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放課後、使われていない教室。窓際、三人。夕日が机の上を照らしている。
蓮司「じゃ、今日のテーマはこれ。“この中でいちばん性格悪いの、誰?”」
遥「おまえだろ。質問がアホすぎる」
日下部「…………(無言で机に視線)」
蓮司「即答ありがとう。で、その理由は?」
遥「人の痛ぇとこ平気で触るし、笑って見てんじゃん。
“これは構造の問題だから”とか言って、自分だけ高みから実況してるつもりか?」
蓮司「うんうん。よく観察してる。……けどさ、遥。
そういうおまえ、“黙って相手の目を睨んで、言葉投げつける”タイプじゃん。
しかも地味に的確で、傷口に塩すり込むプロだよ?」
遥「……ああ、“言葉で殴ってる”って言いたいのかよ」
蓮司「ま、そうとも言うかな。
殴らない分、なおタチ悪いよね。
“何もしてない”って顔で、ちゃんと心の急所、踏んでくるんだから」
遥「……踏んでんの、気づいてるよ」
蓮司(一瞬、表情を止めて)「へえ」
日下部「……それでも、やめないのは?」
遥「やめたら、誰にも届かねえからだよ。
オレが黙ったら、誰も気づかない。誰も見ねえ」
蓮司「なるほど。“誰かを壊したいんじゃなくて、存在を刻みたい”ってやつね。
それ、わりと純粋な動機なんだけどさ……痛み方が、地味に陰湿なんだよな」
日下部「……人を見てる方向が、みんな違うだけだ」
蓮司「つまり?」
日下部「蓮司は“見下ろして”、遥は“突きつけて”、オレは……“見てるつもりで見逃してる”」
遥「……自己分析とか始めんなよ、余計にムカつく」
蓮司(肩をすくめて)「ってことで、性格悪い選手権は誰がいちばんタチ悪いかの話になりました。続きはまた今度。
ちなみに俺は、“どうでもいい”って思ってる分、自覚的にアウトです」
遥(ぼそっ)「……“どうでもいい”って言ってるやつがいちばん気にしてんだよ」