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コメント
24件
ついに告白ですか~💖 最高です~!!!! お食事会が楽しみですね🤭
透也さんの正直な告白に夏帆ちゃんも素直になれて晴れて恋人同士♥ お母さまのちょっと強引な動きに感謝ですね🥰
よかったね~~♡シュキ(⁎>ᴗ<⁎)シュキ ママのちょっと強引⁉️アシストもあり🤭気持ちが同じで、通じ合えてよかったよー😍 食事会が楽しみだぁ~~💕
翌週の金曜日――
昼休みにカフェで過ごしていた夏帆のもとへ、一本の電話が入った。
携帯を見ると、三木谷エステートの新からだった。
夏帆は慌ててカフェの外へ行き、電話に出た。
「三木谷エステートの三木谷です。どうも、ご無沙汰しております」
「お久しぶりです。その節はお世話になりました」
「あの……今、お時間よろしいですか?」
「ちょうどお昼休みなので大丈夫ですよ」
「ありがとうございます。実は義母から電話があり、近々、藤田さんがご退去されると伺ったのですが、本当でしょうか?」
「ええっ!?」
思わず大きな声が出てしまい、周囲の視線が集まる。
夏帆は慌てて声を潜めた。
「藤田さんがオーナー……まあ、私にとっては義兄にあたるのですが、彼の部屋に引っ越すと聞きまして。それが本当かどうか確認しようと電話した次第でして……」
「はあ……」
透也の母・加奈子は、息子に恋人ができたことがよほど嬉しかったのだろう。
その勢いで、新にまで話してしまったらしい。
しかし、引っ越す予定などまったくない夏帆は、ただただ困惑するしかなかった。
あの日、加奈子が帰ったあと、透也は「しばらくこのままでいれば、じきに諦めるだろう」と言っていた。
だがその予想は外れ、せっかちな加奈子が先に行動を起こしたようだ。
熟年離婚した友人のためにも部屋を空けてあげたい――そんな思いもあったのかもしれない。
(どうしよう……。お母様をがっかりさせたくはないけど、無理なものは無理だし……)
悩んだ末、夏帆は透也に相談するべきだと判断し、こう返した。
「その件については、今度のお食事会のときにお話できればと思います」
新は明るい声で答えた。
「そうでした! 藤田さんが来られると聞いて、亜希も喜んでいましたよ。では、当日、お待ちしてますね」
「はい。亜希さんによろしくお伝えください」
電話を切ると、夏帆は大きくため息をついた。
(どうしよう……。とにかく中条さんに相談しないと……)
しかし透也は今週ずっと外出続きで、一昨日からは泊まりの出張に出ている。
ここ数日、顔を合わせていなかった。
席へ戻った夏帆は、携帯を取り出し、日曜日について相談したい旨をメッセージで送った。
その日、終業時刻になっても、透也からの返信はなかった。
戻るのは夜になると言っていたので、夏帆が帰宅したあとだろう。
(明後日が食事会なのに……どうしよう)
不安を抱えたまま帰宅し、夕食と入浴を済ませても気持ちは落ち着かなかった。
食事会で事実を伝えれば、透也の家族をがっかりさせてしまう。
あれほど喜んでくれていた加奈子の顔を思い出すと、胸が痛んだ。
しかし、嘘を重ねるわけにはいかない。
正直に話すべきだ――そう思う一方で、心の奥では別の感情が芽生えていた。
(もし……これが本当だったら? 本当に中条さんと恋人同士だったら、私は嬉しかったのかな?)
この部屋を出て、彼の部屋へ移る。
そして、彼に愛される恋人だったとしたら――自分は喜びに満ちていたのだろうか?
その瞬間、夏帆は自分が透也に好意を抱いていることを、はっきりと自覚した。
うすうす気づいてはいた。
隣人であり上司でもある彼に、いつの間にか惹かれていたことを。
透也と過ごす時間が、いつも自分を癒してくれていたことを。
そして、職場で彼の仕事ぶりを見て、尊敬の念を抱いていたことも。
全部、気づいていたのだ。
(私は彼のことが好き! でも、すべてが嘘だとご家族に告げたら、すべてが終わってしまう。たとえお芝居でも、このまま恋人役を続けたい……そう思ってるんじゃないの?)
胸の奥で、そんな思いが膨らんでいく。
できることなら、この芝居がずっと続いてほしい。
透也の家族と、いつまでも温かい関係でいたい――そんな気持ちが込み上げてくる。
大学入学を機にひとり東京へ出てきた夏帆にとって、こんな思いを抱くのは初めてだった。
それほどまでに、透也は魅力的で、彼の家族は素敵な人ばかりだった。
そのとき、インターホンが鳴った。
「こんなに遅く、誰?」
時計は午後十一時を指している。
戸惑いながらインターホンの画面を見ると、透也が立っていた。
夏帆は驚きのあまり息をのんだ。
「中条さん! ど、どうしたんですか?」
「ただいま、夏帆ちゃん」
「あ……出張、お疲れさまでした」
「遅くにごめんね。新くんから連絡があって、君が困ってるみたいだからって。少しだけ入れてもらえる?」
「あ……はい……」
部屋着のままだった夏帆は慌ててパーカーを羽織り、髪を整える。
化粧っ気のない顔はいつもより幼く見えたが、そのまま玄関へ向かった。
扉を開けると、スーツ姿の透也が紙袋を手にして立っていた。
目元にはうっすらと疲れがにじんでいる。
「はい、これ、お土産」
「私にですか? ありがとうございます」
「返信できなくてごめん。来たほうが早いと思って」
「こちらこそ、忙しいのにすみません。どうぞ、上がってください」
「お邪魔します」
透也がソファに腰を下ろすと、夏帆は日本茶を淹れて差し出した。
「どうぞ」
「ありがとう」
透也はほっとしたように一口飲んだ。
「ふぅ……美味しい」
「粗茶ですけど……」
「いや、本当に美味しいよ。ほっとする」
透也はもう一口飲むと、少し表情を引き締めた。
「夏帆ちゃん。日曜日の会食のことなんだけど……」
「はい」
夏帆が透也を見つめると、彼はどこか愁いを帯びた瞳で見つめ返してきた。
その瞳は深く澄み、夏帆の心臓はどんどん鼓動を早めていく。
「夏帆ちゃん。俺、夏帆ちゃんのことが好きだ」
「えっ?」
思いもよらない言葉に、夏帆は大きく目を見開いた。
「今まで卑怯だったなと反省したよ。あの日、ベンチで初めて君を見てから、ずっと好意を寄せていた。だから、隣に越して来てほしくて、新くんの店を紹介して……結果的に君を誘導するような形になってしまった」
「……」
隣に越したのは偶然だと思っていた。
しかし透也は、あえてそうなるよう仕向けたのだと言う。
「嘘ですっ!」
「いや、事実なんだ。新くんが機転を利かせてくれたおかげで、君は隣に来てくれた。本当に卑怯だよな……俺は……」
夏帆は言葉を失った。
けれど、胸の奥では別の感情が静かに広がっていく。
「でも、もう卑怯な手は使わない。正直に言うよ。夏帆ちゃん、俺は君が好きだ。だから、俺と付き合ってほしい」
突然の告白に、夏帆は返事ができなかった。
すると透也はさらに続けた。
「君は伊坂と別れたばかりだから、もう少し時間を置こうと思ってた。でも、いい機会だから、俺はもう我慢しない。夏帆ちゃん……俺と一緒に住まないか? 一緒に暮らして、俺のことをもっと知ってほしい」
夏帆は驚きで言葉が出なかった。
けれど心の中では――
(あなたの良さなんて、とうの昔から分かってる……)
そう思っていた。
駿介に振られた痛みは、透也の存在によってすぐに癒えていた。
むしろ、感謝しかなかった。
夏帆は勇気を振り絞り、気持ちを言葉にした。
「私も……中条さんが好きです。あなたと出会って、失恋の痛みは一瞬で消えました。あなたと過ごす時間は私にとって癒しで、いつも前向きな気持ちにしてくれました。だから……私もあなたと一緒にいたいです」
「夏帆ちゃん……」
透也が立ち上がると、夏帆もそれに続いた。
夏帆のそばに来た透也は、そっと彼女を抱き寄せる。
そして、静かに見つめ合い、ゆっくりと唇を重ねた。
情熱のこもったキスを受けながら、夏帆の脳裏には透也と出会ってからの楽しい日々が走馬灯のように流れていく。
窓の外では、赤く染まり始めた木々の葉が、風に揺られて、一枚また一枚と静かに舞い落ちていった。