「少女」
それは、世界にとって呪いの日になったかもしれない日
「少女」
だから、世界はこの日が嫌い
「少女」
そうだと思ってたけど
「少女」
……君達のおかげかな?
「少女」
世界は、私を捨てるのを躊躇ってる
「愚者」
…そうなの?
「少女」
うん、そうだよ
「愚者」
誕生日おめでとう、少女ちゃん
「少女」
どーも
「少女」
君達のせいで、世界が躊躇った
「少女」
よほど気に入られたらしいよ
「少女」
「陰りの段位」の人間は
「吊し人」
そうですか?
「吊し人」
特段何も変わってませんよ?
「太陽」
いいことじゃないっすか?
「太陽」
嫌われるよりはマシですよ?
「愚者」
ね、やっぱそう思う?
「世界」
あれ、シュガー?
「愚者」
あ、来たの?
「世界」
それはこっちのセリフだよ
「世界」
なんか理由あったっけ?
「愚者」
ん、いや、これ
「少女」
これって……君ね……
「少女」
…はぁ
「少女」
それで、報告?
「少女」
それならすぐに……
「魔術師」
いや、報告じゃないですよ
「魔術師」
俺達も、主様と同じ理由です
「少女」
それは……
「少女」
……困ったね
「少女」
えーと、うん……
「女帝」
……貴女も、困ることあるんだ
「皇帝」
お嬢…?
「皇帝」
それは……
「女帝」
……あっ、いや
「少女」
……いや、別に何も思ってないけど
「愚者」
いや的を得てるだろ
「愚者」
困ることなんてあるんだ
「世界」
……はぁ
「世界」
シュガー……
「世界」
なんか……通常運転で安心したよ
「力」
ノンデリなのはお姫様もじゃないんすか?
「力」
少女にだって考えくらいあるんですよ
「愚者」
……お前も来てたの?
「愚者」
マジ?
「愚者」
本物?
「力」
酷くないですか?
「女教皇」
ふふっ、そう思うのも無理ないですわ
「女教皇」
今日は集まれる範囲の「陰りの段位」が揃う日ですから
「少女」
……そうなの?
「少女」
……今日、なんかあったっけ?
「女教皇」
あら、ご存知では無かったのでしょうか…
「女教皇」
今日は、貴女様のお誕生日ですわ
「少女」
……だから?
「女教皇」
……え?
「少女」
だから、どうしたの?
「少女」
ほら、早く仕事に戻りな
「少女」
今日は、世界にとっては嫌いな日になる予定だった日
「少女」
それを、同じ物を持つ私に与えただけ
「少女」
名前と、同じ
「愚者」
……じゃあ
「愚者」
世界がお前を嫌わないように
「愚者」
ボク達に価値があればいいんだろ?
「少女」
……まぁ、そうだね
「少女」
この世界に価値がある限り
「少女」
私はこの世界の管理を任される
「少女」
結局、私も世界の掌の上で踊ってるだけ
「力」
……なら、「陰りの段位」に価値があれば
「少女」
……それなら、もういいよ
「少女」
価値は充分ある
「少女」
何故なら、「陰りの段位」は愛されたから
「少女」
この世界の愛は、ただ重い
「少女」
だから、そう簡単に見放されない
「少女」
なによりも
「少女」
「運命の輪」が、ここに来たから
「少女」
「死」に、呪いを置いたから
「少女」
全てわかったその時に
「少女」
見放されないように
「少女」
世界は今も、愛を注いでる
「こんにちは、観測者の皆様」
にこっと笑って、少女はそこにいた
「ん?誕生日おめでとう……?」
にや~と笑って、こちらを見る
まるで、玩具を意図的に壊した子供みたいに
悪いことをしたけど、楽しいみたいな
「なんと、私の誕生日は今日じゃないの」
「私は少女であって少女では無いからね」
少女はごろん、と寝転がる
「はぁ、最近は疲れることが多くてさ」
「あぁ、君達のせいじゃないの」
「どっちかというと、世界のせい」
起き上がって、手を振る
「それじゃ、またね。観測者の皆様」







