テラーノベル
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茹だる夏の夜、私は人里離れた山奥でドッペルゲンガー召喚の儀式を行うとしていた。
「フフ……ドッペルゲンガーがドッペルゲンガーを召喚しようとするだなんて我ながらもうめちゃくちゃだね」
当時の私はどこかおかしかった。
たまらなく楓子に会いたかった。
血でしたためた魔方陣の上に生け贄用の鶏を三羽置く。鶏達は首を掻き切られぴくぴくと動いている。蝋燭を並べ、腕をナイフで切り
魔方陣の中心に血を垂らし呪文を唱える。
「レナ•ニリワカ•ノシタワ!!」
ぼわぁぁぁんと紫色の煙があらわれ、出てきたのは___ちっちゃなコウモリの使い魔だった。
「オレを召喚したのはどこのどいつだー!?
言っとくけどなぁ、オレは自分の認めた相手の言うことしか聞くつもりはねぇぞ!!」
コウモリの使い魔はちっちゃな羽をぱたぱたはばたかせながら私に悪態をつく。
「そっか……失敗したのか……」
「やいやいやい!!勝手に召喚しといて失敗とはなんだ失敗とは!?慰謝料として血をしこたま飲ませてもらうからなぁ!?」
コウモリの使い魔はちっちゃな顔でメンチを切ってくる。
そうか、そりゃそうだよな。
楓子はもうどこにもいないんだ。
自分で殺しといてムシが良すぎるよな。
「……おいお前泣いてんのかぁ?」
泣いている?私が?
コウモリの使い魔がはーっとため息をついた後、犬のように私の涙を舐めた。
「知ってるか?涙の原料は血なんだぜ?だから泣くなよ血がもったいねーから」
ケッ、とコウモリの使い魔が顔を背ける。
私はコウモリの使い魔を強く抱きしめた。
「ぎゃー!!つぶれるつぶれる!!」
コウモリの使い魔が羽をばたばたさせる。
「……私は黒瀬楓子だ。君はなんていうんだい?」
私は小守にそう尋ねた。
「あ?名前なんてねぇよ」
その言葉に私は楓子の最期の言葉を思い出す。
……この子には名前を付けてあげなくちゃな。
「今日から君は小守だ。コウモリの使い魔だから小守。よろしくね、小守」
私はそう言って小守に微笑んだ。
「随分と安直なネーミングだなぁおい。言っとくけど、オレはまだアンタのことを主人だと認めたわけじゃないからな」
小守は私をじっと睨んだ。
3日後。
「ママー血ぃ頂戴」
「はいはい」
私は小守に肩を差し出す。
小守は私の肩に噛みつきながら血をチューチュー吸った。
「うんめー!!やっぱりママの血は最高だぜぇ!!」
私の血の味をいたく気に入ったのか、小守は私のことをママと呼ぶようになった。
なんだか少しこそばゆかったが、胸の辺りがほんのりとあたたかくなった。
私が人指し指で小守の頭を撫でると小守はごろごろと私の指に頭を擦り付けた。
こうして、名もなき私に『ママ』という新たな呼び名が増えたのだった。
コメント
1件
ああっ番外編読んだよ〜!!😭💕 ドッペルゲンガーがドッペルゲンガー呼ぼうとして失敗するとこから始まるの、もう切なすぎる…。楓子さん、自分で楓子を失っちゃったんだよね…ってここで初めて知ったけど、小守との出会いが愛おしすぎて泣いた。「ママー血ぃ頂戴」に対して「はいはい」って肩出す楓子さん、尊すぎん??😭🦇 小守の「涙の原料は血」って慰め方、不器用だけどちゃんと優しくて好きだよ…。この2人の絆がどう育んでいくのか、本編も追いかけるね!!
99
comi
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81