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朝の教室。大地は柊の机に肘をつき、にこにこと話していた。
「でさ、そのとき俺、階段から転びそうになってさ!」
「お前、ほんとドジだな。でもそういうとこ、俺は好きだぜ」
「え、マジ!? ありがとー!」
大地は大げさに両手を挙げ、教室の笑いをさらった。
そこへガラッとドアが開く。隼人が教室に入るなり、状況を見て目を細めた。
「……朝っぱらから何イチャついてんだよ」
「え、イチャつき!?」
大地が爆笑。柊は余裕の笑みを浮かべた。
「イチャついてるように見えるなら、それは本物かもな」
「おい柊っ!」
隼人が机を挟んで睨み合う。
その様子を見ていたクラスメイトがざわざわと騒ぎ始めた。
「ちょっと待って、これって三角関係?」
「いや、大地モテすぎだろ」
「おいおい、少女漫画かよ!」
「隼人と柊が同じ相手取り合うとか、贅沢すぎ」
一気に教室の空気が面白がるモードに変わる。
大地は「え、俺ってモテキャラ!?」と大喜びで両手を広げた。
「はいみんな注目! 転校生の俺、モテモテ街道まっしぐらでーす!」
「バカか!」隼人が赤面して否定するが、笑いは収まらない。
そんな中、後ろの席では萌絵と涼が身を乗り出していた。
「やばっ、完全にクラス公認の三角関係になってる」
「実況するまでもなく、全員巻き込まれてるな」
「けどここからどう動くかが大事! 隼人のツンデレが炸裂するか、柊が押し切るか……!」
「プロの分析かよ」
涼が呆れつつも、目は輝いていた。
休み時間になってもからかいは止まらない。
「ねえ大地、次はどっちと帰るの?」
「体育のペアは誰にする?」
「デートの相手はどっちだ?」
矢継ぎ早に浴びせられる質問に、大地はケラケラ笑って答える。
「いやー、俺モテすぎて困っちゃうなー!」
「困ってねえだろ!」
隼人が机を叩いて叫んだ。
その隣で柊は余裕の笑みを崩さない。
「まあ、選ぶのは大地だしな」
「勝手に話進めんな!」
隼人が真っ赤になって噛みつく。
その姿を見てクラス全員が「隼人、図星~!」と盛り上がる。
教室のど真ん中で、嫉妬と笑いとからかいが渦巻く。
当の大地は、そんな視線を一身に浴びながら――ただただ楽しそうに笑っていた。