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僕の家族は至って平凡だ。
でも、普通の家族より人一倍幸せだと思う。
兄さんは優しくて、
母さんはみんなを愛していて、
父さんは….
儚かった。
父さんは、通り魔に刺されて亡くなった。
その日から、母さんは変わってしまったんだ。
母さんは僕を殴るようになった。
何故かって?
父さんが亡くなる前の日、
僕は父さんに買い物に誘われてたんだ。
でも、
僕はテストが控えてたから勉強のために断ったんだ。
だから母さんは僕を殴るんだ。
でも、
多分僕が父さんと一緒に買い物に行ってても
結末は同じだったと思う。
通り魔が僕を狙ってきたなら父さんが守って
代わりに刺されてたと思う。
だから、
これはきっと抗えない運命の道だったんだ。
ある日、朝起きると横に兄さんが居なかった。
僕は驚いて階段を駆け下りてリビングへ向かうと、
目に映ったのは包丁を持った兄さんと
血だらけで横倒れてる母さんの姿だった。
「兄..さん…?」
「陸久、これでもう殴られないよ」
「うん…でも……」
「陸久、兄さんのこと嫌い?」
そう言う兄さんの目はどこか殺気満ちている目だった。
だけど僕は
「そんなことで嫌いにならないよ!」
そう笑顔で言った。
そう言わなきゃいけない気がしたから。
「兄さん、どこ見てるの?」
「兄さん、誰に話しかけてるの?」
数日後、兄さんはおかしくなった。
何も無い場所をずっと見ていたり、
誰も座ってないベンチに向かって
誰かに話しかけているようになったんだ。