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すっこ
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杯雪乃
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うわあああ第27話読み終えたよ…!!😭💦 父さんの「死ぬ仕組みは知ってる」って冷静な口調、めっちゃ怖かった…。でも「紙は怖くない。怖いのは信じた人間」って言葉がめちゃくちゃ心に刺さった…。 そしてまさかの母・千佳が最初の死亡通知を作ったって衝撃すぎる…!!「ただの遊びを本物にした誰か」って、そいつが今の真犯人なんだろうな…。澪の気持ち考えたら胸が苦しいよ…。次の話が待てないよ〜!!🌸
「死亡通知じゃ、俺は死なない」
父はそう言った。
私はすぐには返せなかった。
三枚目の死亡通知には、
父の名前。
九月六日。
午後十一時四十分。
死亡場所は母の家。
死因は、
刺殺。
玄関には、その予告通り包丁まで突き刺されている。
なのに父だけが、
最初から怯えていない。
「どうしてそんなこと言えるの」
「知ってるからだ」
「何を?」
「死亡通知の仕組みを」
真壁刑事が父を見る。
「詳しく聞きましょう」
父は病室の椅子へ座った。
柿崎先生はベッドの上で、
目を閉じたまま何も言わない。
「雅彦さん」
私は父の前に立つ。
「父さん、死亡通知を作ったの?」
「違う」
即答だった。
「じゃあ誰?」
父は答えない。
「また隠すの?」
「順番に話す」
「人が死んでるのに?」
父が私を見る。
「だから話すんだ」
そして、
三枚目の死亡通知を指した。
「澪。この紙を見て、お前は何を信じた?」
「父さんが死ぬ」
「なぜ?」
「そう書いてあるから」
「それだけだ」
「何が?」
「死亡通知の一番怖いところは、死を予知することじゃない」
父は言った。
「人間に、書いてあることを信じさせることだ」
高瀬を思い出す。
三日後に転落死する。
そう書かれていた。
高瀬は怯え、
母の姿を見たと言い、
最後には屋上から落ちた。
久我もそう。
自分が死ぬ。
父を殺せば助かる。
そう書かれていた。
だから父へ車を向けた。
「つまり……」
私は言った。
「通知そのものに、人を殺す力はない?」
「ない」
父は断言した。
「呪いでも予言でもない」
「じゃあ赤い文字は?」
勝手に浮かんだ文字。
水に濡れる紙。
消えて、
また現れる通知。
父は首を振った。
「そこは俺にも分からない」
「分からないのに、死なないって言えるの?」
「死ぬ仕組みだけは知ってる」
真壁が訊く。
「どういう仕組みです」
父は少し考えた。
「死亡通知には、三種類の人間がいる」
指を一本立てる。
「通知を受け取る人間」
二本目。
「その人間が選ぶ対象」
三本目。
「そして、実際に手を下す人間」
私は眉を寄せた。
「全部別?」
「別になることがある」
佐伯の通知。
名前は佐伯。
でも死んだのは息子。
運転したのは奈緒。
久我の通知。
名前は久我。
しかし久我は、
父を殺せば自分は助かると思わされていた。
「人を殺すための命令書……」
「そうだ」
父が言う。
「未来を当ててるんじゃない」
「じゃあ、午後十一時四十分は?」
「期限だ」
「何の?」
「誰かが結果を確認する時刻」
私は息を止めた。
死亡時刻ではない。
計画の締切。
「だから同じ時刻が何度も出る?」
「ああ」
「でも、本当にその時間に死んだ人もいる」
「死ぬように仕組まれてるからだ」
真壁の目が鋭くなる。
「組織的犯行を示唆していますか」
「少なくとも一人じゃ無理だ」
父は答えた。
「戸籍を触れる人間」
「病院の記録を触れる人間」
「会社の事情を知る人間」
「俺たちの過去を知る人間」
指折り数える。
「全部を一人でやるのは難しい」
私は佐伯を見る。
市役所。
柿崎を見る。
病院。
榊原。
会社。
そして父。
全員が十五年前から繋がっている。
「七人が協力してる?」
父が首を振る。
「逆だ」
「逆?」
「七人は、お互いを信用してない」
それは分かる。
皆、
少しずつ違うことを言う。
そして、
少しずつ嘘をつく。
「だから死亡通知が使える」
父は続けた。
「全員が相手を疑ってるから」
誰かが死ねば、
残った人間を疑う。
誰かの名前で通知が届けば、
その本人を疑う。
母の名前。
私の名前。
父の名前。
犯人は、
名前を借りている。
「じゃあ父さんは」
私は三枚目を見る。
「自分が刺されるとは思ってない?」
「刺そうとする人間は来るかもしれない」
「怖くないの?」
「怖いよ」
初めて、
父がそう言った。
「死ぬのは怖い」
「だったら」
「でも紙は怖くない」
父は私を見る。
「怖いのは、この紙を信じた人間だ」
玄関に刺さった包丁。
誰かが、
父の死亡通知を現実にしようとしている。
「父さんを刺す人が来る?」
「たぶんな」
「誰?」
「通知を受け取った人間」
私は考えた。
三枚目の裏。
父は誰か一人を選べる。
選べば、
自分の死亡は取り消される。
父が選ばないなら?
「選ばなかったらどうなるの」
「昔と同じなら」
父が言う。
「誰かが俺を殺せという通知を受け取る」
背中が冷たくなった。
知らない誰かが、
自分が助かるために父を刺す。
「そんなの止めなきゃ」
「だから俺を隔離する」
真壁が頷く。
「少なくとも九月六日までは警察で保護できます」
「それで終わる?」
私が訊く。
父は首を振った。
「終わらない」
「どうして」
「俺が死ななければ、代わりが出る」
佐伯の息子。
久我。
これまでと同じ。
「だったら、どうすればいいの」
「通知を止めるしかない」
「だから誰が作ったの!」
私は声を荒らげた。
「父さんは仕組みを知ってる。母も知ってた。柿崎先生も知ってる」
柿崎が目を開ける。
「なのに誰も名前を言わない」
私は三人を見る。
「どうして?」
父は黙った。
私は気づく。
「名前を知らないんじゃない」
誰も答えない。
「犯人一人を探しても意味がないんだ」
父の目が動いた。
「そうなんでしょう?」
「……ああ」
「じゃあ何なの」
父がゆっくり立ち上がった。
「澪」
「何」
「死亡通知を始めた人間と」
一度、
言葉を切る。
「今、死亡通知を送っている人間は別だ」
私は息を止めた。
「最初の人は誰」
父は答えない。
「十五年前?」
「ああ」
「母にも届いたんでしょう」
「ああ」
「なら母も被害者じゃないの?」
父は苦しそうな顔をした。
「そこが違う」
「何が」
「最初の死亡通知は」
父が言う。
「千佳に届いたんじゃない」
私は固まった。
これまで見つかった、
十五年前の母宛ての死亡通知。
警察資料にもあった。
母のカルテにも、
死亡通知を持参したと書かれている。
「どういう意味?」
「最初から千佳の名前は書かれてなかった」
「じゃあ誰の?」
父は答えた。
「千佳が自分で書いた」
頭が追いつかない。
「母が?」
「ああ」
「でも父さん、死亡通知を作ったのは母じゃないって」
「今の通知は違う」
「十五年前は?」
父は拳を握った。
「最初はただの紙だった」
「ただの紙?」
「死ぬ日も、死因も、選択欄も」
父の声が震えた。
「全部、千佳が考えた」
私は何も言えなかった。
母は死亡通知を送った人間ではない。
そう信じ始めていた。
少なくとも、
今の連続死については。
でも。
十五年前、
死亡通知という仕組みそのものを作ったのが、
母だったとしたら。
「何のために?」
私は訊いた。
父は目を閉じた。
「七人に、真実を話させるためだ」
「何の真実」
「二つの家族のこと」
私と、
ひかり。
そして一人しかいないはずの新生児。
父は続けた。
「千佳は誰かを殺すつもりなんてなかった」
「じゃあ、ただ脅した?」
「ああ」
「でも人が死んだ」
「そうだ」
「どうして?」
父は私を見る。
「誰かが千佳の作った遊びを――」
唇を噛んだ。
「本物にした」
部屋が静まり返った。
私はようやく分かった。
現在の犯人は、
母のやり方を真似している。
十五年前の秘密を知り、
母が作った死亡通知を再現し、
今度は本当に人を殺している。
「父さん」
「何だ」
「最初に死亡通知を作ったのは」
父は逃げなかった。
そして、
はっきり言った。
「千佳だ」
胸の奥が冷たくなる。
父が続けた。
「これは――」
一度、
私を見る。
「千佳が始めたことだ」