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蓮司「よし! 今回のテーマは“学校行事あるある”で行こう!」
日下部「……また唐突に始めたな」
蓮司「勢いが大事なんだよ! まずは体育祭あるある。組体操で絶対一人は落ちる!」
日下部「……あれ、危険だよな。毎年のように救急車呼ばれてた」
蓮司「そうそう! で、なんであんなのまだ続いてんだって毎回なるやつ!」
遥「……俺は、出たくなかった」
蓮司「体育祭自体に?」
遥「ああ。親に“応援来るな”って言えなかったし、出れば勝手に怒鳴られるし。勝っても負けても、帰ったら地獄だった」
日下部「……」
蓮司「……なるほどな。でもさ、競技で必死に走る姿とか、見てる側からしたら“頑張ってるな”って思うんだぜ」
遥「頑張ったら、もっと怒られる」
蓮司「……そっか」
日下部「遥、それでも今ここで話してるのは……少し救いになってるんじゃないか」
遥「……どうだろな」
蓮司「いや、絶対なってる! だって遥の話聞いてる俺ら、ちゃんと“あるある”にしてるから!」
遥「……無茶苦茶だ」
日下部「でも、蓮司らしい」
蓮司「よっしゃ、次は修学旅行あるある! 枕投げは必ず勃発!」
日下部「夜中に先生が見回りして、『早く寝ろ』って怒鳴るのもセット」
蓮司「だな! あと班行動で、絶対一人は迷子になる!」
遥「……俺は、枕投げに混ざったことない」
蓮司「え、なんで?」
遥「部屋の隅で寝たふりしてた。混ざったらまた……嫌なこと言われるし」
日下部「……」
蓮司「……なるほど。でもさ、今度は俺らと行けばいいじゃん。修学旅行リベンジ! 枕投げし放題!」
遥「……うるさい。お前らとなら、まあ……少しはマシかもな」
日下部「“少しはマシ”って、それもう遥なりの肯定だろ」
遥「……言わせんな」
蓮司「おおー! 認めたぞ! じゃあ決定! “体育祭あるある”は『組体操で絶対崩れる』、“修学旅行あるある”は『夜は寝ない』! で、“遥あるある”は――」
遥「やめろって言っただろ」
蓮司「――『ほんとは混ざりたかったけど言えなかった』!」
日下部「……確かに、それは“あるある”だな」
遥「……バカか。そんなもん“あるある”にすんな」
蓮司「すんの! ここは雑談部屋だから!」
遥、ほんの少しだけ肩を揺らす。笑ったのかもしれない。
三人の“あるある”は重ならない。
それでも、同じ部屋の中では、一緒に響いていた。