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コメント
1件
うわ……これは、読んでいて本当に息が詰まりました。ruruhaさん、この「逃げ場のなさ」の描写、凄まじいです。選択肢のすべてが罠で、どんな答えを出しても暴力と罵倒で「間違い」にされる。遥の思考が「ちゃんと選べてない」と自己責任にすり替わっていく心理の描き方が本当にリアルで、胸が痛くなりました。この閉塞感、終わりの見えない地獄をこれだけの文体で見せられるのは圧巻です。次が気になりますが、遥の心が壊れないでほしいと願うばかりです…。
机が蹴られる音で、空気が切り替わる。
「立て」
すぐ。
遥は立つ。
腕を引かれて前に出される。
囲まれる。
距離が近い。
逃げ場がない。
「今日これな」
誰かが笑いながら言う。
「“マシなやつ”言え」
一瞬、意味が引っかかる。
「クラスで一番“まだマシ”なやつ」
補足が入る。
逃げ道を潰す形で。
「“全員無理”は禁止な」
すぐ塞がれる。
「あと理由つけろ、ちゃんと」
条件が増える。
軽い声のまま。
「早く」
間を潰す。
遥は口を開く。
「……いない」
反射。
一番安全そうな逃げ。
即、横から頬を叩かれる。
強い音。
「禁止って言ったよな」
すぐに来る。
遅れじゃない、選択ミスとして処理される。
「ちゃんとやれよ」
固定される。
もう一度。
「“マシなやつ”」
周りも被せてくる。
「名前で」
「理由つき」
「逃げんな」
音が重なる。
近い。
速い。
遥は視線を動かす。
誰かを選ぶ。
選んだ時点で、どこかが崩れる。
分かってる。
でも止まれない。
「……佐藤」
出る。
一番当たり障りなさそうな名前。
その瞬間、空気が動く。
「へえ」
佐藤が一歩前に出る。
笑ってる。
でも目が冷たい。
「俺がマシなんだ」
距離が詰まる。
逃げられない。
「何が」
即座に来る。
理由。
遥は口を動かす。
「……あんまり、話しかけてこないから」
出る。
自分の負担が少ない理由。
その瞬間、周りが笑う。
「話しかけない=マシなんだ」
言い換えられる。
ズレる。
「じゃあ関わらないやつがいいんだ」
別の声。
勝手に意味が広がる。
「俺らは?」
すぐに来る。
周りが一歩詰める。
「話しかけてるけど」
逃げ場が消える。
遥は口を開く。
「……違う」
出る。
曖昧。
即、肩を押される。
後ろにぶつかる。
「何が違う」
詰められる。
間がない。
「……その、」
詰まる。
腹に拳が入る。
鈍い音。
「止まるなって」
笑いながら言う。
「ちゃんと説明しろよ」
要求が上がる。
でも時間はない。
遥は言葉を出す。
「……楽だから」
出る。
一番正直な形。
その瞬間、空気が一段下がる。
「楽?」
佐藤の声。
低くなる。
「俺といるのが?」
距離がさらに詰まる。
ほぼ目の前。
「……違う」
反射で否定。
ズレる。
即拾われる。
「違くねえだろ今言ったの」
頬を掴まれる。
強く。
「じゃあ何が楽なの」
逃げ道を消される。
遥は口を動かす。
「……何も、されないから」
出る。
それしか繋がらない。
その瞬間、周りが一斉に反応する。
「何もしてないのがマシなんだ」
言い換え。
固定。
「じゃあ“してる側”は?」
すぐ繋げられる。
逃げ場が消える。
遥は視線を落とす。
でも顎を上げられる。
「誰だよ」
具体を要求される。
「してるやつ」
逃げられない形にされる。
遥は口を開く。
「……みんな」
戻る。
さっきの逃げ。
その瞬間、頬を強く叩かれる。
今度は連続で二回。
乾いた音が続く。
「それも禁止な」
即否定。
「一人ずつ言えよ」
条件が増える。
終わりが遠ざかる。
「まず一人」
指が向けられる。
近い。
逃げられない。
遥は息を整えようとする。
浅い。
追いつかない。
「……田中」
出る。
さっきと同じ。
一番近い脅威。
「俺“してる側”なんだ」
田中が笑う。
でも手が腹に入る。
重い。
息が抜ける。
「理由」
すぐ来る。
間がない。
「……叩くから」
出る。
事実。
一番分かりやすい。
その瞬間、空気がまた変わる。
「叩くから嫌なんだ」
言い換え。
「じゃあ叩かなきゃいいんだな」
結論が勝手に出る。
田中が手を上げる。
一瞬止める。
「今から叩かないから」
笑う。
そのまま、別のやつが横から腹を蹴る。
強い。
さっきより深い。
体が折れる。
でも腕を掴まれている。
倒れない。
「俺じゃねえし」
責任が分散される。
逃げ道が消える。
「ほら、間違ってるじゃん」
結論にされる。
遥の言葉が否定される。
「ちゃんと考えて言えよ」
また戻る。
スタート地点に。
でも回数だけ増えている。
「次」
終わらない。
遥は理解する。
何を言っても、形を変えられる。
正しく言う方法はない。
でも、言わないとその場で返る。
(ちゃんと選べてない)
(ちゃんと説明できてない)
内側が同じ言葉で埋まる。
「早く」
また来る。
今度は、どこを選んでも同じだと分かっているのに、 口は動く。