい」って言うベルの気持ち、めっちゃわかる。レンブラント、キスのこと気にするなって言ったくせに自分が一番気にしてるじゃん!しかも青筋立てながら「あんたにとってアレは軽いモノだったのか」って詰めてくるところがもう…反則でしょ。普段は強気なベルがワタワタしてるギャップも可愛いし、このじれったい関係性、ずっと見てられるわ。