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第40話、読み終わりました……。胸がぎゅっとなりますね。遥が「仕事」という言葉で自分を定義されてしまう描写が、本当に痛かったです。特に「帰っていいの?」と聞き返したあの瞬間、ほんの少しだけ抵抗したのに、逆に笑いものにされる感じ……。あれ、読んでいて息が止まりました。逃げる選択肢すらなくなる、あの感覚を丁寧に描いてくれるからこそ、応援したくなります。次が気になります。静かに次を待ってますね🌷
昼休みが終わる少し前、遥が教室へ戻ると、自分の机の周りに何人か集まっていた。
「遅」
「どこ行ってたんだよ」
「別に」
「その顔で別にって言う?」
誰かが笑う。
遥が席に着こうとすると、椅子を後ろから引かれた。
身体が止まる。
「座れないじゃん」
「座る必要ある?」
「……授業始まるから」
「だったら立ってろよ」
笑い声が重なる。
昨日、保健室にいたことを知っている連中だった。
「昨日倒れたんだって?」
「大げさだったらしいな」
「今日も顔死んでるけど」
「また保健室行けば?」
遥は何も答えなかった。
答えれば、そこからまた始まる。
黙っていれば終わることもある。
そう思っていた。
けれど、今日は違った。
「なんかムカつくんだよな、その態度」
「……」
「具合悪いなら帰れば?」
遥が顔を上げる。
「帰っていいの?」
一瞬、教室が静かになった。
次の瞬間、笑いが起きる。
「何それ」
「本気で聞いてんの?」
「お前さ、休んだら誰が相手すんの?」
「……」
「休んだら仕事できないじゃん」
その言葉に、別の男子が遥の肩を押した。
「ほら、仕事」
遥の身体が机にぶつかる。
「今日の分、まだ終わってないだろ」
「何の……」
「分かってんだろ」
また押される。
今度は背中からだった。
遥がよろけると、机の上の筆箱が落ちた。
「拾えよ」
遥はしゃがむ。
拾い終わる前に、足元の筆箱を蹴られた。
中身が床に散らばる。
「遅い」
「……ごめん」
「それ」
消しゴムを指差される。
遥が拾う。
「違う、それじゃない」
今度はシャーペン。
拾う。
「遅いって」
また別のものが蹴られる。
何度も同じことを繰り返させられる。
笑い声が続く。
「お前、ほんと便利だよな」
「何しても怒らねぇし」
「殴っても文句言わないんじゃね?」
「試してみれば?」
肩を掴まれる。
遥は反射的に身を固くした。
それを見た相手が笑う。
「ほら、もうビビってる」
「弱」
「昨日もこうだったの?」
「保健室で泣いてたりして」
「泣いてねぇよ」
遥が思わず返す。
「じゃあ泣かせてみる?」
空気が変わった。
遥は口を閉じた。
言わなければよかった。
いつもそうだった。
少しでも自分のことを言えば、それが次の材料になる。
「……やめとけよ」
誰かが言った。
遥が顔を上げる。
助けが来たと思った。
けれど、その男子は笑っていた。
「先生来たら面倒じゃん」
「それだけ?」
「だってこいつ、壊れたら使えなくなるだろ」
笑いが起きる。
遥は何も言えなかった。
仕事。
2
#ヘタリア腐
𝕕𝕣𝕖𝕒𝕞
337
119
その言葉が頭に残る。
自分がここにいる理由が、それだけみたいだった。
何かを頼まれるため。
怒りをぶつけられるため。
嫌なことを押しつけられるため。
それができなくなったら、自分には何も残らない。
だから休めない。
だから帰れない。
だから、ここにいるしかない。
「ほら」
机を叩かれる。
「次、やろうぜ」
遥はゆっくり立ち上がった。
身体は重い。
それでも、逃げるという選択肢だけは最初からなかった。