優羽は早速その日の夜から、岳大のブランドリニューアルの案件に取り掛かった。
流星を寝かしつけた後山荘の残務処理を終えてから、その後の自由時間を全て使って仕事に取り組む。
アウトドアブランドとはいえ、ウェアや小物のコーディネートは優羽にとってはとても楽しいものだった。
優羽は時間を忘れてその仕事に没頭した。
時折、ファッション雑誌やネット検索で情報を収集し、他の企業のWEBカタログなどにも目を通し策を練る。
岳大のブランドを見ていると、本当に品質の良い物を作ろうとする姿勢を強く感じる。
素材やデザインが素晴らしいのはもちろんの事、流行に左右されずに長く愛用出来るデザインになっている。
売り上げばかりに重点を置く今の消費社会とは一線を引き、長い目で見て自然環境への負荷を少なくするようなモノ作りをして
いる事が感じられる。これは岳大が本当に自然を尊いものとして捉えている証拠だ。
優羽は、素人の自分がそんなモノ作りの一部を任されているという事に、とても重い責任を感じると共に少し誇らしい気持ちに
なる。
そしてそんなチャンスをくれた岳大に対し感謝の気持ちでいっぱいだった。
そして優羽がネットでアウトドアブランドについての情報を検索しているとある記事が目に留まった。
それは優羽が以前勤めていたアパレルメーカーがアウトドア部門に進出するというものだった。
優羽はその記事が気になり記事を読み進めていった。
すると2ページ目にある人物の写真が掲載されていた。それを見て優羽は驚愕する。
その人物とは、以前優羽が道の駅でぶつかった西村隆だった。
西村は以前優羽と交際していた男で流星の実の父だった。
大手アパレルメーカーが新しく立ち上げるアウトドアブランドの代表には、その西村が就くと書かれていた。
そしてそのアウトドアブランドは雑誌『peak hunt』の提携ブランドとして売り出される事が決定しているようだ。
その記事を見て、優羽は複雑な気持ちになる。
西村が社長を務める新ブランドが雑誌『peak hunt』と提携するという事は、岳大のブランドの後釜になるという事だ。
大手アパレルメーカーをバッグに持つ西村の新ブランドは、岳大のブランドの強力なライバルになるだろう。
記事を読み終えると、優羽は大きく深呼吸をして心を落ち着けようと窓の外を見た。
優羽はその時、西村のブランドには絶対に負けたくない…そんな思いがふつふつと湧き上がって来ていた。
優羽は椅子から立ち上がると窓辺へ近づく。
そして夜空を見上げた。
すると優羽の視線の先には、一際明るく輝く星がまるで優羽を励ますかのようにキラキラと輝いていた。
コメント
3件
そうだ!負けるなーっ!!! 見返えしてやろ〜っ!!!٩(๑•o•๑)وオーッ‼
また元旦那の事で困難になりそうだけど負けないで欲しい優羽さん頑張って!
西村は岳大さんのブランドの後釜になるのなら当然岳大さんを意識してると思うし、優羽ちゃんも対抗意識が出て当然‼️ 岳大さんのポリシーを前面に押し出して価格だけでなく対抗できる強みを優羽ちゃんのコーディネートで醸し出して✨✨,がんばれ👍