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■世界観
遥か未来。
人類は「進化」という名の果てに、かつての“人間”という枠を越えた。
彼らは今、トピオワンダーと呼ばれる存在として生きている。
彼らの特徴は、三つの眼と五つの耳。
第一の眼は光を、第二の眼は紫外線と赤外線を、そして第三の眼は“暗黒物質”を視る。
この第三の眼こそが、トピオワンダーを人類から分かつ最大の進化だった。
暗黒物質の揺らぎを感じ取る神経構造──マターニューロン。
それは時間や空間を「物理現象」ではなく、「感覚」として扱える脳の領域であり、
彼らは過去や未来を“場所”として認識し、そこへ意識ごと移動できる。
つまり彼らにとって、「時間」は移動可能な道であり、
「歴史」は書き換えられる設計図のようなものだ。
この行為を、彼らは**“上書き(オーバーライト)”**と呼ぶ。
トピオワンダーの社会では、過去も未来も常に“最適化”され続けている。
■ 社会の基本思想
この世界には、ひとつの信念がある。
「未来も過去も、必ず管理できる」
「上書きこそが、進化した人類の正義」
この思想は宗教にも似た力で人々を縛り、
上書きを行う者たちは「オーバーライター」と呼ばれている。
トピオワンダーの約六割がこの職業に就いており、
彼らは歴史を修正し、事故を防ぎ、社会を“より良い形”に保つために働く。
上書きは義務であり、倫理であり、生活そのものだ。
しかし──
「管理できない未来」や「鏡の世界(反対軸)」、
そして「自分が複数存在する世界線」を語ることは絶対の禁忌。
それらを信じる者は異端とされ、社会から追放、あるいは存在そのものを消去される。
トピオワンダーの社会は、完璧な秩序と恐怖の上に成り立っている。
■ 社会構造と職業
都市は空に浮かぶ層構造で構成され、
上層には国家機関の「時間統制局」、
中層には民間の研究・取引エリア、
下層には市民と実験区域が広がっている。
空中には時間データを運ぶホログラム線が張り巡らされ、
街角には“過去の修正告知”が日常的に流れている。
人々は今日の出来事が“昨日からそうだったこと”に変わることを、もう不思議とは思わない。
そんな社会を支える主な職種が以下の通り:
🔹 オーバーライター(Overwriter)
過去と未来を修正し、秩序を保つ専門職。
社会の大多数を占め、“上書きは正義”という思想の象徴。
🔹 国家管理職トピオワンダー
時間統制局など公的機関に属し、国家規模での未来計画を担う。
秩序維持のために個人の命や出来事を消去する権限を持つ。
🔹 民間トピオワンダー
研究者、冒険家、未来取引人。
時間や記録を“商品”として扱う者も多く、国家とは対立と共存を繰り返している。
■ フォージャー(Forger) ― 命を“造る”職業
オーバーライターが過去と未来を「修正」するのに対し、
フォージャーは“命そのものを創り出す”。
彼らはマターニューロンと遺伝情報を組み合わせ、
既に存在しない命、あるいは理想化された人格を再構築する技術を持つ。
フォージャーには三つの系統がある。
1️⃣ 再現系フォージャー
英雄・天才・指導者を再現するが、人格は不完全で、記憶は人工的。
国家が非公表で利用している。
2️⃣ 民間ペット系フォージャー
新種の小動物や観賞用生命を造り、娯楽として販売。
“命を配合する文化”として人気だが、命の軽視が社会問題化している。
3️⃣ 国家軍事系フォージャー
兵器型トピオワンダーを造る極秘部門。
倫理的には完全にタブーだが、国家の裏では依存が進む。
■ テーマ
命を守ることは、正義でありうるのか。
失われた命を戻すことは救いか、それとも誰かの犠牲か。
未来を“最適化”することは、人間にとって幸せなのか。
師匠はなぜ消えたのか。そして“鏡の世界”は本当に存在するのか。