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弘人は表面的な事しか見ていない。理紗子ちゃんが身を切るような努力をして立ち直り、小説を書いていた事を想像すらしない。はぁ~、残念すぎる奴😮💨その時健吾さんは理紗子ちゃんの事を想い、手助けをしている。違いすぎるよね〜!
まだ若いのに、本当に残念な人....😓 自分が変わらない限り 成長は望めないのだけれど、 きっと自分を変える勇気が無いのでしょうね🤔 嫉妬に狂い、理紗子ちゃんと 健吾さんを攻撃したり ストーカー化しないことを祈りたい....🙏
億トレーダーを夢見て10年以上(いい加減諦めましょう) 運良くセミナー抽選にあたって会社サボった(そんなんだからなれないんです) もしかして2人は付き合っているのか?(はいそうです。見ての通りラブラブです) あんな男をそそるような身体つきをしていたか?(元々ですが、健吾によりさらに艶やかになりました) 大嫌いな佐倉健吾(こちらは吐き気がするほど大っ嫌いです) はぁ😮💨ダーメだこりゃ💦
坂本弘人は証券会社のセミナーの帰り道かなり最悪の気分だった。
セミナー講師の佐倉健吾の事を弘人は以前から気に食わないと思っていた。
ちょっと顔がいいからとタレント気取りで投資界の貴公子ともてはやされている。
そんな時証券会社のセミナーで佐倉が講師をやると知り直接会ってどんな奴か確かめてやろうと思った。
運よくセミナーが抽選で当たったので今日は会社をサボって参加した。
しかし実際講義を受けてみると予想通りに残念な内容だった。講義の内容はどれもリスクを抑えた投資方法ばかりだ。
投資というのは守りに入っていては絶対に儲からない。人とは違う方法でガツンと大勝負に出ないと億トレーダーにはなれない。弘人はそう思っていた。
それなのに健吾の投資手法はリスクばかりに意識を向けていてリターンを意識していない。あまりにも保守的などこにでもあるような内容だったので聞いていてうんざりした。
おまけに弘人の質問に対する回答があれだ。弘人はそんな回答が欲しくてセミナーに参加した訳ではない。
あまりにも頭に来たので最後にあの質問をしてやった。おそらく誰もが聞きたかった内容だろう。しかしなんだか上手く逃げられてしまった。
健吾は実際に投資をやっていると言い張っていた。そして動画の収益は寄付しているとも言った。
(好感度を上げる為だろう? バレバレなんだよ)
その時弘人はもしかしたら証券会社もグルなのかもしれないと思った。
(実際の所本当の億トレーダーなのかどうかも怪しいもんだ。あいつはやっぱり証券会社に作り上げられた偽トレーダーなんだろう?)
「俺は騙されないぞ」弘人はそう思いながら駅までの道を歩く。
それにしても会場に理紗子がいたのはびっくりした。
二年前に理紗子が会社を辞めて以来一度も会っていない。二年ぶりの再会だ。
理紗子が会社を辞めた理由はてっきり弘人と別れて会社に居辛くなったからだと思い込んでいた。
しかしその後すぐに本当の理由を知った。
なんと理紗子は小説家としてデビューしていたのだ。
理紗子の小説はあっという間に注目を浴び映画化される。そして理紗子は一躍人気の売れっ子作家となったのだ。
理紗子が小説家になったのを知っている同僚達は理紗子が雑誌に載る度に雑誌を会社に持って来て皆で回し読みをする。
弘人も何度か雑誌を見せて貰った。
雑誌の中で微笑む理紗子は以前よりも美しくゴージャスになりすっかりセレブの仲間入りをしていた。
長い髪をエレガントに巻き上品な服に身を包み女優のように微笑んで一流のプロカメラマンに写真を撮ってもらっている理紗子を見ると正直複雑な思いだった。
億トレーダーを夢見てもう10年以上投資をしているのにまだ会社員を続けている弘人と、すでに会社を辞めてセレブの世界で活躍している理紗子とでは雲泥の差だ。
雑誌の中でキラキラ輝く理紗子は見ていて眩しいほどだ。
弘人は自分が捨てた女が自分よりも高いステージにいるのを見るとみじめで辛かった。
そして別れ際に酷い事を言って理紗子を振った事を後悔していた。
あの時は弘人が不誠実な事をしたのにまるで理紗子に非があるように言ってしまった。
正直弘人は別れた後もたまに理紗子はどうしているかなと思い出す事もあった。
しかしそんな弘人の心配をよそに理紗子はグングン自分の夢に向かって邁進していたのだ。
理紗子が学生時代から趣味で小説を書いていた事を弘人は知っていた。
付き合い初めの頃理紗子から一度読んで感想を聞かせてと言われた事があったが読書が嫌いな弘人が理紗子の小説を読む事は一度もなかった。
(理紗子が俺に頼みごとをしたのなんてあれが最初で最後だったかもな)
弘人はその時読んでやればよかったなと悔やむ。
今日見た理紗子はとても美しかった。前からスタイルは良かったが一段とスリムになりメリハリのある女らしい身体つきになっていた。そして大人の女の色香も漂っていた。
そんな理紗子があの佐倉健吾と手を繋いで会場を後にしたので弘人は衝撃を受けていた。
(二人は一体どんな関係なんだ? もしかして付き合っているのか?)
気になった弘人はすぐに二人を追いかけた。すると二人は裏通りのカフェに入って行った。
二人は窓際のテーブルに座ったので弘人はそのまま店の外から二人を観察していた。
すると弘人が大嫌いな佐倉健吾が理紗子の首筋をそっと撫でるのが見えた。
まるで愛撫でもするかのようなその手つきに弘人は激しい怒りを覚える。
しかし理紗子もまんざらでもなさそうにうっとりとした表情で健吾を見つめていた。
そこで弘人は無性に腹が立った。
今日の理紗子は細身の黒のパンツに白のシャツのシンプルな装いだ。しかし逆にそのシンプルさが理紗子の女らしさを強調していた。白いシャツ越しのふくよかな胸、そして腰のくびれと形の良い尻に思わず弘人は目が行ってしまう。
理紗子と付き合っていた時には感じなかった感覚だ。
(理紗子はあんなに男をそそるような身体つきをしていたか?)
二人がカフェを出てからも弘人は二人の後をつけた。すると二人はコインパーキングへ行き車へ乗り込んだ。
その車がイタリアの高級車だったので弘人は余計に気に入らなかった。
車に乗った二人は笑顔で楽しそうに会話をしている。
その後イタリア車は力強いエンジン音を響かせて理紗子を乗せたまま弘人の前を走り去って行った。
(畜生! なんであいつと理紗子が?)
弘人は揺れる満員電車で後ろの人に背中を押されながら、つり革にもたれかかりながら呆然と窓の外を眺めていた。