テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
マー君のお母さん、栗原ミサキさんが倒れたとホテルから連絡が入ったのは、昨日の夜遅く。
従業員が廊下で倒れ伏すミサキさんとそのかたわらで懸命に介抱しようとしているマー君を見つけたらしい。マー君はただ一言、塚森家に連絡してください、と言ったそうだ。
きっと不安で泣いているんやろな。かわいそうに……。
お父さんと一緒に市民病院まで駆けつけたが、そこにいたマー君の様子はうちの想像とかなり違った。
マー君は冷静だった。お父さんやお医者さんともテキパキよどみなく受け応えしていたし、東京の芸能事務所の社長さんにも自ら報告の電話を入れていた。
正直、うちだったらこんな時ひたすらオタオタしてしまうと思う。一方、ミサキさんは目を覚まさなかったが、心労が溜まっていたと診断された.
そのまま入院と言うことになり、マー君は大人もいないまま一人でホテルに帰すわけにもいかず、塚森家が預かることになった。
そう決まるとマー君はお医者さんや看護士さん達の前で三つ指をついて、母上様をどうぞよろしくお願いいたします、と深々と頭を下げて見せ、みんなを驚かせ感心させた。
そして、それから何だかんだあって――。
「……キミカちゃん。起きて」
肩を揺さぶられうちが目を覚ましたのが今日の夜明け、午前四時半ごろだった。寝惚け眼をこすりながら身体を起こすと、ベッドの横にはマー君が立っていた。
マー君はお父さんの部屋で寝ていたはずなのに……。
やっぱりお母さんが恋しくて眠れなくなったんやろか。
何か言おうとうちが口を開きかけると、
「ごめんね、こんなに早く」
心底、申し訳なさそうな表情でマー君は言った。
「だけど、キミカちゃんには墓守衆の一人としてお役目を受けて欲しいんだ。……マキオが信頼しているのは、母上様を別とすればキミカちゃんだけだから」
この子は何を言い出すんやろ、とうちは思った。
墓守衆というのは塚森家の古い呼ばれ方だけど……お役目?
マー君がうちを信頼?
いきなりすぎて何の話か全く飲み込めない。
どう答えればいいか分からず、うちは黙り込んでしまう。それを不安と受け取ったのか、マー君は口元を少しほころばせ、
「心配しないで。絶対、危ない目には遭わせないから。キミカちゃんには、ただ立ち会って欲しいだけ。それ以外は何もしなくていい」
「そ、そんなこと急に言われても……」
「さあ、早く支度して」
そう言ったマー君の声は優しかったけれど、どこか威厳があって、有無を
言わさない迫力があった。
「当主殿、キミカちゃんのお父さんにも話は通してあるから。……悪いけれど、あまりゆっくりもしてられないんだ」
#ダークファンタジー
#和風ファンタジー
#異能
#和風ファンタジー
コメント
1件
えっ、マー君のお母さん倒れたの?!しかもマー君、あの状況でめっちゃ冷静に対応しててびっくり…😳 でも最後の「マキオが信頼しているのはキミカちゃんだけ」ってセリフ、尊すぎん?! 急に役目頼まれて戸惑うキミカちゃんの気持ちもわかるけど、マー君の優しくてでも有無を言わせない雰囲気にドキドキしちゃった…✨ 続きが気になる〜!!🥺💕