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給食の時間。大地のトレーにのった牛乳パックが、なぜか穴だらけになっていた。ストローを差すと、あちこちからぴゅーっと牛乳が噴き出す。
「わー! 牛乳ファウンテンだ!」
「おい、やめろ、机びしょびしょだろ!」
「いやこれ、隼人の仕込みでしょ? 俺専用のサプライズ演出!?」
「違ぇよ!」
大地はびしょ濡れになりながら、楽しそうに牛乳をすする。
「……うん! 隼人の愛が染み込んだ牛乳は格別だな!」
「俺は毒でも入れた気分なんだが」
隼人はため息をつき、次の手を仕込んだ。大地のパンに、こっそり唐辛子ペーストを塗り込んでおいたのだ。
「はむっ……おおおっ! からっ! でもこれ、隼人のスパイスか!」
「辛ぇだけだろ!」
「いやいや、これは“俺との恋は刺激的だぜ”ってメッセージ!」
「違うっ!」
「隼人って、ほんとに照れ屋さんだなぁ」
クラスの連中は大爆笑。先生まで「前向きすぎて参考になる」とか言っている。
さらに隼人は、デザートのプリンに「バカ」とケチャップで落書きをした。
「……バカ、だってよ」
「うおぉぉ、ついに隼人が俺の名前を呼んだぁ!」
「呼んでねぇ!」
「これはつまり、“バカ=俺だけの特別”って暗号だな!」
「なんでだよ!」
「俺しか読めないラブメッセージ、ありがとう隼人!」
「違ぇっての!」
大地はそのプリンを大事そうにスプーンですくい、にっこり笑った。
「うん、甘い。隼人の愛の味がする」
「俺は今、吐きそうなんだけど」
放課後、二人きりで廊下を歩く。大地がぽつりと呟いた。
「なぁ隼人。今日の牛乳もパンもプリンも、みんな隼人の気持ちが詰まっててさ」
「お前……本当に何でも恋愛脳に変換するな」
「だって隼人が俺にだけちょっかい出すんだもん。俺だけ特別ってことでしょ?」
「……」
「俺さ、普通の給食より、隼人がくれる愛情給食のほうがずっと美味しい」
隼人は思わず立ち止まる。
大地はにこにこ笑って、何の迷いもなく続けた。
「だから、これからも俺の給食、隼人に味つけてほしいな」
「……バカ」
「うん! 隼人専用の“愛されバカ”だから!」
隼人は耳まで真っ赤になり、思わず顔をそらした。
その姿を見て、大地はまたも“今日の勝利”を確信したのだった。