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ruruha
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きゆう
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📩 相談
高校2年・Mさん
私は、つらいことがあっても、あまり人に話しません。
この前、たまたま友達に話したら、「それはかわいそうだね」と言われました。
その瞬間、急に恥ずかしくなりました。
それまで自分では、そこまで惨めだと思っていなかったんです。
嫌だったし、苦しかったけど、「そういうこともある」と思っていました。
でも「かわいそう」と言われてから、その出来事を思い出すたびに、「私って、そんなにかわいそうな人だったんだ」「周りから見たら、惨めに見えてたのかな」と思うようになりました。
心配してくれたことは分かっています。
悪意がなかったことも分かっています。
それなのに、もうその人に自分の話をしたくありません。
「かわいそう」と言われたくらいで嫌になる私は、おかしいですか。
遥「……これ、嫌になるの分かる」
蓮司「俺も、言われた側だったら結構嫌かも」
日下部「『かわいそう』って、便利な言葉だからな」
遥「便利?」
日下部「話を聞いた側が、その出来事を一言でまとめられる。『大変だったんだな』より簡単だろ」
蓮司「しかも言った本人は、たぶん悪いことしたつもりない」
日下部「だから余計に言い返しにくい」
遥「……そうなんだよな。『嫌だった』って言うと、心配してくれた人を責めるみたいになる」
蓮司「でもMさんが嫌だったのは、心配されたことじゃないだろ」
遥「……うん」
蓮司「勝手に『かわいそうな人』っていう位置に置かれた感じじゃない?」
M「……それです」
遥「自分ではまだ、そこまで決めてなかったのに、他の人から言われた瞬間に、その見方をしなきゃいけなくなった感じ」
蓮司「しかも一回その言葉が入ると、過去まで変に見える」
M「そうです。前は普通に思い出せてたことなのに、『あれって、かわいそうなことだったんだ』って考えるようになって」
遥「自分の記憶なのに、自分の見方じゃなくなるんだな」
蓮司「そこが面倒なんだよ」
M「でも、本当にかわいそうなことだったのかもしれません」
蓮司「だったら何?」
M「え?」
蓮司「かわいそうだったら、何が変わる?」
M「……」
蓮司「その出来事が嫌だったことは分かる。でも、『かわいそう』って判定されたからって、Mが急に弱い人になるわけじゃないだろ」
遥「蓮司、それ言い方きつい」
蓮司「でもここ、結構大事だと思う」
遥「……うん」
蓮司「『かわいそう』って言われたあとに、Mが勝手に続きを作ってるんだよ。『かわいそうと言われた』『だから私は惨めに見える』『だから私は弱い』『だから人に話すべきじゃない』って」
M「……確かに、そこまで考えてました」
蓮司「友達はそこまで言ってないだろ」
M「言ってないです」
蓮司「じゃあ、そこから先は友達の言葉じゃない」
遥「……自分の中で膨らんだんだな」
M「そう考えると、ちょっと怖いです」
遥「怖い?」
M「一言だけで、自分のことを嫌いになれるんだなって」
遥「……それ、俺も分かる」
蓮司「遥の場合、一言じゃなくても勝手に増やすだろ」
遥「……それはそう」
日下部「ただ、Mが気にするべきなのは『かわいそうかどうか』を決めることじゃない」
M「じゃあ、何ですか?」
日下部「次にその友達と話すとき、どういう言い方なら自分が嫌じゃないか。それを考えればいい」
M「……どう言えばいいんだろう」
日下部「『心配してくれたのは分かってる。でも、かわいそうって言われるのは苦手だった』でいい」
M「それだけ?」
日下部「それ以上説明する必要があるなら話せばいい。なければ終わりでいい」
蓮司「むしろ、それで友達が『ごめん』って言ってくれたら終わりじゃない?」
M「でも、相手が『そんなつもりじゃなかった』って言ったら?」
蓮司「じゃあ『分かってる』って言えばいい」
M「……」
蓮司「悪意がなかったことと、嫌だったことは両立するから」
日下部「そこを相手に納得させる必要もない」
遥「……自分が嫌だったってことを、自分で取り消さなくていいんだと思う」
M「取り消さなくていい?」
遥「『心配してくれたんだから、嫌だと思っちゃ駄目』ってしなくていい」
M「……それなら、少し言えそうです」
蓮司「あと、もう一個」
M「はい」
蓮司「今後『かわいそう』って言われたとき、即座に自分をかわいそうな人認定しないこと」
M「難しいです」
蓮司「じゃあ逆に聞く。M自身は、その出来事をどう呼びたい?」
M「……嫌だったこと」
蓮司「それでいいじゃん」
遥「うん」
日下部「他人の言葉が最初に来ても、自分の言葉で言い直せばいい」
M「……自分で決め直していいんですね」
蓮司「最初から他人に決めてもらう必要ないだろ」
遥「『かわいそう』って言葉が嫌だったとしても、その人の心配まで嫌いになる必要はないし」
M「……それなら、友達に話してみようかな」
日下部「話すなら、何が嫌だったかだけ伝えればいい。過去の出来事全部を説明し直す必要はない」
M「分かりました」
遥「……俺、誰かに『かわいそう』って言われたら、たぶんその場では何も言えないと思う」
蓮司「おまえはそうだろうな」
遥「でも、あとで自分がその言葉を信じてることに気づいたら、ちょっと嫌かもしれない」
日下部「なら、自分の言葉に戻せばいい」
遥「……うん」
🗝 三人からのことば
遥「誰かにどう見えたかより、自分がその出来事をどう感じてたかを思い出していいと思う。『かわいそう』って言葉が刺さったとしても、それで自分の過去まで全部見直さなくていい」
蓮司「他人が一言でつけた評価を、そのまま自分の設定にする必要ない。『かわいそう』って言われた。そこまでは事実。その先まで勝手に採用するな」
日下部「嫌だった言葉は、嫌だったと言っていい。相手の意図まで否定する必要はない。次に同じことがあったとき、自分なら何と言われるのが一番楽か、それだけ考えておけばいい」
コメント
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第31話、めっちゃ響いた…。「かわいそう」って言葉、確かに便利だけど、言われた側の気持ちまで考えられてなかったわ。蓮司の「かわいそうだったら何が変わる?」って問いが刺さった。Mさんが自分の気持ちを「嫌だったこと」って呼び直せたのも、読んでてじんわりきた。自分の感情を他人のレッテルから取り戻す話、すごく好きだわ。次も楽しみにしてる🔥