TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

放課後の街を抜けて、人気のない公園に足を踏み入れる。ブランコがかすかにきしみ、街灯の明かりがオレンジ色に芝生を染めていた。 大地は缶ジュースを二つ買ってきて、隼人の横に腰を下ろす。


「ほら、隼人。オレンジとコーヒー、どっちがいい?」


「……コーヒーで」


「だよな。なんか渋いし」


にかっと笑って差し出される缶を受け取り、プルタブを開ける。微炭酸のように沈黙がはじけた。


大地は空を見上げて言った。


「今日さ、楽しかったな。隼人と二人で出かけるのって、なんか新鮮だわ」


心臓が一瞬、ずれるように跳ねた。二人きり。特別に意識するつもりなんてなかったのに、言葉が胸の奥を揺さぶる。


「……大げさだ」


「大げさじゃねえって。俺さ、隼人ってもっと距離あるやつかと思ってた。けど近くで一緒にいると、案外気楽」


笑いながらそう言われると、なんだか目をそらしたくなる。嫉妬とか不安とか、複雑な感情に支配されていたはずの自分が、今は妙に安心している。


沈黙の隙間で、ふと大地の手が近くにあるのに気づいた。缶を持つ手が、わずかに触れるか触れないかの距離。

わざとらしく避けることもできた。けれど隼人は動かなかった。


「なあ隼人」


「……なんだ」


「お前ってさ、本気で怒ったらめちゃくちゃ怖そう」


「……は?」


「でも、俺にはそういう顔、見せねえよな」


からかい半分、本気半分。大地の声が夜風に混じって耳に残る。


隼人は言葉を返さなかった。ただ、横顔のままわずかに唇をかすかに結んだ。

大地はそれを見て、ほんの少しだけ頬を赤くしたように見えた。


距離は縮まらない。けれど確かに、二人の間には誰も入れない静かな熱が流れていた。


いじめのはずがプロポーズでした

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

15

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚