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20話 空いている番号
放課後の1450スポット。
閲覧広場の石床は、
夕方になると少し冷たくなる。
リカは低い棚の前にしゃがみこみ、
厚みのある「スポットワーク」を膝に乗せていた。
髪は肩のあたりで外にはね、
制服の袖は少し長い。
指先にインクの跡がうっすら残っている。
隣ではカナが床に座り込み、
片膝を立てたままページをめくっている。
背中のかばんは大きく、
ぬいぐるみほどのサルのキーホルダーが
ゆらゆら揺れている。
「空いてる番号、まだあるね」
ページの端に、
小さく並ぶ数字。
誰も使っていない番号。
五か月以上更新がない番号。
仮設のまま閉じた番号。
押せば通るのか、
それとも、
もう通らないのか。
カナは笑って、
「端から押してみる?」と言う。
冗談のはずなのに、
数字の並びは静かだった。
さらにページをめくる。
小さな文字で、
最近確認された資源スポット一覧。
その中に、
129。
港も、
団地も、
寂れた商業施設も、
そこには書かれていないが
代わりに、
資源確認済。
海底石あり。
それだけ。
リカはページを閉じる。
数字は消えない。
押さなければ、
何も起きない。
押しても、
戻らないこともある。
数字だけが残っている。
それでも、
番号はきれいに並んでいる。