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翌朝、教室の扉を開けた瞬間、複数の視線とくすくす笑いが同時に向けられた。

スマホを見せ合う声が耳に刺さる。


「ほら、これ見て。“きも犬”が水浴びしてんの」


「止めてあげればよかったかな? ……いや、キモすぎて無理」


「これさ、BGMつけたらバズるんじゃね?」


机に近づくと、椅子の座面がびしょ濡れになっていた。

上から水が垂れた跡が、まだ床に小さく広がっている。

机の引き出しを開けると、中にカエルの死骸が詰められていた。


「お前、動物と仲良いんだろ? ペットだよ」


笑いながら言う声に、周囲もつられて笑う。


授業中、後ろの席からシャープペンで首筋を何度も突かれる。

消しゴムのカスを髪に練り込まれ、「フケだ」と指さされる。

黒板の前に出されると、小声で「犬芸やれよ」と囁かれ、

やらなければ机を蹴られ、ノートが床に散らばる。


休み時間、男子に両腕を後ろに捻られたまま、女子の前へ押し出される。


「ほら、女子の前で土下座して、“ごめんなさい、キモくて”って言え」


抵抗すれば腕を強く引かれ、関節に鈍い痛みが走る。

女子は冷ややかな笑みでスマホを構え、動画を撮る。


「うわ、ほんとに言った……あーやば、声が鳥肌」


昼休み、購買で買ったパンが手からはじき飛ばされ、廊下に落ちる。

拾おうとすると、誰かの靴が踏みつけて粉々になる。


「それでも食えよ。犬なんだから」


クラス全員の笑い声が背中に降りかかる。


放課後には、また体育倉庫裏に呼び出され、

縄跳びで手首を縛られたまま立たされる。

首の後ろを軽く締められ、「ほら、昨日の再現だよ」と耳元で囁かれる。

他のやつが動画を回し、別の角度から撮る。


「今度は“きも犬・首輪バージョン”だな」



無名の灯 番外編

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