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#コメディ時々暗闇
奏音•*¨*•.¸¸♬︎💙
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NGS_ヘビーなしっぽ
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#妖怪
百はな🍑
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空中を埋め尽くす木の葉の弾丸が、逃げ道を塞がれた僕の身体を一斉に貫いた。
「――っ、が、は……ッ!」
硬質化した無数の葉が肉を裂き、鋭い激痛が全身を走る。血飛沫を上げながら、僕はアスファルトの地面へと力なく転がった。傷口が熱く、まともに立ち上がることすら不自由なダメージ。地を這う僕を、ガイアは冷徹な美しい瞳で見下ろし、妖しく微笑んだ。
「どうする? 私にひれ伏せば、命だけは助けてあげてもいいけれど?」
「……断ります」
僕は血を吐き捨て、睨み返した。ここで折れるくらいなら、最初から国家転覆なんて言葉は口にしない。
「そう。……そういえば、この近くには大きな水族館があるのだけれど、知っているかしら?」
「クアトルシティは……本当に、なんでもあるんだね」
嫌な予感が頭脳を過った瞬間、ガイアは自らの手のひらの傷から溢れる血を、近くにそびえ立つ水族館の建物へと容赦なく振り払った。直後、凄まじいガラスの破砕音が街に響き渡った。
決壊した水族館の巨大水槽から、何十トンもの大量の水が溢れ出し、ガイアの血を吸って物質としての形状を歪めていく。それはまるで、意思を持った巨大な『水龍』の姿へと変貌し、白昼の地上を凄まじい勢いで這い回ってきた。
「――なっ、水まで……っ!?」
逃げる間もなく、牙を剥いた水の塊が僕の五体を丸ごと飲み込んだ。
「すぐに殺してしまってはつまらないわ。じっくり、苦しめてから殺してあげる」
ガイアの冷酷な声が、水の外から微かに聞こえた。球体の水の檻の中に閉じ込められ、身体が完全に宙に浮く。
(……ごほっ、息が、出来ない……。やば、これ、めちゃくちゃしんどいな……)
肺から酸素が奪われ、脳内が急速に思考停止のバグを起こし始める。逃げるために影を展開しようにも、水の屈折と窒息の苦しみで視覚が激しくブレて、座標が全く定まらない。完全にチェックメイトの檻に監禁された状態。
意識が遠のきかけたその時、僕を縛り付けていた水の龍が、急激に自重を失ってバシャリとアスファルトの上へと崩れ落ちた。
「はぁ……っ! はぁ、はぁ……っ! ……また、制限時間……?」
激しく咳き込みながら、濡れた地面に両手をついて必死に酸素を吸い込む。
「ええ、その通りよ」
ガイアは立ち上がることもせず、憐れむように僕を見つめた。
「私の能力の詳細を教えてやろう、どうせ貴様には、もうここから勝つ方法なんて残されていないのだから」
彼女は自分の指先についた血を妖しく見つめながら、冷徹にその『支配のシステム』を口にした。
「血の契約(けいやく)。私の血をかけた全てのものは、約十秒間だけ生命を与えられ、私に絶対に従う奴隷となる。ビルも、地面も、木も、水も。私の血が触れた環境はすべて、私の所有物へと書き換わる」
「……それは、とんでもないチートだね」
血がかかれば、この街のあらゆるインフラが10秒間、無敵の兵器に変わる。
「今さら何を言っているのかしら? ――覚醒者の能力なんて、みんな平等に理不尽でしょう?」
「確かにね」
僕はふらつく身体を無理やり引きずり、濡れたアスファルトを踏み締めて立ち上がった。
「でもね、ガイア。能力が人間のいかれた思いの反映なら、その歪みのせいで、能力には必ず『弱点』も存在するはずだよ」
「私の能力は無敵。だって、この世界の女王なのだから」
ガイアは美しく不敵に微笑み、手のひらから滴る鮮血を再び周囲のアスファルトの路面と街路樹の木へと同時に振り払った。
「次でお終いよ、レイ」
「――行くよ」
再びうねりを上げて牙を剥く人工物と、弾丸のように鋭く硬質化して降り注ぐ緑の葉。僕はこれまでの戦いで培ってきた『影の高速同期』を極限まで起動させた。
(血の契約の有効時間は、約十秒間……。それさえ耐え凌げば、必ず奴隷たちの動きは止まる!)
迫り来るワニのような路面の隆起を、僕は数秒後の未来の影へと身体を跳ばす瞬間移動で紙一重でかわす。空中で襲いかかる木の葉の嵐には、直前に自分が通った過去の影の座標へと肉体を巻き戻してエスケープしてみせた。
息が詰まるような、一瞬のミスも許されない死の十秒間。無数の質量暴力が僕の衣服を切り裂き、肉を削っていくが、僕の頭脳は冷静にカウントダウンを刻み続けていた。
……九、十。今だ!十秒が経過した瞬間、僕を押し潰そうとしていた街全体の猛攻が、糸を切られた人形のようにピタリと動きを止めた。環境操作の制限時間切れ。奴隷たちがただの無機物へと戻ったその刹那、僕は一気にガイアの目の前へと瞬間移動で登場した。
トオルから僕の手札を聞いているのだとしたら、これまでの単純な瞬間移動の奇襲は通用しない。なら、トオルですら予知できなかった、僕の最強の応用技を使う。僕は、目の前に自分の『過去の影』と『未来の影』を同時に展開した。
「またそれかしら? 無駄よ」
ガイアが血のついた手を掲げようとするが、今度は違う。僕は二つの影の座標を、ガイアにぶつけるのではなく、僕自身の『肉体(現在)』へと無理やり重ね合わせ、同期させた。
時間の歪みが僕の存在そのものを包み込む。現在という時間の座標を一時的に失うことで、僕はガイアの目の前から完全に『数秒間、姿を消した』。姿が見えないだけでなく、気配も、音も、空間の認識すらも世界から完全にデリートされた無敵の座標消失。
この、僕が世界から消えているわずか数秒の間に、近接戦闘が苦手な女王の懐へと肉薄し、一気に無力化する!
コメント
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みぅ🤍🥀です。 第38話「苦戦」、読み終わりました。 ガイアの「血の契約」、10秒間だけ環境そのものを支配するって……本当に理不尽なチート能力ですよね。でもレイが「能力には必ず弱点がある」って言い返したところ、すごくかっこよかったです。あの絶望的な水の檻から、制限時間を読み切って脱出する姿に、心臓がぎゅっとなりました。 影の同期で時間座標ごと消える技、トオルすら予想できないレイの本当の切り札、すごく好きです。次が楽しみ……これからも静かに読ませてください🌙