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「まだ我慢しろよ」
クラスの男子が嗤う声が、背中に突き刺さる。手元の雑巾を握る力が次第に強くなる。俺は、床に膝をついたまま、目を伏せて震えるしかない。
トイレに行きたい──でも、誰も許してくれない。
「なんでお前は我慢できないんだよ?」
誰かが肩を押す。息が詰まる。膝の震えと、膨らむ尿意が俺を苛む。恥ずかしい、痛い、消えたい──感情が渦を巻く。
心の中で呟く。
「俺、だめだ……また間違った……」
幼い頃から、義母に叱られ、義兄弟に嗤われ、押さえつけられた記憶が、一斉に蘇る。あのときも我慢させられた。あの痛みと羞恥が、今のこの痛みに重なる。
クラスメイトが指を指して笑う。何もできない俺は、ただ目を閉じ、心臓の鼓動を聞く。冷たい視線と嗤い声の渦に押し潰されそうになる。
小さく声が漏れる。それも嗤い声にかき消される。
床を拭く手が、次第に震える。膨らむ羞恥と尿意が全身に広がり、身体が熱くなる。だが、誰も助けてくれない。いや、助けてくれる存在なんて、最初からいなかった。俺は、存在してはいけない、ただの標的だ。
嗤い声が止まらず、膝の痛みと羞恥が混ざって、涙が頬を伝う。息を整えようとしても、心臓の音と尿意が頭の中で響く。顔を伏せ、床を舐めるような羞恥に耐え、膝を押さえながら震えるしかない。
「我慢できるか? ほら、声出してみろよ」
さらに嗤い声が加わる。俺は、あぁ、俺は……と自己否定が止まらない。存在そのものが間違いで、身体も心も、すべて笑い物にされるためにあるような感覚。
やっと休憩時間が終わる。足が痺れ、全身が痛い。だが、クラスの誰も同情しない。俺は、また次の地獄に向かうため、雑巾のように膝をつき、嗤い声の渦に沈んでいく。
「まだかよ、お前、ほんとに我慢できるのか?」
クラスの男子が嗤いながら肩を押す。
「おい、膝曲げろ、雑巾みたいにペタッと床にくっつけろ」
声が耳に突き刺さる。俺はうつむき、膝を折り、手で床を撫でるように拭く。全身が熱くて、震えが止まらない。尿意は限界に達しつつあるのに、誰も許してくれない。
「お前の顔、今にも漏らしそうじゃん。ほら、声出してみろよ」
「あ……っ、ん……」
小さくもがく声が、嗤い声の波にかき消される。恥ずかしくて痛くて、身体が言うことを聞かない。
「だせよ、漏らせ、雑巾が勝手に濡れるところ、みんなで見せてもらおうぜ」
嗤う声に、俺の心臓は跳ね上がる。あぁ、やっぱり俺は消えたほうがいいんだ。存在そのものが、こんな辱めのためにあるのか……。
膝の痛みも尿意も、羞恥も、全てが渦を巻いて全身を締め付ける。小さく「あっ……ああっ……」と声が漏れた瞬間、男子の一人が指を指して笑う。
「ほら、漏れたぞ、見ろよ! 雑巾、漏らした!」
身体が震え、顔から火が出そうで、声がかき消されても涙は止まらない。
「あーあ、こんなに我慢できない奴、初めて見たわ」
「雑巾みたいに床にくっついて、誰かに踏まれても文句言えねえな」
次々に残酷な言葉が浴びせられる。俺は、ただうつむき、震える膝で床を舐めるように拭く。漏らした尿が冷たく恥ずかしさを増す。
「お前って、ほんとに使えねえけど、笑い者にするには最高だわ」
「まだいけるんじゃね? ほら、雑巾、もっとペタペタさせろ」
嗤い声の波が止まらない。身体の熱と羞恥、痛みが一度に襲い、息も荒くなる。俺は自分の存在そのものが否定される感覚に押し潰されそうになる。
やっとチャイムが鳴る。だが、膝は痺れ、尿意の羞恥が体内に残る。誰も慰めてはくれない。俺は、漏らしてしまった身体の熱と羞恥を抱えたまま、雑巾のように這いずりながら席に戻るしかなかった。