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📩 質問
「三人の“初恋”って、どんな感じでしたか?」
蓮司
「オレはね、小学生のとき。
転校生で、やたら言葉づかいが大人びた子がいてさ。
“それ、あなたのためじゃないよ”とか普通に言ってくんの。
ぐさっとくるんだけど、なぜか目が離せなくて」
「まぁ、言えなかったけどね。気持ちも、名前も」
遥
「……オレは、わかんねぇ」
「誰かに憧れたこと、あるかもしんないけど……
それが“好き”だったかどうかも、よく覚えてない」
蓮司
「そりゃまぁ、幼少期がアレじゃね。
他人を好きになる余裕、なかったろうし」
遥
「……そう、かもな」
(少し目を伏せる)
蓮司
「で、日下部くんは?
昔、誰に心奪われちゃったんですか〜?」
日下部
(少し黙る)
「……怜央菜、だった」
(空気が一瞬、止まる)
遥
「……姉貴、のこと?」
日下部
「……うん」
「最初は、“かっこいいな”って思ってた。
なんでも言えて、誰にも遠慮しなくて……」
「でも、いつの間にか、それが……好き、になってたんだと思う」
蓮司
「……なるほど。で、遥くんにとっては地獄の構図だったわけだ」
遥
(少し間を置いて)
「日下部……さ、
お前、自分があのとき何してたか、わかってて言ってんのか?」
日下部
「……わかってる」
「だから、“初恋だった”って話すのも、ほんとは……ずるい」
「でも、ずっとどっかで思ってた。
オレが怜央菜を好きだったせいで、
遥を……置いてけぼりにしたって」
蓮司
「……ほら、真面目すぎるって。
そういうとこがまた遥くんを見ちゃう理由になるんだろうね」
遥
「やめろ……
……今のは、笑えねぇ」
蓮司
(軽く肩をすくめて)
「うん、ごめん。
でも、こうして言葉にした時点で、日下部は一歩分だけ前に進んだと思うよ」
「……許されるかどうかは、遥くん次第だけど」
遥
(目線を逸らし、静かに)
「……わかんねぇ。まだ」