コメント
17件
さおりさん、あちこちにアンテナ📡はってさり気なく皆さんさおりさんの手のひらで転がされてる感じ🤭 凄い姉御ですね~🤩
ふふっ🥰 頑張れ井上くん‼️ きっと幸せになれるはずだから😆 秘書室、羨ましいなぁ😌 早い結婚もあまり良いとは言えないかなぁなんて痛感するワタクシであります🙅
井上くんも大好きな省吾さんと恵子ちゃんと話を出来てよかったね😊 そして恵子ちゃんと連絡先交換したしもう突き進むだけだよ😉💕 奈緒ちゃんも省吾さんの胸に飛び込んじゃいな😍
その頃、秘書室に井上がやって来た。
「技術部の井上です。ブロック解除に来ました」
「あーっ、井上君助かるぅー、こっちよ! 恵子ちゃんのパソコンなの」
恵子のパソコンと聞き井上はドキッとする。
しかしなるべく表情を変えないようにしながら恵子のデスクまで行った。
「どれっすか?」
「すみません、これなの~」
恵子は立ち上がって井上に席を譲る。
井上は椅子に座ると、早速エラー表示が出ている画面を見つめる。
状況を理解した井上は、すぐにCUI画面を開いて言った。
「やっぱ前に使った人がちゃんとログアウトしてませんねぇ。ちょっと待って下さい……」
井上はキーボードに手を置くと、ソースコードをものすごい速さで打ち始める。
その華麗な指の動きを見て恵子が呟く。
「うわー、井上君すごい! やっぱりエンジニアって何でもわかっちゃうんだね~」
恵子に褒められた井上は、作業をしながら耳まで真っ赤になる。それを見たさおりは、思わず吹き出しそうになる。
その時、奈緒が秘書室へ戻って来た。
それから数分後、ブロックは無事に解除された。
「直りました。これで普通にログイン出来ると思います」
「うわぁ井上君ありがとう~。ちょっとログインするまでまだここにいてよー」
そして恵子がログインしてみると、無事に入る事が出来た。
「うん、ちゃんと入れた! もう大丈夫みたいです。ありがとう!」
その時室内にコーヒーの香りが漂ってきた。
さおりがコーヒーを淹れてくれたようだ。
「井上君ご苦労様。折角だからコーヒーでも飲んで行かない? お菓子もあるわよ」
「いいんっすか?」
「もちろん! この秘書室は別名秘書カフェとも言われてるんだから」
「すみません、じゃあいただきます」
「あっちに行こうよ」
恵子に誘導され、井上は丸テーブルの前に座った。
ついでに秘書三人も午後の休憩を取る事にする。
その時またノックの音が響いた。奈緒が返事をするとまた省吾が現れた。
省吾は二人の事が気になるようだ。
「どう? 直った?」
「はい、井上君がビシッと直してくれました。お騒がせしました」
「それは良かったな。俺にもコーヒーを一杯くれ~」
「はいはい」
さおりがカップに入れたコーヒーを持って来てくれる。
井上の隣には省吾が座ったので、かなり緊張しているようだ。
それから秘書室でのコーヒータイムが始まる。
コーヒーを飲みながら、さおりと恵子は井上に次々と質問をする。
二人は大豊建設での井上の武勇伝を聞きたがった。
「へぇーっ、凄いわー、三上さんが作ったプログラムの代替案をスッと出せるなんてね~」
「ほんとほんと、さすが深山二世って言われるだけあるわ~」
「いや、そんな、恐れ多いっす……」
褒められた井上は、恥ずかしそうに頭を掻いている。
そこで省吾が聞いた。
「深山二世?」
「あっ、いえいえなんでもないですっ」
井上が慌てて言った。しかしすぐにさおりが説明を始める。
「井上君はまだ若いのにすごく有能でしょう? まるで深山さんの若い頃を見ているようだって、そんなあだ名がついたのよ」
「へぇーそういう事か。光栄だねー、いや、でもさ、もしかしたら井上君の方が俺の何倍も有能かもしれないぞ?」
「そんな事ないですっ!!!」
井上が慌てて否定したので、笑いが起こる。
顔を真っ赤にしている井上を見た恵子は、クスッと笑いながら心の中でこう思った。
(フフッ、井上君って意外とシャイなのね……可愛い)
その後話題は恵子のゴルフの話になった。
「恵子さんはこんなに暑くてもゴルフに行ってるの?」
省吾の質問に恵子が答える。
「行ってますよ~、もう汗びっしょり! 日焼け止めなんて全部流れちゃうんでこんなに真っ黒ですよ。でも自然の中でプレーするのはすごく気持ちいいです~」
「へぇーいいストレス解消になりそうだなー。ところで井上君はゴルフデビューはまだだったよね?」
「えっ、あ? はい」
「技術部は接待がないからやらなくてもいいやって思ってるでしょう? でもね、君みたいに将来性のある人間は、ゴルフはやっておいた方がいいかもしれないよー」
省吾の言葉に、井上が目を丸くする。
「そうなんっすか?」
「そうそう。将来有望な人は、ゴルフは絶対やっておいた方がいいわよー」
さおりも助言する。
すると井上が困ったように言った。
「でも俺、ゴルフのゴの字もわかんないっすから」
「誰かに教えてもらえばいいじゃない」
さおりの言い方はどことなくしらじらしい。しかしさらにわざとらしく省吾が頷く。
そんな二人を見ていた奈緒は、思わず吹き出しそうになった。
その時、恵子が言った。
「ゴルフだったらいつでも教えるわよ」
「マジっすか? でも結構足手まといになるかもしれないっすよ?」
「井上君って、スポーツは何かやってたの?」
「高校まではサッカーやってました」
「えーっ? そうなんだぁー。ちなみに好きなチームは?」
実は恵子も大のサッカー好きだった。先日もJリーグの試合を観戦して来たばかりだ。
「世田谷トルネードっすねぇ」
「キャーッ! 同じーーー!」
そこで二人はサッカーの話で盛り上がる。
その流れで、二人は後日ゴルフの練習に行く約束をした。
更にサッカーのチケットが取れたら観戦に行く約束もする。
二人が連絡先を交換するのを、三人は笑顔で嬉しそうに見つめていた。
そこで午後のコーヒータイムが終わる。
男性陣が部屋を出て行くと、恵子も化粧室へ向かう。
奈緒がカップを洗っているとさおりが言った。
「やれやれ…なんとか上手くいったわね」
「はい。さおりさんのさり気ない誘導、実にお見事でした」
「フフッ、ありがとう。さあて、次は奈緒ちゃんの番よ」
「え?」
「奈緒ちゃんも、そろそろ自分の気持ちに素直になってもいいんじゃないの?」
「…………」
「さっき見てたらさぁ、省吾が奈緒ちゃんを見る目がすごーく優しいの……あんな省吾は初めて見るわ。あれは絶対本気よ」
「…………」
「省吾はね、ああ見えて結構気を遣うタイプなんだ。奈緒ちゃんは今まで色々あったから、奈緒ちゃんの事を傷付けないようにって奴はかなり慎重になっていると思うんだ。だから奈緒ちゃんがOKのGOサインを出してあげないと、きっと前に進めないんじゃないかなーって思うんだよね」
それは奈緒も薄々感じていた。
省吾が自分に好意を持ってくれている事、そして優しさのあまりその先に進めずにいるという事もわかっていた。
ただ奈緒も新しい恋の始め方をすっかり忘れているので、どう対応していいかわからない。
しかしいつまでも逃げてばかりじゃいけないと奈緒は思う。
「わかりました。ちゃんと考えてみます」
奈緒の返事を聞いたさおりは、少しホッとした様子でうんと頷いた。