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「……お前さ」
一人の男子生徒が、血のにじむ遥の顔を見下ろした。岸田だ。目は本気で嫌悪に満ちている。
「生きてるだけで迷惑なんだよ」
足で遥の肩を押し込み、さらに床に叩きつける。
「教室にいるだけで空気悪くなる。お前の存在そのものが汚いんだよ」
遥はうめき声を漏らす。
(……俺が……いるだけで……)
「近くに立たれると吐き気すんだよ。汗も、息も、全部臭えんだ。お前に触れると自分まで汚れる気がする」
怒りを込めて靴で遥の背を踏みつける。
周りの数人が笑いながらも、岸田のその異様な執念に一瞬息をのむ。
「そこまで言うか?」
「でもまあ、わかるわ。マジで気持ち悪いよな」
遥は震え、必死に声を抑え込むが、堪えきれず嗚咽が漏れる。
「泣くなよ。泣き声も耳障りなんだよ!」
怒声と同時に、頭を壁際へ蹴り飛ばす。ガラス片が散り、血がじわりと広がる。
「ほんと、なんで死なねえんだ? お前みたいなの、死んだって誰も困らねえのに」
吐き捨てるように言い、さらに髪を掴んで持ち上げる。血に濡れた額が震え、遥は呼吸が乱れる。
(……俺……ほんとに……誰にも必要とされてない……)
周囲の生徒もそれに乗じて声を浴びせる。
「確かに、同じ空気吸ってるだけでムカつくよな」
「いると目障り。いない方がいい」
「お前の席、空っぽの方が教室明るくなるんじゃね?」
嫌悪の言葉が次々と投げられ、遥の内側に深く突き刺さる。
中心の生徒、岸田はなおも吐き捨てる。
「お前が笑っててもイラつくし、黙っててもムカつく。存在そのものが罪だって気づけよ」
拳を振り下ろし、血の混じる床に再び叩きつける。
(……そうだ……俺は……いらない……)
心の奥で声が響く。自己否定の波が、痛みと同じくらい強く押し寄せる。