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恋愛禁止学園:特別編『さよなら、不純な私(委員長)』

1. 砕けない看板

その日は、皮肉なほどに晴れ渡った修学旅行の最終日でした。 お土産を買いに走った贄田 羊を追いかけて、断罪院 憐はいつものように警棒を振り回しながら叫んでいました。

「待ちなさい、羊くん! 校則第120条『勝手な単独行動』は禁止よ! 私の視界から\(1\\text{mm}\)でも外れるなんて、万死に値するわ……!」

横断歩道の向こう側で、羊が振り返って苦笑いした、その瞬間。 ブレーキの壊れた大型トラックが、赤信号を無視して突っ込んできました。

「……あ」

羊の体が宙に舞うはずでした。 けれど、鈍い衝撃音と共に倒れていたのは、羊ではなく、彼を突き飛ばして血の海に沈んだ、純白のドレス(旅行最終日の勝負服)を纏った憐でした。

「……せん、ぱい……?」

羊の手から、彼女のために買った安物のペアリングが転がり落ちました。 いつもなら「不潔よ!」と看板を叩き割って怒鳴るはずの彼女は、ピクリとも動きません。

2. 最後のご指導

病院の集中治療室。 ガラス越しに、ショコラも、アイ・ゼツも、リッチも、シノブも、言葉を失って立ち尽くしていました。 世界最強の「愛のエネルギー」を持っていた彼女の心拍数は、モニターの上で弱々しく、消えそうな線を刻んでいます。

羊が震える手で彼女の手を握ったとき、憐が微かに目を開けました。

「……羊……くん。……泣きなさい。校則……第1条。……愛する人の前で、強がるのは……禁止、よ」

「先輩、何言ってるんですか! 起きてください! 看板、まだ壊し足りないでしょう!? 僕を再教育するんじゃなかったんですか!」

憐は、消え入りそうな力で羊の頬を撫でました。 彼女の指先から、いつもの熱量が失われていく。

「……ごめん、ね。……私、貴様を……ずっと、縛り付けて、いたわね。……でも、後悔して……ないわ。……世界で、一番……不純な……幸せ、だった……」

ピーーーーーーーー。

無機質なアラーム音が響き渡り、断罪院 憐の「不純指数」は、ついにゼロになりました。

3. 世界から「色」が消えた日

一週間後。 再建された学園の正門には、黒いリボンがかかった**『恋愛禁止学園』**の看板が掲げられていました。 それを壊す者は、もう誰もいません。

羊は、彼女が最後に遺した「風紀委員の手帳」を開きました。 そこには、校則の代わりに、びっしりと羊への想いと、彼と過ごした日々の記録が書かれていました。

最後のページには、震える文字でこう記されていました。

『校則・最終条:私が死んでも、貴様は幸せになりなさい。……でも、少しだけ、私のことを覚えていてくれたら……嬉しいわ』

羊は、一人で正門の前に立ちました。 「……バカですよ、先輩。……独り占めするって、言ったじゃないですか」

その時、風が吹きました。 どこからか、聞き慣れた「不純よ!」という怒鳴り声が聞こえた気がして、羊は空を見上げました。


4. 奇跡(ドタバタ)の予感

沈痛な空気の中、背後で爆発音が響きました。

「……マスター。悲しみに暮れるのは非効率です。……断罪院憐の意識データ、および魂の断片は、私のサーバー内に\(99%\)サルベージ完了しました」 アイ・ゼツが、泣き腫らした目でタブレットを操作しています。

「お兄ちゃん! 憐さんの魂、異世界に転生しちゃったみたい! 今すぐ迎えに行くよ! 爆裂魔法で次元の壁をぶち抜くから!」 ショコラが涙を拭い、杖を構えました。

「おーっほっほ! 冥界の王を金で買収しておきましたわ! 憐さん、今頃地獄の看板を叩き割って暴れてますわよ!」 リッチが黄金のヘリで現れました。

「……羊殿。……拙者、憐殿の幽霊を捕まえた。……今、羊殿の背後に、憑いている……」 シノブが指差す先。

「……ちょっと、貴様らッ! 私がいない隙に羊くんにベタベタして! 万死! 万死に値するわよぉぉぉ!!」

羊の背後から、透き通った姿の、しかし怒髪天を突く勢いの**断罪院 憐(ゴースト)**が、ポルターガイスト現象で校門を粉砕しながら現れました。

「……先輩!?」 「当たり前でしょ! 貴様を置いて成仏なんて、校則違反よ!! さあ、肉体を取り戻すわよ! 全員、私の復活(不純)に付き合いなさい!!」

悲しみは一瞬。 物語は、**「幽霊になった嫁を生き返らせるための、全宇宙・冥界殴り込み編」**へと突入するのでした。

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