テラーノベル
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#読み切り
ドアが開く。
「……失礼します」
「どうぞ」
生徒は入ってきて座る。
少し気まずそうに笑う。
「なんか……クラスLINE、見るのしんどくて」
日下部は目を向ける。
「通知多いとかじゃなくて」
「うん」
「自分が送ったやつだけ、反応少ない気がするんです」
視線が落ちる。
「他の人の一言にはスタンプいっぱい付くのに」
少し間。
「自分のは普通に流れるというか」
短く息を吐く。
「送ったあと、“余計だったかな”ってめっちゃ見返します」
「“空気”を数字で見える場所だからな」
日下部は言う。
生徒は小さく頷く。
「……はい」
「既読とか、リアクションとか。差が見えやすい」
短く言う。
生徒は黙る。
「で、他人同士の盛り上がりと比較する」
「……してます」
日下部は少し間を置く。
「でも、グループLINEの反応って」
短く言う。
「内容より、“タイミング”で変わること多い」
生徒は顔を上げる。
「タイミング?」
「誰かが盛り上がってる流れの途中か、とか。既に空気できてるか、とか。だから、毎回平等じゃない」
生徒は黙る。
「……でも、自分だけ滑ってる感じします」
「一回気にし始めると、自分のだけ記憶に残る」
短く言う。
「他人の“流れた発言”は忘れるのに、自分のだけ覚えてる」
生徒は少し苦笑する。
「めっちゃあります」
「あと」
「はい」
「送信したあと、監視しすぎ」
生徒は止まる。
「……してます」
「既読増えたか確認して。誰が反応したか見て」
短く言う。
「それやると、どんどん重くなる」
生徒は視線を落とす。
「じゃあ、どうしたらいいですか」
日下部は少し考える。
「“全員に刺さる”をやめる」
「え」
「グループって、半分流れて普通」
短く言う。
「毎回ちゃんと反応来る方が珍しい」
生徒は黙る。
「あと、自分の発言に“結果”求めすぎない」
日下部は続ける。
「会話に参加した、それだけで十分な時もある」
生徒はゆっくり頷く。
立ち上がる。
ドアの前で止まる。
「LINEなのに、ずっと評価されてる感じでした」
「見える形で反応返るからな」
短く返る。
ドアが閉まる。
グループLINEは、会話より“立ち位置”を気にし始めると急に苦しくなる。
コメント
3件
第96話、読み終わりました。 日下部先生の「全員に刺さるのをやめる」という言葉、すごく沁みました。グループLINEって“見える形で反応が返る”からこそ、自分の立ち位置を意識しすぎてしまいますよね。送信後に監視してしまう気持ち、痛いほど分かります。毎回平等じゃないって言われて、少し肩の力が抜けました。この距離感のアドバイス、本当に素敵です🤍