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「――へぇ。塚森キミカが……君の従姉妹が調査中の怪異と接触ねぇ。なかなか興味深いじゃないか」
「ただの偶然ですよ」
ここは■県夢ノ宮市駅前アーケード街の一角にあるネットカフェ、その一室。
僕、塚森コウはノートPCを広げ、オンライン通信でとある人物に調査の進捗報告を行っていた。
「あいつが常人より怪異に対する親和性が高いのは事実だけど、基本どこにでもいるような普通のガキですよ。小娘だ、小娘。……それに怪異との接触は寸前で僕が阻止しましたし。何の問題もないですよ」
マイクに向かっていっきにそこまで喋り、僕は乾いた唇を舐めていた。
一瞬の沈黙の後――。
「いやいや、塚森コウ。それはないね。塚森キミカは普通とは程遠い娘だよ」
画面の中の女が小さく笑い声をあげる。
小鳥のさえずりみたいに耳障りはいいのに、それでいてとてつもないぐらい底意地の悪さを感じさせる声色で。
「彼女が普通の女の子ならば、組織が君達塚森家に任せるはずがない。いつものように適当に記憶を改竄した後は、心理カウンセラーにでも里子に出して心の傷を癒し、社会復帰させてやればいい」
「……」
「あの子――、塚森キミカにはやはりあちら側の世界と繋がるための特別な何かがある。さすがは元金儲け主義の俗悪カルト集団のお姫様と言ったところかな?」
黙れ、このクソアマ。
思わず、そう怒鳴り声を張りあげそうになるが――、右手でガッシリと太ももをにぎりしめ、必死に堪える。
通話の相手の女は柴咲ゼナ。
腹立たしいぐらいショートカットがよく似合う小顔の美人だが、瞳は暗く感情は感じさせない。頭のよさそうな眼鏡をかけ、いかにも研究者でございって感じの白衣を着ている。
お前は刑事ドラマの女医かなんかかと言ってやりたい。
女の年齢はよくわからないけれど、多分三十代になるかならないぐらいでまあ若いといっていい。
僕がしょっちゅう、アルバイトの仕事を貰っている人物で、組織を構成する四つの機関の一つ、白虎機関の幹部職員。関係者からはゼナ博士と呼ばれている。
僕はこの女――見た目はともかく――、ゼナ博士が嫌いだ。
初めて顔を合わせた時からそうだったが、いちいち勿体ぶった話し方が癪に障るというだけではなく——、こうして面と向かって会話しているだけで背中がゾクゾクとして鳥肌が立つような感覚になるからだ。
「……もういいですよ、キミカの話は」
一分一秒でも早く、この苦痛な時間を終わらせたくて僕は言った。
「今はあいつのことより、僕の知りたいことを教えてください」