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ruruha
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#一次創作
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コメント
1件
読み終わりました……「大丈夫」って、一番簡単なのに一番重い言葉ですよね。日下部さんの「百かゼロで考えなくていい」「小出しでもいい」という言葉が、すごく優しくて沁みました。全部話さなきゃ、と思いすぎてしまう自分にも、そう言ってあげたい。本音を少しずつ出せる関係って、こうやって築かれていくんだなあと、温かい気持ちになりました。素敵なエピソードをありがとうございます🌷
放課後。
空き教室。
日下部は机に肘をついて、ぼんやり窓の外を眺めていた。
ドアが開く。
「お疲れ」
「お疲れ」
相談者が教室に入る。
「眠そうですね」
「眠い」
「正直ですね」
「隠す意味ないし」
相談者が笑って席に座る。
「今日は?」
相談者は少し考えてから口を開く。
「俺、『大丈夫?』って聞かれると、反射で『大丈夫』って言っちゃうんです」
日下部は目を向ける。
「本当は?」
相談者は少し黙る。
「大丈夫じゃない時もあります。でも、気づいたら言ってます。『大丈夫』って」
教室が静かになる。
「何で言うんだろうな」
相談者は苦笑する。
「分かんないです」
少し間を置く。
「心配かけたくないのか、説明するのが面倒なのか、自分でもよく分からなくて」
日下部は頷く。
「『大丈夫』って言うと、その話、終わるだろ」
相談者は顔を上げる。
「……はい」
「終わると安心する?」
少し考える。
「その時は。でも」
視線が落ちる。
「帰ってから、『何で言わなかったんだろう』って思います」
日下部は少し笑った。
「もったいないな」
相談者は黙る。
「『大丈夫』って」
日下部は言う。
「便利なんだよ」
「便利?」
「相手を安心させられる、説明もしなくていい、その場も終わる」
少し間。
「だから癖になる」
相談者は小さく頷く。
「確かに」
「でも」
日下部は続ける。
「毎回それだと周りは」
少し間。
「本当に大丈夫なんだって思う」
相談者は黙る。
「俺、気づいてほしい気持ちもあります」
「だろうな」
「でも、言えないです」
教室に静かな時間が流れる。
日下部は口を開く。
「『大丈夫じゃない』が言えないなら」
少し間。
「百かゼロで考えなくていい」
相談者は首を傾げる。
「え?」
「『ちょっと疲れてる』『今日は少ししんどい』『また今度聞いて』」
短く言う。
「そのくらいでも伝わる」
相談者は考え込む。
「俺、『大丈夫』か『全部話す』しかないと思ってました」
「間がある」
日下部は頷く。
「人に話すって」
少し笑う。
「小出しでもいい」
相談者も少し笑った。
「それなら、できるかもしれません」
立ち上がる。
「次また聞かれたら」
少し考える。
「『今日はちょっと疲れてる』くらいなら言ってみます」
「十分だ」
日下部は言う。
「本音って」
少し間。
「急に全部は出てこないからな」
相談者は静かに頷いた。
「ありがとうございます」
ドアが閉まる。
「大丈夫」と答えるのは、強いからとは限らない。
その一言が、一番言いやすい言葉になっているだけなのかもしれない。
少しだけ本音を混ぜられる日が増えたら、誰かとの距離も少し変わるのかもしれない。