テラーノベル
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それから数日後、何とか元気を取り戻したNさんはレンタルビデオ屋に向かった。
アルバイトはやめるつもりだった。
しかし、そのことを切り出すよりも早く、沈痛な表情の店長に告げられたことにNさんは衝撃を受けた。
「Jが死んだって言うんです。俺が参っている間に……。あの交差点でトラックにはねられて」
J君は数人の遊び仲間と一緒に深夜、あの交差点に徒歩で向かったらしい。どうやら、暇潰しの肝試しのつもりだったようだ。
具体的に何があったのかは不明だが、そこで事故が発生し、J君だけが帰らぬ人になってしまった、ということだ。
もちろん悲しかったです、とNさんは続けた。
「そこまで深い仲でもないですが、一応同じバイト仲間でしたしね……。だけど、住所交換とかはしてなくて。だからお葬式にも行くことはできませんでした」
それから長い月日が経ち、社会人となったNさんは家庭を持ち、子供にも恵まれた。
新しい道路ができたおかげで例の交差点はなるべく避けて生活を送って来たNさんだったが、最近気にかかることがあると言う。
「今年、小学校にあがった上の子が友達……、いえその友達から聞いたと話をしていたんですが……」
未だにあの交差点には「お化け」がでるそうだ。
それも二人組の。
一人は浴衣姿の小さな男の子。
そして、もう一人は頭髪を黄色く雑に染めた、血まみれの青年。
深夜の間だけ、その二人はしっかりと手を取り合った姿で現れると言う。
「それがJかどうかはわかりません。確かめに行くつもりはないです。もし、未だにさ迷っているのなら気の毒だとは思うけど、冥福を祈る以外俺には何もできないから」
そう言ってNさんは唇を噛みしめた。
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