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省吾さん、 誠実で男前で 素敵過ぎる~😎👍️💕💕 聡美ママも、彼になら 娘を安心して任せられますね....🥺🍀✨
久里浜のフェリー🚢の周辺にはよく出かけるので、省吾さんも行ったんだ~🚙💨....と思うと 何だか嬉しいです🎵😍🎵 久里浜に行くと フェリーの近くにある「海辺の湯」でゆっくりお風呂に浸かり、風呂上がりにお刺身定食を食べるのが わが家の定番になっています🐟️🍴🎶
とても素敵💓 こんなに奈緒ちゃんのこと、思ってくれる人 絶対に離したらだめ
指輪を購入した省吾は、車で横須賀の久里浜を目指す。
高速で行くよりも、フェリーで直接千葉に向かった方が早いと判断した省吾はフェリーで千葉へ向かう。
その頃、奈緒の実家では省吾を迎える準備はほぼ終わっていた。
それでもまだ母の聡美は、落ち着きなく部屋の中の拭き掃除をしている。
「お母さん、そんなにしなくても大丈夫よ。元々綺麗なんだから」
「うん、でもなんか気になっちゃってね」
聡美は答えながらまだ拭き掃除を続けている。
その時、家の前で車のエンジン音が聞こえた。省吾が来たようだ。
外に出ると、省吾が運転席から手を振っていたので、奈緒はすぐに駐車場へ車を誘導する。
そして車を停めた省吾が降りて来た。
「突然で悪かったね」
「ううん平気よ。それよりも仕事は大丈夫なの?」
「問題ないよ」
省吾はニッコリ微笑むと奈緒の後をついて行く。
そして玄関へ入った省吾を母の聡美が迎えた。
「まぁ遠い所をよくいらっしゃいました。奈緒の母の聡美です」
「初めまして、深山省吾と申します。突然お邪魔して申し訳ありません」
「お気になさらずに。さぁ、どうぞ中へ。遠くてお疲れになったでしょう?」
省吾はリビングへ通される。
部屋に入ると、省吾は用意して来た菓子折を聡美に渡した。
「お口に合うといいのですが」
「まあ、お気遣いありがとうございます。さ、どうぞお座りになって」
「失礼します」
省吾はソファーに腰を下ろす。
目の前の光景を見て、奈緒は信じられない思いでいっぱいだった。
自分の生まれ育った家に省吾がいる事が不思議でならない。
聡美はお茶を淹れてくると、省吾の前に「どうぞ」と置いた。
「ありがとうございます」
省吾は早速美味しそうに一口飲む。
それから聡美は省吾の前に、奈緒は省吾の隣に座った。
「奈緒から聞きました。深山さんにはいつも良くしていただいてるって。本当にありがとうございます」
すると省吾が姿勢を正して聡美にこう告げた。
「実は今日こちらへお伺いしたのは、奈緒さんとの結婚を許可していただきたくお願いにあがりました。私は奈緒さんと結婚したいと思っております。奈緒さんを一生大事にさせていただきますので、どうか結婚の許可をいただけないでしょうか?」
省吾は膝に手をつくと深々と頭を下げた。
省吾の言葉を聞き、二人は驚いていた。
今日省吾が来た理由は交際の申し込みだと思っていたので、いきなり結婚の話が出たのでびっくりしてしまう。
それ以前に奈緒はまだプロポーズもされていない。
「ちょ、ちょっと待って下さい。二人の間では、もうそういう話になっているの?」
「あ、いえ、奈緒さんにはまだ言っていません」
省吾は頭を掻きながらバツの悪そうな顔をする。
そんな省吾を見た聡美は、フフッと声を出して笑った。
「ちょっと順番が前後しちゃったのかしらね? で、奈緒、あなたはどうなの? 深山さんと結婚したいの?」
「えっと……私も突然の事でびっくりしちゃって……」
「フフッ、奈緒、それじゃあ答えになってないわ。どうなの? あなたは深山さんと結婚したいの? したくないの?」
「奈緒?」
省吾も心配そうな顔で覗き込む。
「あの…私で……本当に私でいいのですか?」
「もちろん。奈緒じゃないとダメなんだ」
「でもまだ私の事を全部知らないでしょう? 知ったら幻滅するかも……」
「幻滅なんてしないさ。逆に奈緒がいない方が俺は困る」
恥ずかしくなるようなセリフをさらりと言われたので、奈緒は頬を染める。
そこで聡美が言った。
「奈緒、どうなの? 深山さんと結婚したいの?」
「……したい…です」
奈緒の返事を聞いた省吾はホッとしていた。
母親の聡美も安堵したような表情で頷くと、今度は省吾に向かって言った。
「半年ほど前、この子に色々あった事は深山さんもご存知だって奈緒から聞きました。それでも本当にうちの娘でいいんでしょうか?」
「もちろんです。全てを知った上で私は彼女と結婚したいと思いました。彼女は前の婚約時にかなり辛い経験をしています。だからこそすぐに結婚したい。彼女を一人のまま不安にさせるよりも、一日も早く彼女と一緒になって安心してもらいたいんです。ですからどうかお母様の許可をいただければと……」
省吾はもう一度深く頭を下げた。
省吾は真剣だった。その真剣な思いは奈緒と聡美にひしひしと伝わっていた。
そんな省吾の思いに寄り添うように、奈緒も省吾と一緒に頭を下げる。
そんな二人を見た聡美は、フーッと深呼吸をしてから言った。
「女手一つで育ててきた大事な娘です。深山さん、どうか奈緒の事をよろしくお願いしますね」
聡美は省吾に向かって深くお辞儀をした。
そんな母の姿を見た奈緒は、思わず涙が溢れる。
「ありがとうございます。必ず大切にいたします」
その瞬間、省吾と奈緒の結婚が決まった。
その後は聡美が用意したご馳走で宴が始まった。
聡美は省吾にアルコールを勧めたが、省吾は食事の後に富津岬の星空を観に行きたいからと言ってやんわりと断る。
代わりに三人はノンアルコールビールで乾杯をした。
食事をしながら、聡美は省吾の仕事についてを尋ねた。
すると省吾は「遅くなってすみません」と言って聡美に名刺を渡す。
それを見た聡美は目を見開いて驚く。
「えっ? CEO……って?」
「お母さん、私が勤めている今の会社は深山さんが経営している会社なの」
「え? って事は社長さん?」
「まあそんなところです」
聡美はかなり気が動転していた。省吾はてっきり普通の会社員だと思っていたからだ。
そこからは、聡美の質問攻めが始まる。
省吾はなるべくわかりやすく今やっている事業についてを聡美に説明する。
省吾の説明を聡美は真剣に聞いていた。
聡美が用意した料理はどれも美味しかった。
新鮮な刺身や天ぷら、煮物や炊き込みご飯など、省吾は美味しいと言いながら全部平らげる。
省吾が沢山食べてくれたので、聡美はとても嬉しそうだった。
食後は、省吾が手土産で持って来た洋菓子をデザートに三人でコーヒーを飲んだ。
そこでも色々な話題が尽きない。
「深山さん、今日はうちに泊まっていったら?」
「え? よろしいんですか?」
「もちろんよ。明日は奈緒は休みだけれど省吾さんは?」
「一晩泊まらせていただけるなら、明日は私も休みをもらいますよ」
「そうと決まればお部屋の準備をしないと!」
聡美はなんだか嬉しそうだった。
その後、省吾と奈緒は富津岬へ星空を見に行く。
「お風呂の準備をしておくわね。気をつけて行ってらっしゃい」
聡美に見送られ、二人は夜のドライブに出掛けた。
車が走り出すと奈緒が言った。
「突然だったからびっくりしました」
「ごめん。でもね、奈緒がいなくなって初めてわかったんだ。俺には奈緒がいないと駄目だってね」
「それは秘書としてって事?」
「いや違う。俺の恋人として、妻として……奈緒には一生俺の傍にいて欲しい」
省吾からの突然の愛の告白に奈緒はドキッとする。
その時省吾の左手が奈緒の右手を握った。
「奈緒、もう俺の傍から離れるな」
「はい……」
「明日は車で一緒に帰ろう。で、東京に戻ったらなるべく早く俺のうちへ越して来い」
「え?」
「婚約期間なんてクソくらえだ! 俺は君の元婚約者のように君を一人なんかにはしないからな」
「……うん」
奈緒は幸せ過ぎて目頭がジーンと熱くなる。
奈緒が涙に滲んだ瞳のまま窓の外を眺めると、暗闇の中にはうっすらと夜の海が見えていた。