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修学旅行。新幹線の座席で大地は隼人の隣に座り、はしゃぎっぱなしだった。


「やばい隼人! 俺たちの新婚旅行が始まった!」


「誰がだ!」


「だって二人で遠出だよ? これはもう新婚旅行でしょ!」


「ただの修学旅行だ!」


周りの友達はクスクス笑いながらスマホで写真を撮っていた。




京都に到着すると、班行動の自由時間。清水寺の坂道で、大地の財布を隼人がこっそり隠した。


「うわ! 俺の財布がない! ……あっ」


「探せよ」


「いや、これは隼人が俺に『財布はオレが握ってやる』って言ってるんだな」


「言ってねぇ!」


「つまり俺の人生も財産も、全部隼人に預けろってことだな!」


「……バカ」


大地は隼人の腕にしがみつき、まるで本当の夫婦のように歩き出す。観光客まで笑顔で二人を見ていた。





夜。旅館の大部屋で布団が並べられると、大地は当然のように隼人の布団へダイブした。


「うわぁ! 隼人の布団ふっかふか〜!」


「おい出ろ!」


「一緒に寝ようぜ! ほら、新婚初夜ってやつ!」


「バカッ!」


隼人は大地を蹴り飛ばすように自分の布団へ戻したが、大地は星空を眺めながら呟いた。


「なぁ隼人。こうやってみんなでワイワイするのも楽しいけど……俺は隼人と二人だけで旅したいな」


「……」


「きっとずっと笑っていられると思うんだ」


隼人は枕を顔に押し当てて隠した。耳まで真っ赤になっているのを、大地は見逃さなかった。




翌日。嵐山の竹林で、大地がふざけて「隼人、夫婦の記念写真撮ろ!」とポーズを決める。

隼人は呆れながらも、つい並んで写ってしまった。


「やっぱ似合ってるなぁ俺たち。ほら、新婚旅行アルバム第一枚!」


「うるせぇ!」


けれど写真に写った隼人の顔は、ほんの少し笑っていた。


大地はその顔を見て、胸の奥が温かくなるのを感じていた。

修学旅行が終わっても、この“新婚旅行”はずっと続いてほしいと――本気で願っていた。

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