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徹と奈緒さんの将来を真剣に考えていた2人…💔 浮気相手とのドライブ🛣️の真相が知りたいーっ‼️ そして奈緒さんに寄り添ってくれる千秋さんの優しさが心に沁みる〜🌺 美味しいものをたくさん食べて🍴 心機一転お祝い🥂だ〜🙌✨🎶
結婚を考えてた相手だもん。複雑だけどふと会話とか思い出してしまうね🥺 親友と会って話す事で苦しい気持ちが少しずつ昇華されるといいね💕
おお、五月はみどり、妹は小松みどり(中略) 海老名美どり、木内みどり、木之内みどり、萩尾みどり、うつみ宮土理、宮崎緑、三輪みどりは もうイッた。(『おお牧場はみどり』より大幅改)
奈緒が新しいマンションへ越してから、三日目の朝を迎えた。
部屋に積み上げられていた段ボール箱はほぼ片付き、新しい家具も届いた。
やはり新しいソファやベッドは気持ちがいい。買い替えて正解だった。
奈緒は朝食を食べてから一通りの家事を済ませると、秘書業務の勉強を始める。
秘書検定の資格を持っているとはいえ、資格を取ったのはかなり昔だ。
あの頃覚えた内容はもうすっかり忘れている。だからもう一度復習しておこうと思った。
古いテキストを引っ張り出し二時間ほど集中する。
そしてひと段落したところで、奈緒は新しい部屋を見回しながら物思いに耽る。
その時の奈緒の頭の中には、あるシーンが蘇ってきた。
それは奈緒が徹からプロポーズされた後、二人で新居についてを語り合っている場面だった。
***
「やっぱり会社からは近い方がいいよなぁ」
「うん。結婚しても仕事を続けるからその方が助かるかも」
「だったら子供が出来た時の事も考えて、公園や保育園なんかもチェックしておいた方がいいよな?」
「それはまだちょっと早くない?」
「どうして? 結婚したらすぐ子供が出来るかもしれないだろう? だからちゃんと調べておかないと」
「それはそうだけど……」
「奈緒は子供が欲しくないのか?」
「もちろん欲しいわ」
「俺は一人っ子だったからさぁ、子供が出来たら兄弟を作ってやりたいんだよ。だから二人か三人は欲しいんだよなぁ……」
「さ、三人? それはちょっと無理……私の歳も考えてよ!」
「ハハッ、まあでも二人ならなんとかいけるだろう? 奈緒、頑張れよ」
「ひどいわ! 産むのは私なのにそんな他人事みたいに言って!」
「ハハハハッ」
「フフフフッ」
***
奈緒の目頭はジーンと熱くなっていた。
「ダメダメ……今は過去を振り返ってはダメよ! 前を見ないと!」
奈緒は自分に喝を入れるとキッチンへ行きマグカップを洗う。そしてそのまま昼食の支度を始めた。
昨夜作ったカレーが残っていたので、昼食はそれを温め直す事にした。
カレーライスの入った皿を真新しいダイニングテーブルへ運ぶと、奈緒はテレビをつけて食べようとした。
その時奈緒の携帯が鳴る。
見ると親友の森川千秋(もりかわちあき)からメッセージが届いていた。
【奈緒お疲れ~! 今日は早帰り出来そうだからご飯食べに行かない? もうすぐ新しい会社始まるんでしょう? だったらその前に!】
千秋のメッセージを見て奈緒の頬が緩む。
【うん、行く! 誘ってくれてありがとう】
【じゃあいつものイタリアンでいい? 今日は転職のお祝いに私が奢るわ】
【わぁ、ありがとう! じゃあ何時にする?】
【六時に予約入れとくよ】
【わかった。じゃあ後でね】
千秋と会うのは久しぶりだった。
奈緒は本当なら徹と正式に婚約した後、千秋に徹を紹介するつもりでいた。
しかしそれは叶わないまま終わった。
奈緒の婚約者が突然事故で亡くなったと知り、千秋はかなりショックを受けていた。
そして奈緒が泣きながら婚約者の不貞を告白した時、千秋は電話口でずっと奈緒に寄り添ってくれた。
奈緒は千秋に心配ばかりかけていたので、新しい仕事が始まる前に千秋に一度ちゃんと会いたいと思っていた。
そこへタイミング良く誘いが来たので嬉しかった。
奈緒が転職と引越しをした事を知り、千秋は誰よりも喜んでくれた。
どん底にいた親友が新たな一歩を踏み出したのを見て、安心しているようだ。
(千秋にもいっぱい心配かけちゃったから、ちゃんと報告しないとね)
奈緒は笑顔で頷くと、カレーを食べ始めた。
その日の午後、奈緒は千秋と会う前にデパートへ寄った。デパートへ来るのは久しぶりだ。
奈緒は今日ここで仕事の時に着る服をいくつか買いたいと思っていた。
CyberSpace.inc の社員達は、男女共に洗練されたファッションをしていた。
特に面接の際に見かけた女子社員達は、それぞれ個性豊かにオシャレを楽しみキラキラと輝いていた。
自分もあんな風に素敵な社員になりたい。あの環境にふさわしい素敵な服を着て胸を張って働きたい。
奈緒はそう思っていた。
それに秘書として働くなら、それなりにきちんとした格好も必要だろう。
だから今日は少し上質な品のある服を揃えたいと思っていた。
そこで奈緒はふと気付く。
(ここ最近オシャレなんて全く無関心だったのに……フフッ、不思議ね)
奈緒は思わず微笑んだ。
デパートへ到着すると、奈緒は早速ショップを渡り歩く。気になる店は全て覗いてみた。
二時間弱売り場を見て回った奈緒は、きちんとした場にも着られるスーツを一着、上品でエレガントなひざ丈のスカートを二着、更に足のラインが綺麗に見えるパンツとシンプルなブラウスを一着ずつ購入した。
これくらい揃えれば当面はなんとかなるだろう。
奈緒は満足のいく買い物が出来たのでホッとする。そして荷物はまとめて自宅へ配送してもらう事にした。
約束の時間まではまだ少しあったので、奈緒はデパート内のカフェで少し休憩する事にした。
平日の夕暮れ時のカフェは思いのほか空いていた。店内にはクラシック音楽が流れゆったりとした空気が流れている。
お茶を飲んでいる客は、ほとんどが買い物に来た女性達だ。
友人とお喋りを楽しんでいる人、一人でのんびりくつろいでいる人等様々だ。
奈緒がカフェオレを手にしてふと窓際の席を見ると、ちょうど奈緒と同年代の女性がいた。
女性はベビーカーに乗せた赤ちゃんを連れている。
赤ちゃんはベビーカーの中でスヤスヤと眠っていた。その寝顔はまるで天使のように愛らしい。
(もし徹と結婚していたら、私も数年後にはあんな感じだったのかな?)
ふとそんな思いが過り、奈緒は暗い気持ちになる。
しかしそんな思いをふっきるように一気にカフェオレを飲み干すと、奈緒はカフェを出て千秋と待ち合わせをしている店へ向かった。