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昼休み。教室後ろの机を囲んで、弁当を食べながら。教卓には集合写真の日程が書かれた紙が貼られている。
蓮司(のんびり弁当をつまみながら)
「集合写真、明日だっけ?全員強制参加〜って、書いてあったな」
日下部(口に牛乳をふくみながら)
「強制っつーか……まぁ、記念みたいなもんだし」
蓮司
「ふーん、記念ね。あとで黒歴史になるやつ」
遥(弁当を開けもせずにポツリ)
「……写らない」
蓮司(視線だけ遥に寄せて)
「へえ。写りたくないんだ」
遥
「嫌。……記録されるの、苦手」
日下部
「でも、顔出すだけじゃん。すぐ終わるし……」
遥(言葉を挟む)
「……消せないものが残るの、無理。そこにいたって“証拠”になる」
蓮司(少し笑って)
「証拠って。お前、何の犯罪者なの?」
遥(静かに)
「罪の記録、みたいなもんだろ。俺が“ここにいた”って、残るのが嫌」
日下部(やや食い気味に)
「そんなふうに思わなくていいって——」
遥(遮るように)
「思ってること、否定するな」
間が空く。蓮司が口の中で溜息をつくように笑う。
蓮司
「……じゃあさ、影だけに写るとかどうよ。後列の一番端で、ちょっとピント外して」
遥
「……それでも“いた”ってバレる」
日下部(真剣な声で)
「俺は……お前がいたこと、残ってていいと思う」
遥(一瞬視線を向けるが、すぐ逸らす)
「——お前だけなら、いいよ」
蓮司(少し間をおいて)
「じゃあ俺が撮る側になって、写らないように加工しとくか。モザイク入れといてやる」
遥(小さく笑って)
「それ、お前の趣味じゃん」
蓮司(にやり)
「バレた?」