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えっ⁉️優斗さんってバツイチだったの?壮馬さんの猟銃本能を発揮する日は来るのか?楽しみ〜そのお相手はどなた様かな?
優斗さん饒舌🤭なのに⁉️バツイチ🤭×2その逆をいく壮馬さん。獲物を追う狩猟本能🐅がこれから目覚めていく⁉️
その頃エレベーターの中で、優斗が壮馬に言った。
「花純ちゃん、可愛かったな…….」
「そうか?」
「うん…化粧は薄いし一見すると地味な雰囲気だが、あれはかなりの逸材だ。磨けば光るダイヤそのものだな…」
「…ったく、お前は女を見るといつもそんな事しか考えないのか?」
「当然! だっていつ素敵な出会いがあるか分からないだろう? だから常にアンテナは張っておかないとね」
「しょうもねぇな……」
壮馬は呆れた様子で呟く。
「そういやあの子も本社から来たらしいな。この前優香さんが言ってた」
「本社から?」
「うん…履歴書を見るとかなり優秀な子なのに、突然ここに来る事になったってね…自分の時を思い出すとかなんとか言って
たな。それにしてもあの会社、結構えげつない事をやるよなぁ…」
「つまり左遷って事か? あの若さで?」
「みたいだな。何をやらかしたのかは知らないけどそんな風には見えなかったよなぁ…いや? 意外と社内不倫とかしてたりし
て? 純情で大人しそうに見えつつ実は夜の方がお盛んだったとか? 女はパッと見ただけじゃ分からないからなぁ……」
その言葉に、壮馬は何かを考えている様子だった。
しかしそんな壮馬には気づく様子もなく、優斗は続ける。
「そういやこの前伯父さん…いや…社長が言ってたぞ。壮馬はまだ結婚しないのかーってさ」
「最近オヤジ….いや社長に会うと、その話ばっかりなんだよ。参るよ…」
「そりゃあ仕方ないさ。もうすぐ40になろうとしている息子が独身なんだから焦るだろうよ。早く跡継ぎを産んで欲しいんじ
ゃないか? 壮馬…誰かいないのか?」
「いないな…」
「アレは? 前に付き合ってた麗華さん! 麗華さんとはお前も気が合うって言ってたよな? それに付き合いも一番長く続い
たんじゃなかったか?」
その時壮馬は麗華の事を思い浮かべていた。
確かに麗華は、今まで付き合った女の中では一番長く続いた恋人だった。
壮馬は子供の時から今まで、特に何をしなくてもいつもモテていた。
スラッとした長身に彫の深い端正な顔立ち、そして低く魅力のある声。
頭は優秀で、スポーツも遊びも何をやらせても器用にこなす。
そしていつもクールな雰囲気を漂わせているので余計に魅力的だ。
そんな壮馬の事を、女性達は常に狙っている。
だから女性と交際する時は、いつも女性からの告白で始まるパターンが多かった。
しかしどの付き合いも、短くて数週間、長くても数ヶ月しか持たなかった。
そんな中、麗華との交際は一年半続いた。
麗華は現在28歳、ファッション雑誌のモデルをしている。
最近はインフルエンサーとしても活躍しているようだ。
麗華は人気モデルの割に気取った所がなく、
他の女達のようにおねだりをしてきたり、甘えたり依存してくる事もなかった。
麗華はモデルの仕事に誇りを持っていたので、
常にプロとしてのプライドを持ち、いつも前向きに仕事に取り組んでいた。
麗華のそんなところが当時は気に入っていた。
じゃあなぜ二人は別れたのか?
それは、ちょうど付き合って一年が過ぎた頃、
麗華がしきりに結婚したいと言うようになったからだ。
壮馬は『結婚』というワードを聞くと、昔から逃げ腰になる癖がある。
それは、過去の付き合いの中で、全ての女性から結婚を迫られてきたからだ。
なぜか壮馬は『結婚』というワードを聞くと、一気に気持ちが冷めてしまうのだ。
もし麗華の事を本当に愛していたとしたら、気持ちが冷める事はなかったはずだ。
だから壮馬は麗華に今は誰とも結婚するつもりはないと伝えた。
自分の直感に従ってそう告げた。
そして徐々に二人の関係をフェードアウトさせていく。
麗華は当初、納得がいかないと何度も電話をかけてきた。
そして壮馬に会って話したいと訴える。
しかしもうすでに心が決まっていた壮馬は麗華に会うつもりはなかった。
一向に変わらない壮馬の態度に嫌気がさしたのか、
その後麗華からの連絡は徐々に減っていった。
そこで二人の関係は終わる。
去年のクリスマス前の事だった。
(麗華は今どうしているのだろうか?)
ふとそんな思いが過る。
少し感傷的になっている自分に気付いた壮馬は、思わず苦笑いをする。
現役モデルをしている麗華の動向など、SNSを見れば一発でわかる。
しかし壮馬は今日まで一切それをしなかった。
つまりはそう言う事だ。
壮馬にとっては麗華の事など、もう過去の事でしかないのだ。
その時、優斗が言った。
「壮馬はやっぱりあれなんだよ。自分から好きにならないと駄目なタイプなんだな。
お前は小さい頃からモテたから付き合う相手はいつも向こうから来る女ばかりだったろう?
それが原因な気がするなぁ。お前は多分、自分から追いかけたくなるような女じゃないとダメなんだよ」
「それはいわゆる『狩猟本能』ってやつか?」
それも一理あるなと思った。
過去に付き合った女達は皆が羨むような美女ばかりだったが、
なぜか壮馬にとっては物足りなかった。
「それだよ! 男ってさ、結局は野性的な本能に従って生きたいんだと思うよ。
だからのんびりと寝そべって強いオスライオンに守ってもらおうなんて思っている女だときっと物足りないんじゃないか?
ま、人生経験豊かな俺が言うんだから間違いないな」
「ハッ? 何言ってんだ? お前俺と同い年だろう? それにバツイチのお前には言われたくねーよ」
そこで優斗が笑う。
「ハハッ、まあそう言うなって。俺は男女の酸いも甘いも経験しているんだぞ。だから俺の言う事は間違いない!」
優斗が得意気に言ったので、
「はいはい…」
壮馬は諦めたような顏で適当な返事を返す。
その時ちょうどエレベーターのドアが開いたので、二人は笑いながら廊下を進んで行った。