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ruruha
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きゆう
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📩 相談
高校2年・Yさん
私は、友達に頼られると嬉しいです。
勉強を教えてほしいと言われたり、悩みを聞いてほしいと言われたりすると、自分を頼ってくれたことが嬉しくて、できるだけ力になりたいと思います。
でも、相手が私に頼ることに慣れてくると、急に嫌になります。
最初は「ありがとう」と言ってくれていたのに、だんだん頼まれるのが当たり前になったり、私が断ると不機嫌になったりするからです。
それが嫌で距離を置くと、今度は寂しくなります。
私がいなくても平気そうにしていると、「もう私なんて必要ないんだ」と思ってしまいます。
自分から離れたのに、必要とされなくなるのは嫌なんです。
最近は、友達から相談されても、どうせまた面倒になるんじゃないかと思ってしまいます。
誰かの役に立ちたいのに、必要とされすぎると逃げたくなる。
私は、結局自分のことしか考えていないんでしょうか。
遥「……頼られるのは嬉しいのに、頼られ続けると苦しくなるんだな」
Y「はい。最初は本当に嬉しいんです。でも、相手が私に頼ることを当たり前にしてくると、急に全部投げ出したくなります」
日下部「断ったとき、相手は何て言うんだ?」
Y「『前はやってくれたのに』とか、『最近冷たくない?』とか。そう言われると、私が悪い気がしてきます」
遥「……前にやってあげたことを、ずっと続けなきゃいけないみたいになるんだ」
Y「そうです。最初に引き受けたのは自分だから、途中で嫌になるのは無責任なのかなって」
蓮司「じゃあ、Yは何を頼まれるのが嫌なの?」
Y「……何でしょう。勉強を教えるのも、相談を聞くのも、嫌いではないんです」
蓮司「頼まれる内容じゃないんだな」
Y「たぶん。私が断れないと思われている感じがすると、嫌なんです」
蓮司「なるほど。頼られることより、断る権利まで相手に握られてる感じが嫌なのか」
Y「……そうかもしれません」
日下部「なら、最初から断れる余地を残しておいたほうがいい。全部引き受けるんじゃなくて、できる範囲を伝えるとか」
Y「でも、それだと冷たい人だと思われませんか?」
蓮司「思う人はいるかもな」
Y「……」
蓮司「でも、相手にどう思われるかを気にして何でも引き受けて、そのあと急に嫌になって離れるなら、そっちのほうが関係には響くだろ」
Y「……はい」
遥「俺も、相手に嫌な思いをさせたくなくて、何も言わないことがある。でも、何も言わないまま苦しくなったら、相手は俺が嫌だったことにも気づかないんだよな」
Y「……そうですね」
蓮司「Yは、頼られるのが嫌になったとき、相手に何か言ってる?」
Y「言えません。今までやってあげていたのに、急に嫌だと言うのは勝手な気がして」
蓮司「じゃあ、相手が気づくまで我慢する?」
Y「……そうなります」
蓮司「で、限界が来て離れる。相手からしたら、昨日まで普通に助けてくれていた人が急にいなくなったように見えるかもしれないな」
Y「……それも分かっています。でも、途中で言うのが怖いんです」
日下部「何が怖い?」
Y「断ったら、もう頼ってもらえなくなることです」
遥「……」
Y「私が断ったら、相手は別の人に頼ると思います。それで、その人と仲良くなって、私はいらなくなるんじゃないかって」
蓮司「……ああ」
Y「だから、嫌でも引き受けてしまうことがあります。でも、ずっと続くと苦しくなって、逃げたくなるんです」
蓮司「Yは、必要とされたいんだな」
Y「……はい」
蓮司「じゃあ、ちょっと聞くけど。相手がYに頼らなくなったら、その人との関係には何も残らないと思う?」
Y「……分かりません」
蓮司「例えば、勉強を教えたあと、相手が自分で解けるようになったとする。そしたら、もうYはいらない?」
Y「そんなことはないと思います」
蓮司「じゃあ、相談に乗ったあと、相手が自分で考えられるようになったら?」
Y「……それも、いらなくなるわけじゃないと思います」
蓮司「なのに、Yが断った場合だけ、相手が離れる未来を想像するんだな」
Y「……はい」
蓮司「断ったら離れるかもしれない。頼らなくなったら離れるかもしれない。相手が自分でできるようになっても離れるかもしれない。ずいぶん先回りしてるな」
Y「……嫌われるのが怖いんだと思います」
遥「……頼られている間は、ここにいていいって思えるのかな」
Y「……そうかもしれません」
遥「頼られていたら、自分が必要な人間だって分かるから」
Y「はい。でも、頼られるのが当たり前になると、今度は自分が何をしても足りない気がしてきます」
日下部「頼られたとき、相手が喜んでくれるのが嬉しいのか。それとも、自分が必要な人間だと分かることが嬉しいのか」
Y「……両方だと思います」
日下部「そうか」
Y「それって、よくないことですか?」
日下部「よくないとは言っていない。ただ、後者が強くなると、断ることが難しくなるだろうな。断った瞬間、自分の価値まで失った気がするから」
Y「……はい」
蓮司「それで、相手が自分を必要としてくれるように頑張る。でも、必要とされるほど自由がなくなる。だから逃げたくなる」
Y「……そうです」
蓮司「それ、結構しんどい構造だな」
Y「自分でも、どうしたらいいのか分からないんです。必要とされなかったら寂しいのに、必要とされたら逃げたくなるので」
蓮司「じゃあ、ひとつ聞く」
Y「はい」
蓮司「Yは、誰かに何かしてもらったとき、その人が何もしてくれなくなったら、その人を嫌いになる?」
Y「……いいえ」
蓮司「その人が疲れていて相談に乗れなかったら?」
Y「心配になると思います」
蓮司「勉強を教えてくれなくなったら?」
Y「……自分で頑張ろうと思います」
蓮司「じゃあ、Yが断ったとき、相手も同じように考えてくれる可能性はあるだろ」
Y「……」
蓮司「もちろん、断ったら不機嫌になる人もいる。そこで初めて、相手がYの何を求めていたのか分かることもある」
日下部「ただし、相手の反応を試すために、わざと断る必要はない。できないときに、できないと伝えればいい」
Y「……それで相手が離れていったら?」
遥「……悲しいと思う」
Y「……はい」
遥「でも、相手が離れていくのが怖いからって、ずっと自分が嫌なことを引き受けるのも、つらいと思う。俺だったら、どっちも怖くて、なかなか決められないかもしれない」
Y「遥くんでも、そうですか?」
遥「……うん。相手が困っていたら、助けたいと思う。でも、自分がしんどいときに断ったら、相手を困らせる気がする」
Y「……」
遥「だから、相手のために何かすることが、自分を苦しめることになっても、やめられないときがある」
日下部「遥、それは……」
遥「……ごめん。今はYの話だった」
蓮司「いや、続ければ?」
遥「……」
蓮司「Yが自分の話をしてるからって、おまえまで急いで引っ込む必要ないだろ」
遥「……そうだけど」
蓮司「自分のことになると、すぐ話を終わらせるよな」
遥「……別に」
日下部「今の『別に』は、何も説明していないだろ」
遥「……分かってる」
Y「……私も、そういうところがあります。自分のことを話すと、急にわがままを言っているような気がして、途中でやめたくなるんです」
遥「……そっか」
Y「誰かの役に立つのは好きなんです。でも、役に立ちたいからって、自分が嫌なことまで全部引き受けなきゃいけないわけじゃないんですよね」
日下部「そうだな」
Y「……私、次に頼まれたら、すぐに返事をしないで考えてみます」
蓮司「それでいいんじゃない。引き受けるかどうかを、相手の顔色を見る前に一度考える」
Y「断る練習をしたほうがいいですか?」
日下部「断ることを目標にしなくてもいい。引き受けたいなら引き受ければいい。ただ、引き受けられないときまで、無理に引き受ける必要はない」
遥「……あと、頼られなくなったときに寂しいと思っても、自分を責めなくていいと思う」
Y「……はい」
遥「俺も、誰かに必要とされたいって思うことはあるから。そういう気持ち自体を、なくさなくてもいいんじゃないかな」
蓮司「ただ、必要とされるために自分を削り続けたら、最後には誰かのことを嫌いになるかもしれないぞ」
Y「……それは嫌です」
蓮司「だったら、嫌いになるまで我慢する前に、少しずつ言えばいい」
日下部「関係を続けたいなら、なおさらだな。無理を重ねて突然いなくなるより、今できることを伝えたほうが、相手も考えられる」
Y「……やってみます」
遥「うん」
Y「ありがとうございました」
日下部「また困ったら来ればいい」
Y「はい」
Yが相談室を出ると、蓮司は椅子の背にもたれた。
蓮司「必要とされたい、か」
日下部「何だ?」
蓮司「いや。人間って面倒だなと思って」
日下部「おまえも人間だろ」
蓮司「知ってるよ」
日下部「なら、他人事みたいに言うな」
蓮司「……俺は、頼られるのは嫌いじゃないけどな」
遥「……そうなの?」
蓮司「頼られたら、何を求められてるか分かるだろ。どこまで応えればいいかも、自分で決められる」
日下部「相手が、それ以上を求めてきたら?」
蓮司「断る」
日下部「断ったあと、相手が離れていったら?」
蓮司「……別に」
遥「……蓮司」
蓮司「何?」
遥「今の『別に』、俺と同じだった」
蓮司「一緒にするなよ」
日下部「自分で言ったんだろ。断るかどうかは自分で決められる、と」
蓮司「決められるよ」
日下部「なら、離れられたときに何も感じないのか?」
蓮司「……」
遥「……寂しくない?」
蓮司「……さあな」
それ以上、蓮司は答えなかった。
頼られることは嫌いじゃない。
求められたものを渡して、相手が喜ぶ。その瞬間、自分がどんな役割を果たせばいいのかが分かる。
けれど、相手が自分に求めるものが変わったら。
こちらの都合では動かせない感情を向けられたら。
自分のほうが相手を必要としていると気づいたら。
そのとき、自分がどこまで相手に踏み込まれるのか、蓮司には分からなかった。
だから彼は、相手が離れていくことを恐れているのかどうかさえ、口にしようとしなかった。
🗝 三人からのことば
遥「誰かの役に立ちたいと思うのは、悪いことじゃないと思う。でも、助けたい気持ちがあっても、自分が苦しいときは苦しいって言っていい。俺も、誰かに何かをしてあげることばかり考えて、自分のことを後回しにしないようにしたい」
蓮司「必要とされるのは嬉しい。でも、相手が自分の思いどおりに動いてくれるとは限らない。離れられるのが怖いからって、何でも引き受ける必要はない。自分が何をしたいのか、相手の反応を確認する前に考えてみればいい」
日下部「関係を長く続けたいなら、限界まで我慢して突然離れるより、できることとできないことを伝えたほうがいい。断ることは、相手を見捨てることとは限らない。無理をしない付き合い方を、少しずつ覚えていけばいい」
コメント
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うわあ……このお話、すごく沁みました。Yさんの「必要とされたいのに、必要とされると逃げたくなる」って気持ち、どちらも本当に分かります。誰かの役に立ちたい気持ちが純粋なだけに、それが当たり前になって断れなくなる苦しさがひしひしと伝わってきました。 遥くんの「自分のことを後回しにしないようにしたい」という言葉が特に響きました。自分を削ってまで誰かに尽くすのは、優しさじゃなくて共倒れですよね。 三人のキャラがそれぞれ違う視点でYさんに寄り添うスタイルが、この作品の魅力だなって改めて思いました🌷