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貴女依存症

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貴女依存症

1 - 貴女依存症 第1話

♥

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2019年07月19日

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雨月(うづき)

(特に理由があったわけじゃないけど、昔から私は女の子が好きだった)

雨月(うづき)

(周りの人と違うことはわかっていた)

雨月(うづき)

(でも、自分は自分なんだって、そう思って高校生になるまで生きてきた)

雨月(うづき)

(そして今日…)

雨月(うづき)

(私は告白する…)

魅雷(みらい)

は?気持ち悪いんだけど

雨月

え…?

魅雷(みらい)

女同士で恋愛とかありえないし

魅雷(みらい)

もう話しかけないでね

魅雷(みらい)

それじゃ

雨月

(ぽかぽかと暖かい、春の陽気)

雨月

(こんな日に、初めての恋人ができたらすごくうれしいと思ってた)

雨月

(でも、初めての告白は失恋に終わった)

雨月

(女の子が好きな私は、異常なのかな?)

雨月

(私は気持ち悪い人間なのかな…?)

雨月

(ただ、人と少しだけ違うだけなのに…)

次の日

雨月

女生徒

あ、来た来た

女生徒

近寄っちゃダメだよ

女生徒

狙われちゃうかもだからー

雨月

なにこれ…

魅雷

あ、おはよー!

魅雷

昨日は告白テロどーもねー!

魅雷

せっかくだから
みんなにも雨月ちゃんの趣味を知ってもらえるように
黒板に書いといてあげたよ

魅雷

『土山雨月はレズ!気を付けないと襲われちゃうよ~!』ってね!

雨月

あはは…ありがと

雨月

(だめだ、足がふらふらする)

雨月

(昨日まで、みんなと楽しくやれてたのに)

雨月

(休み時間には、みんな私のところに宿題のこととか聞きに来てくれてたのに)

雨月

(そりゃあ、親友とまで呼べる子はまだいなかったけど…)

雨月

(告白って、そんなに悪いことかな…)

雨月

(クラスで一番綺麗で素敵な子だと思ってた三石魅雷ちゃん)

雨月

(昨日までは、優しく笑ってくれたのに…)

晴陽(はるひ)

はぁ、ばっかばかしい!

雨月

…!?

雨月

(この声は、確かあまり話したことが無かった天河晴陽ちゃん)

雨月

(晴陽ちゃんはすぐに黒板の文字を消して、私に手を差し伸べてくる)

雨月

晴陽(はるひ)

昨日までは勉強とかで散々頼ってたくせに、
自分に理解できないところが一つあっただけでこの仕打ち?

晴陽(はるひ)

私からすれば、そんなあんたらの方が気持ち悪いわよ!

雨月

(涙が出た)

雨月

(このクラスにも、私を受け入れてくれる人がいたんだ…!)

雨月

ありがとう…

晴陽(はるひ)

別にお礼言われることなんかしてないよ

晴陽(はるひ)

よかったらさ。今日は一緒に帰ろ

雨月

うん…

雨月

うん…!うん!うん!

雨月

(うれしくてうれしくて、何度もうなずいちゃった)

雨月

(今まで当たり前だった幸せが消えてしまった世界で、
 変わらない日常をくれる晴陽ちゃんが眩しい)

雨月

(どうしよう…)

雨月

(失恋したばかりなのに、また新しい恋をしちゃいそう…)

雨月

今日は本当にありがとうね、晴陽ちゃん

晴陽

だからお礼されるほどのことじゃないって

晴陽

ただ私がむかついただけだし

雨月

それが嬉しかったんだよ

雨月

正直、泣きそうになるほどうれしかった

雨月

てか、泣いてた

晴陽

うん、泣いてたね

晴陽

あはは

雨月

あ、笑うなー!

晴陽

ごめんごめん

晴陽

でも、あんたも今は笑ってるじゃん

雨月

それは晴陽ちゃんのおかげだよ

雨月

あのさ…

雨月

せっかくだし、ちょっと寄り道してかない?

晴陽

うん、いいよ

雨月

ありがとう!

雨月

実は最高の場所があるの!

晴陽

最高の場所?

晴陽

なにそれ、気になるじゃん

雨月

じゃ、ついてきて!

晴陽

へぇ、きれいじゃない

雨月

でしょ?でしょ?

雨月

(ここは学校からも駅からも少し離れた、夕陽の綺麗な海辺)

雨月

(まだ私達は入学してひと月くらいだし、気づいてない子も多いと思う)

雨月

(晴陽ちゃんも、やっぱり気づいてなかったみたい)

雨月

(目をキラキラさせて、喜んでくれた)

晴陽

こんな場所があったんだ

雨月

えへへ、素敵でしょ?

雨月

いつか…好きな人とここで夕陽を眺めたいなぁなんて思ってたの

雨月

…なんてね

晴陽

ん、いいんじゃない?そういうの

晴陽

私も、そう思うし

雨月

えへへ、ありがとう

晴陽

ねえ、写メ撮ろっか?

雨月

うん!

晴陽

じゃ、もっと近くに寄って

雨月

うん…

雨月

(晴陽ちゃんの顔が近い)

雨月

(見つめてると、ドキドキしてくる)

晴陽

ん?

晴陽

どした?

雨月

(そんな私ににっこりと微笑みかけてくれる晴陽ちゃん)

雨月

(頭がクラクラするほど、鼓動がやばい…)

雨月

(私は思わず、晴陽ちゃんにそのまま唇を近づけた)

晴陽

へ?

晴陽

ちょ、やめて!!

雨月

(その瞬間、晴陽ちゃんが私を引き離す)

雨月

あ…

雨月

ごめん…

雨月

なにやってんだろ、私…

雨月

昨日も、気持ち悪いって言われたばかりなのに…

晴陽

あ、いや

晴陽

別に気持ち悪いとは思ってないよ

晴陽

少しびっくりしただけ

雨月

ありがとう…

雨月

でも、ごめんね

晴陽

ううん

晴陽

でも私は女の子と恋愛っていうのはあまり考えられないから…

晴陽

それはごめん

雨月

ううん

雨月

それは仕方ないよ

雨月

私がいけないんだもん

雨月

(私、バカだ)

雨月

(私は普通じゃないんだと、昨日知ったはずなのに)

雨月

(晴陽ちゃんなら受け入れてくれるんじゃないかなんて)

雨月

(何の根拠もなく信じ込んでた)

晴陽

ごめんね、落ち込ませちゃって

雨月

ううん、ありがとう

雨月

こうして気にせず私と居てくれるだけでうれしいし

晴陽

ならいいんだけどさ

雨月

でも残念だなー

雨月

晴陽ちゃんなら、最高の恋人になってくれるって思ったのに

晴陽

もー、何言ってんの

雨月

(強がってみたけど、多分顔は笑えてないと思う)

雨月

(でも晴陽ちゃんは、敢えて触れずに笑い返してくれる)

雨月

(その優しさが嬉しくて…)

雨月

(…すごくせつない)

雨月

あのさ…

雨月

恋人は無理でも…このまま友達では居てくれる?

晴陽

そんなの当たり前じゃん

晴陽

よろしくね、雨月

雨月

ありがとう!

雨月

よろしくね、晴陽ちゃん

雨月

(私達は笑顔で〝友情〟を誓いあい、夕焼けをバックに写真を撮った)

雨月

(スマホの画面には、満面の笑みを浮かべた晴陽ちゃんと)

雨月

(少し寂し気に笑う私の姿が映し出されていた)

六月

雨月

今日は一人かぁ

雨月

(毎日一緒に登校してる晴陽ちゃんがいないだけで、すごく寂しい)

雨月

(日直の仕事なんて、永久に無くなればいいのに)

雨月

あれ…?

雨月

雨月

あの子…どうしたんだろう

雨月

(なんだかボーっとした様子で、車道の方を眺めてる女の子がいる)

雨月

(年は私と同じくらい…)

雨月

(すごく色白で…とてもきれいな子)

雨月

(うちの学校の制服を着てるけど、見たことない)

雨月

(でも…もう六月なのになんで冬服なんだろう?)

雨月

あっ…!

雨月

(突然、女の子の身体が道路の方へとふらつく)

雨月

危ない!!

雨月

(私はすぐに女の子に駆け寄って、その身体を抱きとめた)

雨月

大丈夫!?

女の子

あぁー…

女の子

ありがとうございます

女の子

ちょっとふらついてしまって…

雨月

車に轢かれるところだったよー

雨月

無事でよかった!

女の子

本当に助かりました

女の子

ありがとうございます

雨月

(なんだか不思議な子…)

雨月

(フワフワしてて…話してると何だかほんわかする)

雨月

(それに…すごくあたたかい…)

雨月

(てか…私ずっとこの子を抱きしめたままじゃん!)

雨月

あ、ご、ごめん!

女の子

え?

女の子

謝らなくちゃいけないのはこっちですよー

雨月

あ、いや、えっと…

雨月

ずっと抱きしめちゃってたから…

雨月

ごめんね

雨月

気持ち…悪かったでしょ?

女の子

気持ち悪くなんかないですよー

雨月

え、だって…

雨月

女の子から抱きしめられて…

雨月

いやじゃないの?

女の子

いやじゃないですよー

女の子

むしろ…凄く安心しました

女の子

ずっとこうしていたいって思ったくらいですよー

雨月

本当…?

雨月

本当に!?

女の子

はい

女の子

本当ですよー?

女の子

むしろ私は、男の人より女の人の方が安心できます

雨月

(え、うれしい…)

雨月

(抱きしめてもいやがるどころか、ずっとこうしていたいって思ってくれるなんて…)

雨月

(こんなの初めて…)

女の子

本当にありがとうございました

女の子

それでは、失礼しますねー

雨月

あ…

雨月

(女の子はニコニコ笑いながら、歩いて行ってしまう)

雨月

(気が動転して名前も聞けなかった…)

雨月

(また…会えるといいな)

雨月

(そんな私の願いは、思った以上に早く叶うことになった)

晴陽

おはよー

雨月

おはよー

晴陽

日直のお仕事ご苦労さん

雨月

ありがとー!

雨月

頭なでなでを希望するー

晴陽

はいはい

雨月

ふあー、幸せー

雨月

あ、そういえば今日転校生が来るんだって

雨月

先生が言ってたよー

晴陽

そうなんだ

晴陽

どんな子かねぇ

雨月

気になるよねぇ

雨月

あ、先生来たよ

先生

みんな、席に着けー!

先生

今日は転校生を紹介する

先生

入れ

雪那(ゆきな)

失礼します

雨月

(え?)

雨月

(あの子って…)

雪那(ゆきな)

柚木雪那です

雪那(ゆきな)

よろしくお願いします

雨月

(朝会った子だ!)

雨月

(雪那ちゃんが、私の方を見て微笑んでくる)

雨月

(これ、偶然というにはできすぎだよね?)

雨月

(これはもう、運命だよね…!)

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コメント

74

ユーザー

百合は正義

ユーザー

三角関係始まる予感が...((o(´∀`)o))

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