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体育祭当日。青空の下、大地はゼッケンを胸につけて隼人に満面の笑みを向けた。


「よーし隼人! 今日は俺たちの愛を全国に発信する日だな!」


「ただの体育祭だ!」


「つまり“愛の祭典”だろ!?」


「違ぇよ!」


クラスメイトはもう慣れっこで、「はいはい夫婦漫才始まった」と笑っている。


最初の競技は障害物リレー。大地が網をくぐろうとした瞬間、隼人が後ろから頭を押して突っ込ませた。


「ぎゃー! 砂まみれ!」


「ははっ、ざまぁ」


「……あっ! これは“俺と一緒に泥にまみれて生きてこう”って意味だな!」


「どう解釈したらそうなんだよ!」


「ありがとう隼人! 俺、どんな泥沼も隼人となら楽しい!」


観客席が爆笑し、実況役の先生まで「名言いただきました!」とマイクで叫んでいた。


次は二人三脚。隼人はわざとロープをきつく縛った。


「いってぇ! これ足ちぎれるやつだ!」


「もっと密着してろよ」


「おおっ!? つまり“俺とずっと繋がってろ”ってこと!?」


「違う!」


「愛の手錠かぁ〜、隼人らしいなぁ!」


「手錠じゃねぇ!」


転びそうになりながらもゴールインした二人に、クラスメイトは大歓声を送った。


午後。クライマックスのクラス対抗リレー。大地は第3走者、隼人はアンカーだ。

バトンを握って走り出した大地は、トラックを駆け抜けながら叫んだ。


「隼人ー! 俺、愛を込めてバトン渡すからなー!」


「うるせぇ! ちゃんと走れ!」


大地は全力で隼人に近づき、笑顔でバトンを押し付けるように渡した。


「これ、俺の心臓だと思って受け取って!」


「誰が受け取るか!」


隼人は顔を赤くしながらもバトンを握り、ラストスパートでゴールテープを切った。

次の瞬間、大地が駆け寄って飛びつく。


「やったな隼人! 俺たちの愛のゴールイン!」


「……勝手に言ってろ」


観客席は大爆笑と拍手。隼人はため息をつきながらも、大地を突き放すことはできなかった。


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