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69 - 【クルト生誕祭】お姫様で、女王様

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2024年11月10日

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クルト

…ふむ

困った

非常に困った

理由としては、目の前に広がる全てである

アベリア

あの…そろそろ辞めてくれませんか?

    

え〜?

    

だってお兄さんみたいな天使様がこっち来るなんて珍しいじゃん?

    

だから、ちょっとお話したいなって

    

ね?どう?

    

いいお店知ってるんだ

アベリアが、困っているのである

しかも、結構面白い方法で

クルト

(どうせ今日はこの後予定無かったし…)

クルト

(…ちょっと見てからでもいいでしょ)

そう思い、観客に徹することにしたのである

困った

非常に困った

おまけに酷い迷惑だ

と、言うのも

今日は愛しのシュガーの誕生日であり

予め女装で来てくださいと裏でウピルと辻褄合わせをした後であり

ここでサプラーイズ!誕生日おめでとう〜!!

って、やる予定だったのに…

アベリア

(……どうしよう)

アベリア

(このままじゃ、シュガーがここに来てしまう……)

※もう到着してます

    

あ、それともお兄さん

    

誰か待ってる?

アベリア

あはは…実はそうでして

アベリア

ですので、お誘いはお断り……

    

ふーん

    

相手、どんな人?

アベリア

…え?

    

実はこう見えても私

    

「世界から愛された国」ではいい地位持っててさ

    

私か狙ったお兄さんを横取りされるとか

    

どんな人かなぁって、思ってね

ここの国の王様ですよ

なんて、言えるか!!!

と言うか、「世界から愛された国」でなんで僕を知らないんだよ!!

僕、そこのトップのアシッド教の元・大天使だぞ!!

僕を知らないとなると他二つの宗教か、それとも……

モヒート

…あれ?ここで何してるんすか?

アベリア

…お前だよな、うん……

モヒート

え?

そう、アシッド教で僕を知らないとなるなら

他のトップがいる組織だ

そして、宗教系なら口酸っぱく教えられるだろうから論外

それ以外だと

この世界随一の病院

「神風病院」所属だろうと察しが着いた

    

…医院長?

モヒート

あ?……あ、君ね

モヒート

今日、休みだったはずだけど

モヒート

こんな所でどうしたの

    

えっ?あ、あの…それは…

視線を送り、「助けろ!!」と念じる

モヒート

……

チラッと、こっちの視線に気がついたらしい

少しため息をついて、悪い笑顔で相手を見つめる

……なんでこんなに悪役顔が似合うんだろ

モヒート

あー、なんだ

モヒート

もしかして、この人狙い?

そう言って、僕を指さす

    

え、いや…

モヒート

だったらなにか?

モヒート

俺、この後この人と予定あるんだよね

モヒート

この

モヒート

アシッド教、元・大天使サマにね?

    

えっ……

絶望した顔でこっちを見つめてくる

モヒート

さて……と

モヒート

うちの大事な取引先様に

モヒート

迷惑なこと、してねぇよな?

    

あ、いや…それは……

モヒート

この人に迷惑をかける

モヒート

それは、俺の顔に泥を塗る行為だと思えよ

    

い、いや…

モヒート

まさか?

モヒート

俺の信頼してる人の娘さんが

モヒート

そんなことするとは思ってねぇけどな

    

い、、いや……ゆるして…

モヒート

許して?

モヒート

何を?

モヒート

別に何も責めてねぇけど

モヒート

まぁ

モヒート

今言ったことをしていたのなら

モヒート

それは、お前の家と話し合うことになるけどな

モヒート

分かったらさっさと帰れ

モヒート

俺はこの人に用事があるの

    

あ…いや……

完全に震え上がってしまった

……ふむ、権力とは使い方によるな

モヒート

……あー、それとも、なに?

急にぐいっと引っ張られてびっくりする

モヒート

この先が、見たいの?

    

…や、いや……そういう訳では……

モヒート

だったら早く帰れ

モヒート

これ以上不愉快にさせるな

モヒート

本当に家と相談することになるぞ

そこまで言って、睨みつけられて

ようやく娘さんは帰って行った

モヒート

……はぁ

モヒート

すいません、アベリアさん

モヒート

家のもんが酷く迷惑だったようで…

アベリア

いや……別に大丈夫

アベリア

それより、助けてくれてあり…

そこまで話して、今度は後ろに引っ張られる

馴染みある金木犀の香りと共に

クルト

……モヒート

クルト

誰の物に、手ぇ出してんだ

クルト

……だめ

クルト

渡してあげない

過去の、記憶の、影を見て

アベリア

……銀木犀

不意に、その名を口にした

途中までは面白かった

アベリアの不愉快極まりないと言いたげな表情はレアだ

堪能しつつ、適当に助けますか

……そう、思ってたのに

空気を読まないモヒートが、やんわりと助けてしまった

しかも!

なにうちの者に手を出してんだ

不愉快極まりない

あの女が消えた後

モヒートを殺そうと言う勢いでアベリアに近づき

金木犀、という名の愛刀でモヒートの首筋を狙う

先程からの出来事に思考を回してるアベリアが

……なんとなく、気に入らなくて

"今の自分"を最大限利用した方法をとった

クルト

……だめ

クルト

渡してあげない

それは、かつて誰かがアベリアに言った言葉

アベリアにとって、懐かしい記憶

アベリア

……銀木犀

クルト

……

だよな、そう見えるよな

何せ

"女装じゃなくて、女体化なのだから"

何を隠そう、ウピルの仕業である

アベリアとの二重スパイを見事に成立させた彼女は

いつも自分達がお世話になっているお返しがしたかった

故に、自分達の主を利用して

アベリアに、考えられる最大限のお礼をしたのだ

それが、吸血鬼の力を利用した女体化だった

女装とは、また訳が違う

それは、初代国王である銀木犀と瓜二つの見た目だったのだ

クルト

……アベリア

クルト

誰に向かって言ってるの

アベリア

……だね

アベリア

ごめん、シュガー

そう、今のボクは"銀木犀"では無い

ボクは、クルトだ

クルト

それで、何時までこうしてるつもりだ

クルト

モヒート

モヒート

いや?

モヒート

ただ、姫をからかっただけですよ

モヒート

俺には愛する妻が居ますから

クルト

だったら帰れ

モヒート

はいはい

モヒート

もちろん帰りますよ

モヒート

それじゃ、また

そう言って振り返りもせずに帰る

かと、思いきや

モヒート

あ、誕生日おめでとうございます、姫

クルト

……あっそ

クルト

早く帰れ

モヒート

もー、相変わらず冷たいですね

モヒート

大人しく帰りますよ

と、いい帰って行った

クルト

……はぁ

クルト

……で

クルト

どうでした?言い寄られる気分は

アベリア

……好きじゃない

クルト

そう

クルト

なら今度からもっとちゃんと断れよ?

クルト

全く……見てる分には面白かったけど

アベリア

……

穴があきそうなくらい、見つめられる

……そりゃ、そうか

クルト

……そんなに好き?この姿

アベリア

……あ、いや、あの…

アベリア

……本当に、銀木犀を見てるみたい

アベリア

……でも、性格はシュガーだなって

アベリア

……うん、これはこれで好きだな

クルト

何言ってんだこいつ……

アベリア

……さて

アベリア

今日は1日このままでしょ??

クルト

……え?

アベリア

え?違うの?

クルト

……

正直、この姿めっちゃ疲れるんだよな

……でも

それが、目の前の笑顔を失わせる理由になるのか?

クルト

(……なるわけない、よな)

アベリア

なーんて、じょ…

クルト

いいよ

アベリア

……え?

クルト

だから、いいって

クルト

その代わり、ちゃんと祝えよ

アベリア

……

アベリア

もっちろん!!

アベリア

それでこそ、シュガーだよ!!

アベリア

さ、早く行こ!

アベリア

時間は有限だからね〜♪

クルト

ちょ、早い……って

クルト

……楽しそうだから、まぁいっか

アベリア

あ、そうだシュガー

クルト

ん?まだなんかあった?

アベリア

うん、大事なこと

クルト

……?

アベリア

誕生日、おめでとう

クルト

……はいはい、ありがとね

アベリア

さ、行くか〜!!

クルト

……

クルト

楽しそうだし、まぁいいか…うん…

今度は女装だけではなく

女体化も求められたらどうしようと

少し焦った、クルトであった

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