テラーノベル
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教室の端。大騒ぎじゃないけど、誰かと話してる感じ。飯は食う。でも、話題はバラバラ。弁当の中身も、少しずつ違う。
(机は寄せない。でも会話は届く距離感。全員、適当に弁当やパンを広げる)
蓮司「あー、今日も冷食三昧。
レンジと油でできてる男、それが俺」
遥「(ぼそ)……それ、誇らしげに言うことかよ」
蓮司「いや逆にすごくね?
このシュウマイと唐揚げ、きのうのと100%一致してる。俺の舌が覚えてる」
日下部「……食べ過ぎると、飽きるぞ」
蓮司「飽きる前に舌が壊れるからセーフ。
つーかお前のそれ、なんか……健康そうだな」
日下部「自分で詰めた。昨日の残りと冷蔵庫のやつ……」
遥「(小さく笑って)……見た目、質実剛健って感じ」
蓮司「“真面目な理系男子の食卓”って感じするわ。
こっちは“ジャンク系・情緒不安定味”だけど」
遥「じゃあ俺のは……“なにかを諦めた人間のごはん”」
蓮司「おいおい、勝手に最終回みたいな顔すんなよ」
遥「だって、白米しか入ってないんだぜ。梅干しも無し。
しかもラップに包んだだけ。弁当箱が泣いてる」
日下部「……それ、買い弁に変えたら?」
遥「財布、今日死んでる。
てか“昼飯に金使う”って感覚が、昔からない……」
(少し空気が沈みかけるが──)
蓮司「……じゃあこれやるわ、たくあん」
(弁当の端から黄色いのを差し出す)
遥「なんでたくあん?」
蓮司「見た目的に“弁当らしさ”を出すためのやつだろ、たくあんって。
ほら、黄色いとテンション上がるじゃん?」
遥「……謎理論。
……でも、もらう。黄色いだけで負けた気がする」
(受け取って、白米の上にポンと乗せる)
日下部「……俺の卵焼きも、一個だけなら」
蓮司「おっ、まさかの栄養支援」
遥「なんか俺、“かわいそうなやつ扱い”されてない?」
蓮司「違う違う。“色味が偏ってる”ってだけ。
食事のバランスって、ビジュアル大事だから」
遥(笑いながら)「なにキャラだよ……」
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