テラーノベル
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机を叩く音が連続する。
バン、バン、と不規則に。
「立て」
すぐ来る。
遥は立つ。
腕を引かれる。
中央。
囲まれる。
逃げ場はない。
「並べろ」
短い。
意味が分かる前に続く。
「クラス全員、“マシな順”で」
ざわっと笑いが広がる。
軽い。
でも逃げ道がない。
「一位からな」
指で空中をなぞる。
見えないリストを描く。
「“分からない”禁止、“全員同じ”も無し」
条件が追加される。
潰す形で。
「理由つけろ、最低でも上三人」
終わりが見えない。
「早く」
カウントが始まる。
三、二——
遥は口を開く。
「……できない」
出る。
その瞬間、横から首を掴まれる。
引かれる。
息が詰まる。
「できないじゃねえよ」
低い声。
耳元。
「やれって言ってんの」
手が離れる。
空気を吸う間もなく、
腹に拳が入る。
鈍い音。
「はい、一位」
強制的に進められる。
逃げ場が消える。
遥は口を動かす。
「……佐藤」
出る。
さっきと同じ。
一番無難に見える場所。
すぐに反応が来る。
「また俺?」
笑い。
でも距離が詰まる。
「何が一位」
即理由。
遥は言葉を探す。
「……その、あんまり関わってこないから」
出る。
また同じ形。
すぐに歪められる。
「関わらないやつが一位なんだ」
声が被る。
「じゃあ俺らは下な」
一気に広がる。
周りが一歩詰める。
圧が増える。
「二位」
すぐ来る。
間を与えない。
遥は口を開く。
「……田中」
出る。
近い脅威。
「は?」
田中が前に出る。
「俺が二位?」
低い。
「理由」
詰める。
遥は言葉を出す。
「……分かりやすいから」
出る。
それしか繋がらない。
一瞬の沈黙。
次の瞬間、笑いが弾ける。
「分かりやすいって何」
田中の声。
近い。
「叩くから?」
誰かが言う。
先に言われる。
逃げ道が消える。
遥は口を開く。
「……そう」
認める形になる。
その瞬間、腹に蹴りが入る。
強い。
さっきより深い。
体が折れる。
「分かりやすいからいいんだ」
言い換えられる。
「じゃあもっと分かりやすくするわ」
もう一発。
今度は横から。
痛みが重なる。
「三位」
すぐに来る。
止まらない。
遥は息を整えられないまま、口を動かす。
「……えっと、」
詰まる。
背中を叩かれる。
強い音。
「遅い」
即罰。
「順位つけるだけだろ」
単純化される。
でも単純じゃない。
「……山本」
出る。
適当に出る。
逃げるように。
「理由」
すぐ。
遥は言葉を探す。
出てくるのは浅いもの。
「……静かだから」
出る。
その瞬間、別のやつが笑う。
「静か=マシなんだ」
また歪む。
「じゃあうるさいやつは下な」
周りが乗る。
「俺何位?」
声が飛ぶ。
複数。
同時に。
「俺は?」
「俺どこ?」
「言えよ」
一気に増える。
順番が崩れる。
でも止まれない。
遥は口を動かす。
「……えっと、」
名前が出ない。
思考が追いつかない。
「止まるなって」
頬を叩かれる。
音が重なる。
「はい最下位決めろ」
突然変わる。
「一番下、誰」
逃げ場が消える。
頂点じゃない。
底。
より重い。
遥は目を動かす。
誰を出しても終わらない。
分かってる。
でも出さないと、その場で来る。
「……俺」
出る。
反射。
一番収まりがいい場所。
その瞬間、笑いが強くなる。
「自分なんだ」
誰かが言う。
「じゃあ確認な」
すぐ繋がる。
「何が一番ダメなの」
理由を求められる。
自分に向けて。
遥は口を開く。
「……遅いし、」
出る。
いつもの言葉。
「あと?」
追加される。
止めない。
「……空気悪くする」
出る。
その瞬間、背中を蹴られる。
前に崩れる。
でも腕を掴まれている。
倒れない。
「自覚あんじゃん」
笑い。
「じゃあ直せよ」
即次に繋がる。
終わらない。
「今ここで」
条件が乗る。
「一秒で全部答えろ」
無理な要求。
でも否定はできない。
声がまた重なる。
「俺何位」
「理由は」
「下からも言え」
上下同時。
順番が崩れる。
遥は口を動かす。
単語が混ざる。
「……一位、佐藤、関わらない、二位、田中、分かりやすい、三位——」
ぐちゃぐちゃになる。
順序が崩壊する。
「は?」
笑い。
同時に腹に拳。
「ちゃんとやれよ」
戻される。
最初に。
でも体だけが削られている。
(できてない)
(ちゃんと並べられてない)
(だからこうなる)
内側で固定される。
「次、下から全部言え」
声が来る。
終わりは、用意されていない。
コメント
1件
うわ……これ、すごく息苦しい。短い文体と連続する「出る」「来る」の反復が、遥の逃げ場のなさと思考の追い詰められ方をそのまま体感させる。クラス全体が同調して加害者になる閉塞感、理由を理不尽にねじ曲げられる不条理——読んでる側も胃が締めつけられる。自分を最下位に置くしかなかったラスト、もうどこにも逃げられないのが痛い。敬語で秩序を保とうとする遥の内面も気になる。続き、早く読みたい……でも読むのが怖い、そんな作品です。
ちゃちゃまある©️
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