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「ハロー、夏帆ちゃん!」
透也がにっこり微笑み、軽く右手を上げた。
その瞬間、夏帆はさらに目を見開き、思わず息を呑む。
透也の両脇にいた二人は、驚いて同時に声を上げた。
「「ハッ、ハロー!?」」
そして互いに顔を見合わせる。
「中条さんのお知り合いなんですか?」
代理で総務を担当していた野田が、ぽかんとした表情で尋ねた。
もう一人、透也の共同経営者である新田彰も続ける。
「なんだよ、知り合いのお嬢さんがいるなら、先に言ってくれよな~」
二人の問いに、透也は笑って答えた。
「うん。俺の隣人さん」
「「隣人!?」」
二人はまた同時に声を上げ、すぐに夏帆の履歴書の住所を確認する。
「あ! 本当だ」
「全然気づきませんでした」
新田に続いて野田が「しまった」という顔をすると、透也は得意げに言った。
「野田くん、まだまだだね~」
その言葉に、野田が悔しそうに叫ぶ。
「くっ、悔しいですっ!」
その様子に、透也と新田は声を上げて笑った。
呆然と三人のやり取りを見ていた夏帆は、状況が飲み込めず戸惑うばかり。
ただひとつ確かなのは――心臓が今にも飛び出しそうなほど高鳴っていることだった。
(ど、どういうこと? 彼ってホストじゃなかったの?)
そう思った瞬間、ここが人生を左右する面接の場だということを思い出し、夏帆は慌てて背筋を伸ばした。
そのタイミングで、野田が問いかける。
「藤田さんが驚いてるってことは、中条さんがここにいるの知らなかったんですね?」
「面接まで隠しておくなんて、策士だなあ」
「いや、わざとじゃないよ。言うきっかけがなかっただけ」
「本当ですか?」
ニヤニヤする二人を見ながら、夏帆は心の中で叫ぶ。
(言うきっかけなんて、いくらでもあったじゃないのぉ~! 絶対わざとだわ!)
すると透也が続けた。
「それに、夏帆ちゃんは引っ越しやらなんやらでしばらくバタバタしてたからね~」
「え? そうなんですか?」
新田の問いに、夏帆は慌てて答えた。
「すみません……。私、中条さんのお仕事、てっきり“ホスト”だと思い込んでて……」
うっかり本音を口にしてしまった夏帆は、自分の発言を後悔した。
「「「ホスト!?」」」
三人が揃って叫び、少し間を置いてから大爆笑する。
「あははは!」
「中条がホストだって~!」
「たしかにそれっぽいですけどね~」
三人の笑いは止まらず、夏帆は顔を真っ赤にしてうつむいた。
穴があったら入りたい気分だ。
そのとき、透也が笑いながら夏帆に尋ねた。
「夏帆ちゃん、そんなふうに思ってたんだ?」
「す、すみませんっ! だって、朝帰りしてるところ見ちゃったし、大きなお金を動かす夜の仕事って言ったら、そうなのかなって……」
また三人がどっと笑う。
ひとしきり笑ったあと、透也が涙を拭きながら言った。
「あ~、夏帆ちゃんってほんと面白いな~」
「楽しい隣人さんですね」
「想像力が豊かなのはいいことだよ」
二人がフォローするように言い、夏帆の顔はさらに赤くなる。
さっきまで考えていた志望理由が、すっかり頭から吹き飛んでしまった。
そこで、新田が申し訳なさそうに言った。
「藤田さん、ごめんね。うちは取引中は真剣だけど、オフだといつもこんな感じなんだ。そんな会社でも大丈夫?」
突然の質問に、夏帆は慌てて答えた。
「ユーモアや楽しい話は人生に必要不可欠だと思っていますので、全然大丈夫です」
「たしかに、ユーモアのない人生なんて、つまらないですからね~」
「ほんとほんと。人生は楽しんでなんぼだから」
そう言い終えると、二人はようやく夏帆の経歴に目を通し始めた。
「お、花田証券にいたんだ」
「新田さんが落ちたところですね」
「うるさいっ! 過去の傷をほじくり返すな!」
「すみません」
「あれ? お前、たしか山村証券も落ちたんだよな?」
「うるせー!」
「トレード、向いてないんじゃないの~?」
「はあっ? 俺が生まれた年は、子供の数が多くて競争率が高かったの~! 不運だったんだよ不運!」
「あはは、怒ってる怒ってる」
「中条さん、あまり怒らせるとあとで手がつけられなくなりますよ」
「おっと、そうだった……」
「俺は器が大きいから、その程度じゃ怒らないわいっ!」
「言ってろ」
三人の軽快なやり取りを見て、夏帆は面接中ということも忘れ、思わずクスッと笑ってしまった。
少し肩の力が抜けたところで、透也が穏やかに尋ねた。
「夏帆ちゃん、うちの会社で頑張ってみる?」
突然の問いかけに胸が熱くなり、夏帆は力強く答えた。
「は、はいっ!!」
そこへ新田が、わざとらしく肩をすくめて茶々を入れた。
「CEOがホスト崩れの奴でも平気?」
やっと話題が変わったと思ったのに、またその話をぶり返され、夏帆は恐縮しながら言った。
「申し訳ありません。本当に勘違いしてすみませんでした」
深々と頭を下げる夏帆に、新田が今度は真剣な声で問いかける。
「こいつ、見かけはホストみたいだけど、中身はヤバいくらいデキる人間なんですよ。だから、安心して働ける職場だと断言できます。そこでひとつ聞きますが――もし藤田さんがうちに入ったら、責任をもって職務に就く覚悟はありますか?」
急に真剣な表情になった新田を見て、夏帆は背筋を伸ばし、まっすぐ前を見据えて答えた。
「もちろんです! 精いっぱい務めさせていただきます」
その力強い返答に、新田は満足げにうなずいた。
透也と野田も穏やかに微笑んでいる。
そこで、透也が二人に確認する。
「じゃあ、藤田さんを採用でいいかな?」
「ああ」
「はい」
二人が即答すると、透也が立ち上がり、夏帆の前へ歩み寄った。
思わず夏帆も立ち上がる。
「じゃあ、夏帆ちゃん。採用決定です。来週からよろしくね」
透也は夏帆にだけわかるように、そっとウインクしながら手を差し出した。
突然の“採用決定”に、夏帆は言葉を失う。
しかし差し出された手を見て、これは夢ではなく現実だと理解する。
夏帆はその手を力いっぱい握り返した。
「こ、こちらこそ、よろしくお願いいたします」
固く握手を交わす二人を見て、新田と野田は満足そうにうんと頷いた。
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コメント
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夏帆ちゃん即採用、おめでとう ⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝ワーイ こんな楽しい面接受けてみたい ꉂꉂ(ˊᗜˋ*) 素直で可愛い♡♡こんなところも魅力のひとつですね🤭︎ また接点ふえて、これから楽しみです🤗

夏帆ちゃん、もう最初から決まってたみたい!デキる女だから、採用して良かったと思いますよ! ところで「なかじょう」さんか、「ちゅうじょう」さんかどちらなんでしょうか。身近に両方いるもので…。
藤田夏帆、花田証券、新田さん、野田さん、田が多い( ੭ ᐕ)੭アレ? そんな事どうでもよくって(笑)… 夏帆ちゃん採用決定おめでとうございます! 出勤は透也さんと同伴ですかね?(◦ˉ ˘ ˉ◦)ニヤニヤ 仕事中のゆるふわくない透也さんを見た夏帆ちゃんの反応は? マジで恋する5頁前♡