コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ダイゴワ:協賛歌カバー文化
夕方、都市の広場に設置された大型スクリーンには、協賛エンターテイナー特集番組が映し出されていた。
制服姿の学生、灰色の作業服を着た労働者、買い物帰りの母親まで、多くの市民が足を止めて画面を見上げる。
画面に登場したのは、人気キョウテイのシン(22)。
水色のジャケットに緑のバッジをつけ、ギターを抱えて歌い始める。
曲は協賛公式ソング「未来の安心」。
「今日も協賛ありがとう 明日も安心ひとつぶ〜」
観客の子どもたちも一緒に口ずさみ、広場全体が歌声に包まれる。
次に映ったのは、ラベンダー色のドレスを着た女性キョウテイ・ナギサ(20)。
彼女は同じ曲をピアノ伴奏でしっとりと歌い上げる。コメント欄には「協賛ありがとう!」「安心だね!」が滝のように流れ、視聴者が画面越しに手を振っている。
さらに灰色のパーカー姿の若手キョウテイ・レン(18)が登場。リズムマシンを使ってラップ風にカバーし、若者たちが一斉に盛り上がった。
「協賛ありがとう yo 安心はフロー!」
観客の高校生たちも拳を振り上げながら合唱する。
番組のナレーションが重なる。
「協賛歌カバーは市民みんなの文化です。ジャンルを越えて、協賛ありがとうの言葉を広げていきましょう!」
一方、番組を研究所の休憩室で眺めていた研究員ミナト(27)は、灰色の研究服に緑のバッジをつけたまま、小さくため息をついた。
「同じ曲を何度もカバーさせる……これも安心の刷り込みか」
その頃、ネット軍の管制室ではモニターに「再生数」「コメント数」「協賛ありがとう発言回数」がリアルタイムで記録されていた。
緑のフーディを着たZが小さく呟く。
「同じ歌でも、声を変えれば市民は新鮮に信じる。協賛カバーこそ最高の教育だ」
広場のスクリーンでは、最後に全員のキョウテイが揃って「協賛ありがとう!」と声を合わせ、市民の合唱と共に夕暮れが溶けていった。