テラーノベル
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面接の帰り道、夏帆は頬がゆるみっぱなしだった。
(ダメもとで受けた“Transparent Investment”に、まさか受かるなんて! 本当に夢みたい!)
電車に揺られながら、心はふわふわと天に昇っていくようだった。
しかしふと、面接会場にいた透也の顔が頭に浮かぶ。
(まさかお隣さんがあの会社のCEOだったなんて。驚きすぎて腰を抜かすかと思った~。あれ? 会社のホームページに写真、載ってたっけ?)
気になって、ホームページを確認すると、CEOの名前はたしかに“中条透也”とあるものの、写真は掲載されていなかった。
(じゃあ、面接に来てたあの美女軍団は、どこで彼の情報を仕入れたの?)
女性誌に透也が載っていることを知らない夏帆は、首を傾げる。
(でも、ほんとびっくり。あんなモデルみたいに綺麗な人たちが大勢受けに来てたんだから。あれって、絶対CEO狙いよね?)
そう思うと、少し複雑な気持ちになった。
(私は下心ゼロだったから受かったのかな? でも、中条さんのこと“ホスト”って言っちゃったし……あれは失敗だったな~)
思い出した瞬間、顔が熱くなる。
けれど持ち前の前向きさで、すぐに気持ちを切り替えた。
(まあ、あれもインパクトにはなったはず。たとえ隣人のよしみで採用されたんだとしても、CEO目当てで来た人たちに仕事で負ける気はしないわ。あとは精いっぱい頑張るだけ!)
そう自分に言い聞かせると、夏帆は最寄り駅で電車を降りた。
(今日はお祝いにケーキでも買って帰ろうかな~)
駅前のケーキ店に立ち寄り、ショートケーキとモンブランを購入する。
ひとつだけではなんとなく申し訳ない気がして、二つ選んだ。
就職先も決まったし、このくらいの贅沢はいいだろう。
店を出ると、隣の生花店の店先に大好きなガーベラのミニブーケが並んでいるのが目に入った。
「わあ……可愛い……」
思わず足を止めて覗き込むと、ちょうど店主が出てきて声をかけてきた。
「今から半額にしようと思ってたんですけど、おひとついかがですか?」
「わあ、半額ですか?」
千円の値札がついているので、半額なら五百円だ。
夏帆は迷わず、一番好きな赤いガーベラのミニブーケを選んだ。
「じゃあ、これをお願いします」
会計を済ませると、ケーキとミニブーケを手にマンションへ向かった。
(ふふっ。今日はいいことばかりでラッキー)
ご機嫌で公園の前を通り過ぎたそのとき――。
「夏帆!」
聞き覚えのある声にハッとして振り向くと、そこには駿介が立っていた。
「しゅ……駿介!」
「久しぶり。今、ちょっといいかな?」
「何? 私、話すことなんてないわよ」
「ずいぶんつれないなあ。この前、写真集をわざわざ届けてやったのに」
「はあっ? 私は、送ってって言ったのに、来たのはそっちの勝手じゃない。それにいきなり押しかけて、中条さんに迷惑かけちゃって……」
「そんなの、どうってことないだろう? 俺と中条はもともと顔見知りなんだ。聞いてるだろう?」
「聞いたけど、あなたたちの過去のことなんて私には関係ないもの」
「まあ、そう言うなよ」
「で、何の用なの? 私、急いでるんだけど」
駿介は夏帆の手にあるケーキの箱とミニブーケに気づき、目を細めた。
「あいつと何か祝い事でもあるのか?」
「はぁ? なんでそんなこと聞くの?」
「だって、ケーキと花束だろう? 何かの記念日なのか?」
「何だっていいじゃない。あなたには関係ないんだから」
「そりゃそうだけど……」
駿介が続けようとしたのを、夏帆が遮る。
「だいたい何よ。私たちは別れたのに、今さら何の用? 家の近くまで押しかけるなんて異常よ。結城さんはこのこと知ってるの?」
紗英の名前を出すと、駿介はむっとした。
「紗英は関係ないだろ? 俺は夏帆と話がしたいんだ」
「だから何の話よ!」
「ここじゃなんだから、ちょっとカフェにでも行かないか?」
「行かない! ここで話して」
「ここじゃダメなんだ。もっと落ち着いたところで――」
「まわりくどいのはもう嫌なの。言いたいことがあるなら、今ここで言って!」
「いや……やっぱり場所を変えよう。来いよ、すぐ終わるから……」
駿介が腕を掴んだ瞬間、夏帆は驚いて振り払おうとした。
すぐそばには彼の車が停めてあり、そこへ連れ込もうとしているのが一瞬で分かった。
「やめてよっ!」
「いいから来いってば!」
「嫌! やめて! 引っ張らないで!」
強引に腕を引かれ、夏帆は必死に抵抗する。
しかし、力では到底かなわない。
「やめて! いいかげんにして! 大きい声出すわよ」
「出せるもんなら出してみろよ。俺は諦めないからな」
「諦めるも何も、私たちはもう終わったの! だから、話しても無駄なの!」
「そんなことないさ。まだ終わってない。俺は誤解してたんだ。だから、ゆっくり話せば、きっと分かり合えるはずだ――」
「はっ? 誤解って何よ! 結城さんとの浮気が“誤解”だったって言うの?」
「ほら、夏帆は紗英のことばかり気にして……やっぱりまだ俺に未練があるんだろう?」
「あるわけないじゃない! バカじゃないの」
「そんなに強がるなよ。話し合えば、きっと分かり合えるから」
「ほんとにもうっ! 頭どうかしてるんじゃないの? 離してよ!」
「いいから来いよ!」
「だ、誰か――誰か助けて!」
夏帆が叫んだ瞬間、腕がふっと自由になった。
何が起きたのか分からず、反射的に振り返る。
そこには、駿介の腕を掴み、容赦なく捻じり上げている透也の姿があった。
コメント
12件
しつこい🗑️男😡💢 自分の都合ばかりだから捨てられたことに気づけ❗️そして危機一髪のところで透也さん登場✨💓 大切な夏帆ちゃんを守るために駿介を容赦なく懲らしめてやって‼️‼️
ほんと駿介はいつまで夏帆ちゃんに執着するつもりなの!?!? 未練タラタラ過ぎますって…(´Д`) 透也さんと夏帆ちゃんの関係、どうなっちゃうんでしょう🫣
透也さん、かっこいい♥腕を掴み捻じりあげる!いいよー!最高😍それに比べ、なぜそうなる…自己中男の思い込み最悪😫😫気分あがっていたのにさ! このあと、夏帆ちゃんに優しくしてー!透也さん😍
#狂愛
柏木さくら
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#ハッピーエンド
瑠璃マリコ
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#ロマンスファンタジー
Jasmine
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桃下結衣
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