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赤い花が散った。
隣の男はパチッという音を鳴らして煙を吹かせる。視線に気づいたのか、彼は俺の方を見て、箱から白のそれを渡してくる。
要らない。と返そうとすると、彼は不敵に笑ってそれを俺の唇に挟み込み、自分に付いている灯火を押し付ける。
気が狂いそうだ。彼は自身の葉巻を咥えながら起き上がり、投げ捨てたままの服に袖を通してボタンをつけていく。
「どっかいくの」と問うと、彼は「女の子に会いに行く」と笑みながら返す。相変わらず俺好みの気色悪い顔。
「なに嫉妬?かわいー」
彼の言葉に「キモいキモい」と返すと、彼はヘラヘラ笑いながら
「ね。まだ付き合う気ないの?」
と煙草を灰皿に押し付け俺に言い放つ。
「……ないよ」
「そっか。」
そう交わして、彼は荷物を持って部屋から出ていった
(……当たり前じゃん。)
積み上がった灰皿の中身をちらっと見る
(俺はあんな風になりたくないからね)