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貴女依存症

第2話 - 貴女依存症第2話

4,454

2019年07月20日

#ドラマ

#禁断の恋

#三角関係

雨宮黄英

雨月

…ねえ、晴陽ちゃん

晴陽

なに？

晴陽

（体育の着替え中、雨月がこっそりと話しかけてきた）

雨月

私…今日さ、雪那ちゃんに告白しようかなって思ってる

晴陽

はぁ？

晴陽

なんでいきなり？

雨月

実はね、今日の朝…雪那ちゃんに会ったの

晴陽

へえ、、そうなのね

雨月

それでさ、色々あって雪那ちゃんを抱きしめちゃったんだけどさ

晴陽

どう色々あったらそうなるの？

雨月

雪那ちゃん、全然嫌がらなくてさ

雨月

むしろ、男の子より女の子の方が安心するって言ってくれたの

雨月

もうこれ、運命と言っても過言ではないよね

晴陽

だいぶ過言だと思うけど

晴陽

ていうか、ハグくらいなら普通に女の子同士でもするじゃん？

雨月

えー！

雨月

そうなの？

雨月

晴陽ちゃん、私にはちっとも身体を許してくれないのに！

晴陽

誤解を招く言い方するな

晴陽

私だって別にハグくらいならかまわないわよ

雨月

そうだったのー！？

雨月

だったらもっと抱きしめておけばよかった

雨月

なんともったいない…！

晴陽

…やっぱあんたはだめ

晴陽

下心が垣間見える

雨月

えー！

雨月

そんなー！

雨月

はぐー！はぐー！

晴陽

ええいうるさい！

魅雷

うざ

魅雷

イチャつくならよそでやってよね

魅雷

てか、なにその首の痕

魅雷

昨日、何してたのよ

魅雷

マジでキモい

晴陽

（不意に雨月の斜め後ろの席の魅雷が
　何やら私達に口をはさんでくる）

晴陽

（雨月の首筋を見てみると、ぽつんと虫刺され）

晴陽

（これがキスマークにでも見えると言ってるつもりかしら）

晴陽

（本当にうざったい）

晴陽

やめてよ、気持ち悪い

雨月

あ…

晴陽

（しまった…！）

晴陽

（魅雷に〝気持ち悪い〟と言われたことが、
　今だに雨月のトラウマになってるんだった）

晴陽

（私は安心させるために、雨月の頭をぽんと叩いてやる）

晴陽

（そして魅雷をキッと睨みつけてやった）

魅雷

うわ、怖い顔。ばっかじゃないの？

魅雷

マジになっちゃって、うけるんだけど

晴陽

だったら話しかけないでよ

晴陽

あんな奴ほっとこ

雨月

う、うん

晴陽

まあさっきの話だけどさ
告白したいなら好きにすればいいんじゃない？

雨月

そうだよね！

雨月

でも…

雨月

もし失敗したら…慰めてくれる？

晴陽

爆笑してやる

雨月

ひどいー！！

雨月

絶対に成功させて幸せになってやるから

晴陽

はいはい、頑張ってね

晴陽

（私は残酷な女なのかも）

晴陽

（失敗するとわかってて、雨月の告白を止めないんだもん）

晴陽

（でもあんなにまっすぐな雨月を見てると、
　止めることなんかできないよね）

晴陽

（まあせめて、ちゃんと慰めてあげよ）

雨月

（雪那ちゃん…来てくれるかな？）

雪那

あ、こんにちはー

雨月

（あ…雪那ちゃん！）

雨月

（来てくれた…！）

雨月

（え、どうしよう。緊張する…）

雪那

こんなところに呼び出すなんて、どうしたんですかー？

雪那

果し合いですかー？

雨月

いやいやちがうよ！

雨月

そんな転校生いびりみたいなことしないって！！

雪那

そうですよねー

雪那

優しい雨月さんが、そんなことするはずないと思ってました

雨月

（雪那ちゃんは、ニコニコ笑ってる）

雨月

（そのホンワカした笑顔が、私の緊張を解いてくれた）

雪那

でも、だったらいったいなんですか？

雨月

うん、ちゃんと話したいから聞いて？

雪那

はいー

雨月

私ね、変に思われるかもしれないけど…

雨月

男の子よりも女の子の方が好きなんだ

雨月

恋愛感情的な意味でね

雪那

そうなんですねー

雪那

でも、別に変じゃないですよ？

雪那

私も、女性が好きかどうかはわかりませんが…

雪那

男性は大嫌いですし

雨月

そうなんだ

雨月

そう言ってくれてうれしい…

雪那

いえいえー

雨月

でさ…

雨月

それでさ…

雨月

実は私…

雨月

雪那ちゃんのことが好きになっちゃったみたいなの！

雪那

え？

雨月

よかったら…私と付き合ってください！

雨月

（雪那ちゃん、きょとんとしてる）

雨月

（やっぱり、ダメだったかな…）

雨月

（もし本当に雪那ちゃんが女性が好きだったとしても…）

雨月

（私と付き合ってもらえるかは別問題だし…）

雪那

あの…

雨月

な、なに？

雪那

それって、私を愛してくれるということですか…？

雨月

う、うん！

雨月

そうだよ！

雪那

…そうなのですか

雪那

嬉しいです…！

雨月

え？

雨月

そ、それって…

雪那

私でよければ…喜んでお受けします

雪那

不束者ですが…よろしくお願いします

雨月

え、うそ…！

雨月

恋人になってくれるの…？

雪那

はい

雨月

（やばい。うれしすぎて泣いちゃう）

雨月

うれしい…！

雨月

うれしいよ…！

雨月

ありがとう、雪那ちゃん！

雨月

ぜったい幸せにするからね！

雨月

（そう言って、私は思わず雪那ちゃんを抱きしめる）

雨月

（伝わってくる体温が、とても心地よかった）

晴陽

雨月のやつ…どうだったのかな？

晴陽

どうせまた失恋して落ち込んでるだろな

晴陽

明日、慰めてやるか

晴陽

…ん？

晴陽

電話…？

晴陽

雨月だ

晴陽

もしもし

雨月

あ、もしもしー！

晴陽

告白の話？

雨月

うん

晴陽

どうだったん？

雨月

それがね…

雨月

成功しましたーーー！！

晴陽

…………

晴陽

…え？

晴陽

成功…したの？

雨月

うん！

雨月

雪那ちゃんも女の子が好きなんだって言ってくれたよ

晴陽

そうなんだ…

晴陽

じゃあ、明日からは雪那ちゃんと一緒に登下校するってことかな？

雨月

あ、そういうの決めてなかった！

雨月

てか、まだ家も知らないし！

雨月

てか、メッセージアプリのアカウントも交換してない！！

雨月

でも、できれば三人で一緒がいいなぁ

雨月

晴陽ちゃんは、私の大事な親友だし！

晴陽

そうね…

晴陽

私も、その方が嬉しいかな…

雨月

だよね！

雨月

じゃあ、明日三人で色々お話しようよ！

晴陽

うん、わかった…

晴陽

じゃ、私そろそろ寝るわ

雨月

え？もう？

雨月

早くない？

雨月

いつもはもっと遅くまで電話してるのに

晴陽

なんか疲れたの

晴陽

ごめんね

雨月

そっか

雨月

それじゃ、おやすみなさいー！

晴陽

うん、おやすみ…

晴陽

意味わかんない

晴陽

なんで私…

晴陽

…………

晴陽

…泣いてんの？

晴陽

泣いたのなんて、小学校の時以来…

晴陽

たった一人の親友を取られたのが悔しいってこと…？

晴陽

私、こんなに独占欲強い女だったの…？

晴陽

（なんでこんなに苦しいのか、自分でもわからない）

晴陽

（私は一晩中、ベッドの中で泣き続けていた）

晴陽

雪那

あのね、ママは今日もあの人のところに行ってるの…

雪那

（私は、いつものようにクマのユキちゃんに話しかけていました）

雪那

ママはあの人を新しいパパにしたいみたい

雪那

でも、私はあの人きらい

雪那

私のことをいやらしい目で見てくる

雪那

前のパパみたいに、暴力も振るってくる気がするの

雪那

なんでママは、新しいパパが欲しいんだろ

雪那

私は、ママと二人がいいのに

雪那

…でもね

雪那

今日は凄くうれしいことがあったんだ

雪那

こんな私のことを、好きになってくれる人がいたの

雪那

その子、私のことをギュって抱きしめてくれた

雪那

昔、毎日ママがしてくれたみたいに…

雪那

うれしい

雪那

私、もう雨月ちゃんを離さない…

雪那

絶対に離さない

雪那

私を、一人にしないでね…

雪那

（今日は、毎日使ってるカミソリに用はありません）

雪那

（手首に刻まれた無数の傷痕は、今日もズキズキと痛みました）

貴女依存症

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雨宮黄英

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