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はるかぜ
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うわあああ第100話おめでとうございます…!!🎉✨ この回、遥の心の声が生々しすぎて胸がぎゅーってなったよ…「自分で避けたのに探してしまう」って感情、すごくリアルで苦しい…。日下部くんが本当に距離を置いてて、目も合わせない姿に「これでいい」と思い込もうとする遥が痛いほど伝わってくる。最後の弁当の味を思い出せない描写、大好きです。次が気になりすぎる…!😭💕
翌朝。
目が覚めた瞬間、遥は天井を見上げたまま動かなかった。
寝た気がしない。
頭が重い。
けれど、それ以上に。
胸の奥が重かった。
昨日の夜。
自分で何度も考えるなと言い聞かせた。
それでも。
考えた。
考えてしまった。
そして朝になった。
(最悪だ)
会う。
今日も。
学校へ行けば。
嫌でも。
会う。
布団から起き上がる。
顔を洗う。
制服を着る。
朝食。
会話。
いつもの家。
いつもの空気。
何も変わらない。
何も。
変わっていない。
だから余計に、昨夜の自分が気持ち悪かった。
学校へ向かう。
電車。
改札。
見慣れた道。
足取りは重い。
なのに。
校門が見えた瞬間。
心臓が変な音を立てる。
(……違う)
眉を寄せる。
(違う)
分かっていた。
自分が何を探そうとしているのか。
だから。
校舎に入る前に。
わざと視線を下げた。
昇降口。
下駄箱。
靴。
床。
上を見るな。
探すな。
考えるな。
そうやって教室まで来た。
席に座る。
鞄を置く。
教科書を出す。
それだけ。
それだけのこと。
なのに。
廊下から聞こえてきた笑い声に、反射的に顔が上がった。
日下部だった。
友達と話している。
笑っている。
そして。
遥とは目も合わない。
合おうともしない。
昨日。
『……分かった』
そう言った。
だから。
本当に。
距離を置いていた。
それを見た瞬間。
遥の胸の奥が、妙にざわつく。
(それでいい)
これでいい。
これが正しい。
近づくな。
慣れるな。
期待するな。
そう思っていたはずなのに。
朝のホームルーム。
一時間目。
二時間目。
休み時間。
一度も話しかけてこない。
一度も目を合わせない。
一度も。
近づいてこない。
当然だった。
昨日、自分がそうさせた。
なのに。
昼休み。
弁当を開きながら。
遥は無意識に教室の入口を見た。
誰かを探しているわけじゃない。
そんなつもりじゃない。
けれど。
いない。
いない。
いない。
日下部の姿がない。
その瞬間。
胸の奥が少しだけ冷たくなる。
(何やってんだよ)
箸を持つ手に力が入る。
馬鹿か。
自分で避けた。
自分で追い払った。
それなのに。
何を探している。
何を期待している。
気持ち悪い。
そう思った時。
「なぁ」
前の席の男子が振り返る。
遥は顔を上げた。
「最近、日下部いねぇな」
「……知らねぇ」
「飽きられた?」
くすり、と笑い声。
別の男子も口を挟む。
「つーか、お前ら最近セットじゃなかった?」
「珍しかったのにな」
からかうような声。
悪意なのか。
ただの興味なのか。
遥には区別がつかなかった。
「やっぱ捨てられた?」
「飽きられるの早かったな」
「まぁ遥だし」
笑い声。
いつもの。
聞き慣れた。
だから何も言わない。
言い返さない。
そんなことより。
その言葉に反論できなかった自分の方が嫌だった。
捨てられた。
違う。
自分で避けた。
自分で距離を置いた。
そう。
そうなのに。
胸の奥が小さく痛んだ。
笑いながら話は終わる。
誰も深く気にしていない。
だからこそ。
遥の胸の奥だけがざわついた。
珍しい。
そんなこと。
考えたこともなかった。
いつからだ。
いつから。
話しかけられることが当たり前になっていた。
いつから。
横に誰かがいることに慣れてしまっていた。
いつから。
日下部が近くにいる時間を、普通だと思うようになっていた。
嫌な汗が滲む。
知らない。
そんなの。
知らなくていい。
知らないままでよかった。
それなのに。
教室の入口に。
ひょい、と見慣れた顔が現れた。
日下部だった。
ただ。
遥を見ることもなく。
クラスメイトに用事を済ませると。
そのまま出ていく。
一度も。
本当に一度も。
こっちを見なかった。
その背中が消えた瞬間。
遥は。
「……っ」
自分でも分からないくらい小さく。
息を詰まらせた。
そして。
その反応をした自分に。
心の底から恐怖した。
(……やめろ)
胸が痛い。
苦しい。
痛い。
違う。
違う。
違う。
そんな顔するな。
そんなふうに思うな。
期待するな。
安心するな。
好きになるな。
失うぞ。
壊れるぞ。
知ってるだろ。
ずっと。
そうだっただろ。
なのに。
その日の昼休み。
遥は。
弁当の味を、一つも思い出せなかった。